迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

げにつつましきありさまかな。

2012-01-31 18:37:39 | 浮世見聞記
病院の待合室で、化粧をしながら順番待ちをする若い女性を見かけた。 一頃ほどは電車内でこの類いを見かけなくなったと思ったら、今度はこういった清浄な空気を第一とする場所に、“侵”出するようになったらしい。 それにしても、汚い光景だとつくづく思う。 そんな彼女の近くで盛んに作動している空気清浄機が、なんとも健気に見えた。 千秋楽は民を撫で 萬歳楽には命を延ぶ 相生の松風 . . . 本文を読む
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じせつはまだ。

2012-01-30 19:22:22 | 浮世見聞記
三遊亭小圓朝さんの独演会「ハナヲメデ ハナシヲキコウ 梅ノ巻」を聴きに、お江戸上野広小路亭へ。 噺は「初天神」と「親子酒」の二題。 「初天神」のなかで、 “のべつ幕なし” と云う言葉が出たのを聞いて、自分の認識は決して誤りではないことを、思いがけず贔屓の師匠の口演より確かめることが出来、溜飲の下がる思い。 今回の独演会は、終演後にみんなで小圓朝さんと湯島天神へ梅を愛でに行く、という . . . 本文を読む
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われらのほこり。

2012-01-29 18:58:46 | 浮世見聞記
旧正月「春節」の横浜中華街へ。 中国人は、 「逞しい」 「したたか」 と言われるが、異国の地に在って自分の国の伝統文化を“逞しく”守っている彼ら華僑の姿は立派だ。 関帝廟裏の山下町公園では、中華学院を卒業した若い中国人たちによる伝統芸が、イベントとして披露されていた。 自分たちの伝統文化を受け継いでいきたい、という思いで日々鍛練を重ねているそうで、 “来年度からダンスを中学校の . . . 本文を読む
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あづまあそびのするがまい。

2012-01-28 18:13:03 | 浮世見聞記
あなたの好きな台詞を一つ、と言われたら、私は迷うことなく能「羽衣」の一節、 『いや疑ひは人間にあり。天に偽りなきものを』 を挙げる。 意味はそのまま。 翻訳の必要はない。 私はこの台詞を聞くたびに、ドキッとさせられる。 これほど人間の本質を短いセンテンスで的確に衝いた台詞が、ほかにあるだろうか。 実際、仮託的表現の多い能の世界のなかで、シテ(主役)がこれほどはっきりと物を言う . . . 本文を読む
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みるのはだれか。

2012-01-27 20:21:10 | 浮世見聞記
映画の興行収益が低迷している、とニュースが伝えていた。 “驚異の映像革命”を謳い文句に、CGだの3Dだの、己れの技術力を誇示するばかりで、肝心の中身が観客のニーズから掛け離れたスカスカの代物では、観客に次第とそっぽを向かれるのは、当たり前だ。 集客のために、次々と企画を捻り出すのは結構である。 しかし、 『観客は我々にどのような楽しみを求めているのか』- その基本を、あまりにも忘れ過ぎ . . . 本文を読む
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せいぎとはわれのことなり。

2012-01-26 18:38:38 | 浮世見聞記
この頃首都圏の駅構内で、“お客様同士のトラブル”を起こしている中高年の男性を、いやに見かける。 しかも、酒が入っていない状態で。 お互い、ごく些細な事で素面(しらふ)に朱を注ぎ、公衆の面前で己れの中だけの“正義”を、ムキになって振り回す。 その“正義”の中には、 「恥」 「外聞」 「思慮」 「分別」 といったものは全く欠落している。 信じ難いことだ。 しかしそれが、現実に頻出 . . . 本文を読む
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おなじあなのむじな。

2012-01-25 23:10:32 | 浮世見聞記
現在の若い日本人はボキャブラリーに乏しい、と言われるようになって久しい。 いつであったか、会話のなかで何の気無しに、“のべつ幕なし”という表現を使ったら、ある下請けレベルの若い映像作家に、 「今時そんな言葉つかいませんよ」 と笑われて、その意外さにショックを受けたことがある。 また、ラジオのDJをつとめた若い女性タレントが、どこかで何かの美術展を見に行ってえらく感動したらしく、その事をリス . . . 本文を読む
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それがなんじゃい。

2012-01-24 18:30:29 | 浮世見聞記
わしは進むで。 守らなアカンもんがあるからな。 あんな、すってんころりんしてる場合ちゃうって。 今晩また雪? 上等やんけ。 . . . 本文を読む
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いしきはあるのか。

2012-01-23 20:23:03 | 浮世見聞記
昨日“プロ意識”について話したついでに、この頃ちょっと、いや、かなり気になることを話したい。 たまにTVをつけると、画面の中の若いアナウンサーやらリポーターやらが、原稿を読みながらであるにも拘わらず、言葉を“噛む”シーンに、最近やたらと出食わす。 ロシア人の名前などならともかく、ごく普通の日本語を、である。 誤った映像やテロップが一瞬映し出され、番組の途中や最後で、 「正しくは、〇〇です。大 . . . 本文を読む
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こころをみせる。

2012-01-22 21:31:42 | 浮世見聞記
国立能楽堂で、「第31回 手話狂言 初春の会」を観る。 可笑しくてどこか悲しい人間の性を、プロのろう者俳優たちが、「手話」で喋り、謡い、ほんわかと、時に鋭く、あぶり出す。 プロの狂言師から直接指導を受けた彼らの狂言は、古劇の現代への可能性を大いに示した、紛れも無く“本物の”伝統芸能。 舞台上の、全く隙の無い一挙手一投足に彼らの高いプロ意識が感じられ、それが私には何よりも気持ち良かった。 . . . 本文を読む
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みみがくもん。

2012-01-21 19:44:54 | 浮世見聞記
今朝、ニュースで雪景色の芦ノ湖の映像を見て、箱根の大涌谷へ出掛けることを思い付き、昼から実行。 雪は、あらゆるものを白く粧う。 文字通り、『雪“化粧”』。 その眺めは、見事。 しかし、あまりの寒さに手の感覚が…。 それもそのはず。 今日の暦は「大寒」。 ニュース映像は、寒さそのものまでは伝えられないことを、今更ながら思い知る。 大涌谷の名物といえば、「黒たまご」。 . . . 本文を読む
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そのさきのしあわせ。

2012-01-20 22:07:00 | 浮世見聞記
首都圏は朝から雪模様。 今日は大事な用事があるのに…、と起床して早々、気分はブルー。 でも、頑張って外出したかいはあったね。 東急田園都市線で、8090系と同じくらいに出会える確率の低い、大好きな2000系の急行に乗れたから。 “艱難辛苦は、それを乗り越えられる人にのみ、神は与え給ふ” 泣くも笑うも、 すべてを肚に呑み込んで、 私は私の手で、 扉 . . . 本文を読む
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ごえんとはそういうもの。

2012-01-19 18:17:03 | 浮世見聞記
通りすがりに見つけた幟旗に、私は 「あ、ここにはあるな…!」 と直感した。 どんな本かは、わからない。 でも、絶対に手に入れたくなる、何か。 覗いてすぐに、やはり見つけた。 私の仕事を大いに助けてくれるであろう、“貴重書”。 値段は、 「……」 さりながら。 古書は一期一会。 一度のがしたら、再び出逢えることは、 まず、 ない。 フトコロと相談など、しちゃアい . . . 本文を読む
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かがみにはうつらない。

2012-01-18 23:38:30 | 浮世見聞記
人の稽古を見ていると 自分の姿が 見えてくる。 見聞は、 自ら広めるべきもの。 機会は、 自分でつくるもの。 この足は、 そのためにある。 何もしなければ、 何も無い。 見て、 聞いて、 自らの手で触れて。 話しは、 それから。 ラジオのニュースで、伊勢神宮の斎宮跡とされる場所から“いろはうた”の書かれた土器が出土した、と . . . 本文を読む
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たいあん。

2012-01-17 20:32:44 | 浮世見聞記
東急田園都市線では滅多にお目にかかれない8090系に乗れたことが、今日の吉事。 ささやかな幸福(しあわせ)を笑っちゃいけないよ。 デカイ幸運に、 見放されるぞよ。 . . . 本文を読む
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