迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

待つために生きるらしい。

2020-09-29 18:34:00 | 浮世見聞記
近郊の自然公園へ行く。溢れる考へ事を一本の筋道にまとめるには、かうした場所に身を置くのがよい。しばらくさうして、いざ帰らうとすると、バスの通り過ぎるのが向かうに見えた。ここを通るバスは本數が少ない。次まで三十分近く待たねばならぬ。しかし、木々のもとでさらに考へを固める時間は出来た。次の時刻に合はせて停留所に戻り、時刻表を見て、先のバスは途中止まりであったことを知る。今度来るバスが、目的地の驛前まで . . . 本文を読む
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季節は進めどヒトは後ろへ戻りたがる。

2020-09-28 18:47:00 | 浮世見聞記
カラリとした晴天に、外へ誘はれり。綿をちぎって放ったやうな雲──柴田錬三郎の「眠狂四郎」に、よくさうした描冩があったことを思ひ出す。JR線の忘驛で見かけて、「上手いなぁ」と、その感性に思はず笑ったポスター。ワイヤレスイヤホンとは、端から見ればまさにこんなしろものだ。コードをカットして首だけ残し、あんな失くしやすい小物にしてどこが便利なのか、ワシにはさっぱりわからん。初めて見た時、ヒトが両耳に差し込 . . . 本文を読む
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日本舞踊界の第一人者、花柳寿応さん死去…89歳、花柳流“お家騒動”でも話題に

2020-09-28 10:07:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/sponichi/entertainment/sponichi-spngoo-20200928-0000?fm=d……はぁ、亡くなったのですか。四代目の花柳壽輔だった人ですね。さうさう、そのことで青山良彦と云ふ俳優の息子と旧時代な“お家騒動”を引き起こして、浮世にとんだ赤っ恥を曝した……。ええ、流派 . . . 本文を読む
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新しい習慣の“副作用”。

2020-09-27 19:41:00 | 浮世見聞記
東京圏を覆ってゐたイヤな雲がやうやく拂はれ、戻った陽射しに秋風は見ゆれど、にほひが聞こえてこない。……さうであらう。マスクをしてゐるのだから。顔の下半分を覆ってゐることをうっかり忘れるほど、いまやこの“新しい生活様式”は我が身に浸透したらしい。近くにヒトがゐないのを確かめてからマスクを外す──さうした忌ま忌ましい作法を経て、やうやく秋のにほひを聴く。支那發の人災疫病は、四季の聲を聴 . . . 本文を読む
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草臥れ損といふ余裕。

2020-09-26 22:56:00 | 浮世見聞記
どこまで行っても変はらぬ車窓風景に、自分自身を眺めてゐるやうだと、独り嗤ふ。無駄に徘徊してゐるやうで、しっかりお土産と、明日の“課題”を持ち帰る。妙なところで、背中を押してもらってゐるやうな……。おそらく、無駄に時間を過ごしたわけではないのだらう。樂しくないことは、あとから樂しかったのだと気が付くらしい。……そんなものだ。 . . . 本文を読む
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しかしこれは“乳飲料”。

2020-09-25 19:53:00 | 浮世見聞記
缶コーヒーの“微糖”だの“無糖”が大嫌いな私には、久々の嬉しい新作。ミルクの味がしっかり濃いめに活きてゐるあたり、GEORGIAでは絶對に不可能な技。ただ、相當な甘さがそのミルク感に誤魔化されがちになってゐる点は、要注意……。 . . . 本文を読む
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基本に今さらは無し。

2020-09-24 18:48:00 | 浮世見聞記
神奈川県高座郡寒川町の寒川文書館が、終了時期を定めないインターネット形式で開催してゐる特別展「記録にみる流行病(はやりやまい)」を閲覧する。もともとは文書館内でパネル展示の予定だったものを、時節に従ひ最も安全な配慮をしたもの。江戸時代の文政五年(1822年)に初確認され、明治に至るまで人類を悩ませ續けたコレラ、赤痢、そして大正七年から九年にかけて世界的大流行をみせたスペイン風邪、現代の大敵インフル . . . 本文を読む
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てつみちがゆく──仕事の輝き

2020-09-23 18:13:00 | 鐵路
旧新橋停車場 鉄道歴史展示室の企画展「鉄道マンの仕事アルバム」を観る。鐵道の安全運行に従事する様々な分野の男たちの、その誇り高き姿を記録した写真展。すべては現場の男たち一人一人の“手仕事”によって支へられてゐることを深く傅へ、そして頭の下がる思ひにさせてくれる好企画。明治から昭和にかけて記録された白黒冩真に映る鐵道マンたちの、その燦めく魂の數々!“仕事に誇りを持つ”──その真實が、こ . . . 本文を読む
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お作法にござります。

2020-09-22 17:32:00 | 浮世見聞記
古道沿ひの境内で休憩してゐると、近所の人とおぼしき年配の女性がビニール袋を提げてやって来た。そして落ちてゐる銀杏を、手早く拾ひはじめた。サッと。 そして去って行った。スッと。間もなく、もふ一人同じ年格好の女性が、やはりビニール袋を手にやって来た。そして同じやうにサッと拾ひ集めて、スッと去って行った。サッと。スッと。二人續けて同じ動作をしたことが、眺めてゐて妙に面白かった。……いや、これが銀杏拾ひの . . . 本文を読む
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“今までに経験したことのない”秋を創る。

2020-09-21 19:10:00 | 浮世見聞記
昼の陽射しはまだ強くても、風はすっかり秋、過ごしやすくなったのはありがたい。あのベットリとした“熱さ”がやうやく去り、城の窓から眺むる景色にも、世情への不安、といふより、腹立ちを覺えつつ地元密着生活を始めた四月下旬の頃を思ひ返させる。この頃は謠ひにも、讀書にも意欲的になれるのは、やはり涼しさの訪れによるものか。浮世では、いまの人災疫病をますます人災化させる方向に動い . . . 本文を読む
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藤木孝さん死去80歳大河「太平記」など出演

2020-09-20 17:36:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nikkangeinou/entertainment/f-et-tp0-200920-202009200000375?fm=d上の表題にもある通り、NHK大河ドラマの「太平記」で演じられた後醍醐天皇方の公家・坊門清忠役が鮮烈な印象として残っています。衣冠姿で、いかにも肚に一物ありげな笑みを浮かべなが . . . 本文を読む
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いつでもどこでも働け働け!

2020-09-19 17:55:00 | 浮世見聞記
都内の地下鉄線忘驛構内で見かけたBOX。新式の仮設トイレかと思ひきや、『出先でデスクワークをしたくなったヒトのための』即席個室型オフィス、なるものらしい。扉の向かうには椅子と机とモニターが設置され、會員登録することで15分刻みの料金で利用できる云々。……私には、なんかピンとこない。街中で、ひとりかうした小箱に閉じ籠もってPCのキーを叩くといふその行為が。もっとも、利用し . . . 本文を読む
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「戻らない」といふこと。

2020-09-18 19:09:00 | 浮世見聞記
ふっと気が向いて、久しぶりに淺草へ出掛けてみる。前回訪れた三ヶ月前と比べれば、いくらか観光客(ヒト)は戻ったやうに映るが、やはり街そのものはまだまだ“生気”を取り戻してはいない、と感じる。淺草寺前のお神籤で、「ここで引くといつも“凶”ばっか!」と見るからにアタマの弱さうな若いオンナが、似たやうなオトコを相手にはしゃいでゐる。……この世には、確かに神佛のおはしますことを識る。微かに“シ . . . 本文を読む
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巨星、人災を予見す。

2020-09-17 19:03:00 | 浮世見聞記
松本清張の「赤い氷河期」(平成元年刊)を讀了する。エイズが蔓延する2005年といふ、當時としては“近未来”に時間設定された長編小説で、平凡社刊の東洋文庫「流行性感冒」と併せて、ぜひこの時に讀みたかった一冊。作中で謎の蔓延をみせるエイズと、いま現實世界で蔓延してゐる人災疫病と共通する問題点、また示唆とも取れる点があったのは、期待通りに興味深い。が、物語の舞台が私には馴染みのない独國と . . . 本文を読む
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気持ちはすでに未来(あす)へ……!

2020-09-16 21:28:00 | 浮世見聞記
九十九代目の内閣総理大臣が誕生したことを、昼下がりの外出先で知る。といふことは、記念すべき(?)“100代目”は誰になるだらう──?私の気持ちは、すでにそちらへ飛ぶ。そして昨日であったか、入閣が内定した忘政治屋が、報道屋の前で「いやいやいや……」と言ってみせるその口許が、すでに歓喜にヒクヒクしてゐたのを思ひ出してから、とんでもない事實に今さら気が付く。「つまりあの男、あ . . . 本文を読む
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