季節遅れな薹風の影響とかで、ここ數日嬉しくない天氣が續いてイマイチ足が向かなかった神保町の恒例古本まつりへ、午後からの晴天を幸ひ覗きに出かける。すでに手許にあるはずだが記憶が定かでないもの、創造の参考資料になるであらうもの、手に入れておいてまず損はないであらうもの、ジンとくる所縁のもの、その全てを手に入れて、さっと引き揚げる。──何事も興醒めは、ムダな混雑と騒音なのである。 . . . 本文を読む
ラジオ放送で、惡七兵衞景清をシテとする謠曲二番を、觀世流銕仙會の出演で聴く。平家方の武将であった惡七兵衞景清は、平家滅亡後も生き延び、落ちぶれてもなほ源氏打倒の闘志を燃やす忠将で、初めの「大佛供養」では奈良東大寺の大佛再建法會に臨席する源頼朝を狙ふが果せず、手にした刀の靈威を借りてひとまず姿をくらます壮年期の有様、續く「景清」では、つひに日向國へ流罪となり盲目の老人と成り果てたかつての忠将の、娘と . . . 本文を読む
久しぶりに、橫濱元町を歩く。ここに来ると、洋服と云ふものがいかに着るヒトを選ぶかが、よくわかる。衣服は、その人の外面より、その人の内面を飾るものである、と。こちらが選ぶのではなく、向かふに選ばれてゐる。よって私は、分相應な生き方に徹すべしと自戒する。 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20241028-567-OYT1T50058?fm=d與党の自民党が過半数割れして191議席、野党の立憲民主党が躍進して148議席──ほかに選択肢の無い現状では、まぁさうもなるでせう。浮世で橫行する便乗値上げに無為無策、そのウラでセンセイたちがキタナイおカネのやり . . . 本文を読む
衆議院議員選挙の投票權と、最高裁判所裁判官の審査權を行使する。衆院選立候補者たちの公約を廣報で眺めたが、與野党ともに、ナニを云ってゐるのか、よくわからない。が、それで腹を立ててはいけない。尤もらしいことを、なんとなく、それらしく聞こへるやうに宣ふが、選挙公約である。いかにもアヤシイ商品の宣傳文句と同じで、あんなシロモノに欺されるはうが惡いくらゐなものだ。……と云ふことで、ふだん町内のあちこちにポス . . . 本文を読む
今日は暦では「霜降」──冬の寒さがやって来る日とされてゐるが、なかなかどうして湿り氣を帯びた暑さ漂ふ一日。 曇天では日が暮れるまで時間の推移も分からず、腹時計でやっと時刻を察する。秋がもう消滅したならば、それでも構はぬ。だがその代はりとして、すぐに寒くなってもらひたい。 . . . 本文を読む
やらうやらうと思ふばかりだった今年殘り二ケ月を過ごす支度について、やうやく今日より腰を上げる。 どうせ師走になって本當に走るくらゐなら、いまから助走をつけておいたはうが、よろしやろ。来る二十七日に投票の、衆院選立候補者の公報が届いてゐた。與党も野党も、立候補者たちはナニを宣ってゐるのか、無學者の哀しさでサッパリわからん。ただ、投票には出掛ける。何度も云ってゐることだが、ケチをつける權利を行使するた . . . 本文を読む
明け方に寒さで目を覺まされ、上着を羽織って再び寝床に潜り込む。いよいよ一年の締めとなるかういふ寒さがつひに訪れたか、私は待ち侘びてゐたぞよ、と。昼には町内を灯油の移動販賣車が巡回してゐた。ああ待ち侘びてゐたぞよ、この季節!精米の品薄と亂痴氣便乗値上げに腹を立て、ひと夏を即席御飯でやり過ごしてゐたが、今日より先日にいくらか安く手に入った精米を開封し、炊飯米に戻す。あくまでも假に、だが。 . . . 本文を読む
いつまでも殘暑を引きずったやうな氣温の日中、目黒不動尊にお参りする。それまでは他の用事のためにどうしても駆け足でしか参詣できなかったので、やっとじっくりお不動様に御挨拶が出来て、やっと氣持ちが落ち着く。見れば、カマキリが日なたぼっこをしてゐる。もっと氣温も落ち着けば、ニンゲンも日なたぼっこが心地よいのだが。そのままの流れで、めぐろ歴史資料館にも立ち寄り、秋の企画展「目黒の戦後」を覗く。落語の傑作「 . . . 本文を読む
今日もいまだ湿度を含んだ暑さの殘るのが氣に喰はぬが、秋から冬、そして年末を見て、少しづつ支度をはじめる。何もしないでゐても、時間は過ぎていくのである。今年の夏をいかに乗り切るか、なんて考へてゐたのが、何だかんだと乗り越えて、いまは今年の殘り二ヶ月について考へてゐる。夕方に散歩で通った山の上の公園の径が、うっすらと霧がかかってゐるやうに見えた。まぁ私の日々はこんな眺めのやうなものだとつひ笑ふが、しか . . . 本文を読む
ラジオ放送の喜多流「田村」を聴く。値千金な櫻の下で清水寺の縁起を語り花に舞ふ少年、千手觀音の加護をもって勢州鈴鹿の惡魔を鎮めた坂上田村丸の武勇を、喜多流らしいハズレのない雄大な謠ひでゆったり樂しむ。その場所へ行かずして行った氣分に浸れるのが謠ひの樂しみのひとつだが、清水寺について云へば、この謠ひに聞こえるやうな壮爛な風情はいまやもう望めず、あるのは多種雑多が掻き起す騒亂だけである。土地に縛られ容易 . . . 本文を読む
池上本門寺にて、先日の御會式ではお参り出来なかった日朝堂へ挨拶する。失明から回復した十一代法主の奇跡には、いろいろ學ぶべきものを感じるので、ふとなにかを想った時に、いろいろと話しを聞いてもらってゐる、“相談相手”のやうなものか。今日は衆院選の公示日云々、本門寺帰りにぶらぶら歩きした川沿ひの道に、さっそく立候補者たちの顔触れが貼り出されてゐた。 その後あちこちで“出陣式”の跡を通りかかり、私の棲む町 . . . 本文を読む
早稲田を抜けて文京區に入り、神田川に架かる駒塚橋を渡ると、肥後細川庭園と關口芭蕉庵との間に、細い急坂あり。その名もズバリ「胸突坂」となむ云ひける。坂の多い江戸らしい急斜路にて、傍らの案内板の云ふ通り、昔日は雨で泥濘(ぬかる)んだ時など、絶對に通りたくはない。肥後細川家ゆかりの永青文庫側より、幕末にはその下屋敷の跡と云ふ「肥後細川庭園」を通り抜けてゐると、結婚記念の事前冩真撮影が行なは . . . 本文を読む
忘日、散歩でたまに通る商店街で、毎度シャッターが下りてゐるリサイクルショップが珍しく開いてゐたので覗いてみたら、稽古に丁度よい舞の扇が、ほぼ未使用にもかかはらず、わずか數百圓で出てゐたので、入手した。見世の主(あるじ)は傳統藝能の知識が無いため値段の付け方も見當がつかなかった、と云ひ、かうした扇の賣れたことに驚いてゐた。「これほど状態の良い物がこの値段とは嬉しいですね」、と話すと、主は「また入荷し . . . 本文を読む
永田町では昼過ぎに衆議院が解散云々、町では早くも選挙ポスターの掲示板が設置されてゐた。【セイジカ】(名)大學出の目立ちたがり屋がなりたがる、主義主張の争ひと云ふ美名の陰に隠れておのれの利益のために國事を動かすヒト。よって、近ごろ橫行するタダの目立ちたがり屋だけは、事前に排除していただきたいもの。ああいふテのは、ツマラナイので浮世には要らない。ふだんはあまり立ち寄らない地元のスーパーを覗いてみると、 . . . 本文を読む