上大岡の京急百貨店七階で開催中の「あぶない刑事展」を覗く。前作から八年ぶりとなる映画版“あぶ刑事”最新作の、五月二十四日封切りに先駆けた特別展で、これまでの作品の冩真パネルのほか、出演者たちが撮影で使用した衣裳、脚本etc……、最新作については、觀る樂しみが無くなるので、サッと見て通る。それより私の一番の目的は、京濱急行上大岡驛改札口そばに展示されてゐる“港303”──日産レパードの實車に逢ふこと . . . 本文を読む
東京都品川區北品川──旧東海道品川宿跡から、かつての海側へ下った一画に、古い家屋を改装した一群を見かけて、足を止める。第二次大戰の空襲を奇跡的を生き延びた戰前の民家のうち五棟を、“SHINAGAWA1930”として補修再生し、店舗として營業云々。關東大震災による壊滅状態から復興した戰前昭和の東京は、第二次大戰の空襲によって徹底的に焼き拂はれ、當時の庶民の住まひや暮らしについては、いまや博物館内など . . . 本文を読む
東京で28℃の真夏日となった今日、その暑さに呼應するかのやうに、地元の堤が青々と茂りはじめた。伸びて垂れ下がった草に、堤道の両側から迫って来られると、そのぶん道幅が狭まり、視界も遮られて厄介である。さうして今年も酷暑のとば口まで来たことに觀念しつつ、草の青きこゑを聞く。 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20240426-567-OYT1T50129?fm=d三十年以上も昔から、國が定めた成分の基準を満たしてゐないばかりか、虚偽の試験結果を作成して製品を出荷してゐたことが、令和四年(2020年)に富山縣が実施した抜き打ち調査により發覺、同社は製品516萬個 . . . 本文を読む
池袋の東京藝術劇場コンサートホールにて、ベートーヴェン作曲の音樂を三曲聴く。今年二月に世田谷區で「第九」を聴いたのを縁に、もふいくつかベートーヴェンの音樂と云ふものを聴いてみたい氣になり、今宵の東京21世紀管弦樂團の第10回定期演奏會“オール・ベートーヴェン”に出かける。演奏曲は「プロメテウスの創造物 序曲」、「ピアノ協奏曲第5番 “皇帝”」、休憩15分をはさんで「交響曲第3番 “英雄”」、私は西 . . . 本文を読む
東京都文京區の東洋文庫にて、「キリスト教交流史─宣教師のみた日本、アジア─」を觀る。(※展示室内はフラッシュ無しで撮影可)耶蘇教を擴めんがため、東洋と云ふ自分たちとは全く異なる価値觀を持つ國とヒトへ切り込んでいった宣教師たちの苦闘譚、當然の如く起きる現地人のアレルギー反應──抵抗勢力の問題は、布教と戰争が實は表裏一体、一心同体であることが、私には判讀できない外来語で綴られた“現地レポート”より浮か . . . 本文を読む
ラジオ放送の喜多流「櫻川」を聴く。これも能樂では定番の生き別れた母子の再會譚で、春爛漫の櫻川で我が子を探し求め狂乱する女性を、喜多流の實力陣が明解にして重厚、かつ浮きやかさも織り込んだ美事な謠ひで、大いに聴かせる。櫻川は常州土浦より霞ヶ浦にそそぐ河川にて、今は大昔、私はJR常磐線の土浦驛よりこの川を越えて、人との再會を期待して旅をしたことがある。結果、再會は果たしたが、ただそれだけで、長き旅路は終 . . . 本文を読む
町内の、よく通る道沿ひの庭先で、毎年樂しみにしてゐる藤がいま見頃となってゐる。いよいよ初夏から梅雨を經て、怖い夏となる取っ掛かり……、とは思ふまい。藤も好きな花ではないか。さりながら、近々「熱中症警戒アラート」なる警報に、もふ一段階上の「熱中症特別警戒アラート」なるものが加はる云々。……と云ふことは、これから毎夏毎に、キケン目盛りが上乗せに増へていくと云ふことだらう。 . . . 本文を読む
ラジオ放送の寶生流「船橋」を聴く。田樂一座の持ち藝を世阿彌が改作した怨執譚で、忍び妻に逢へずに川に嵌められ沈んだ男の悲痛な恨みと叫びが、今回の放送で初めて胸に響いたところに、“謠寶生”の面目躍如と覺ゆ。 鄙の昔噺には、かうした川や橋にまつわる悲話が多く見られる。水は命の源であると同時に、その命を呑み込むものでもあることへの畏れが、かうした説話をいくつも生み出したのだらうか。 . . . 本文を読む
東京都目黒區の上目黒氷川神社にて開催された地域ふれあいまつり「第9回 おかげマルシェ」に参加し、神樂殿にて現代手猿樂「河原左大臣(かはらのおとど)」を舞ふ。昨夏に同じ會場で裃の略式にてつとめてゐるが、面と装束をつけた本式は人災疫病禍が眼前に迫った令和二年二月に、山形縣米澤市の雪まつりに参加して以来、四年ぶり。私の好きな能のひと . . . 本文を読む
樂しみにしてゐた大相撲の春巡業を、今年も橫濱アリーナで觀る。三月場所で優勝した“ザンバラ髪”の尊富士は足の負傷で初めから休場、數年前から何となく應援してゐる貴景勝も、幟は揚がってゐても今日の取組に名前は無く、橫綱も土俵入りだけで結びの一番には現れず、なんか肩透かしを喰ったやうな氣がしなくもないが、新大關の琴ノ若に目的を絞ることにして、公開稽古中の場内に入る。客席はまだガラガラゆゑ、とりあへず最後部 . . . 本文を読む
強風の吹き抜ける羽田空港を脱出し、大田區の森ケ崎に至ると、限られた敷地に複數の御堂が佳くまとまった寺院を見つけて、立ち寄ってみる。由緒書きに拠れば、當寺院は「三緑山 法淨院」と號し、一名“森ケ崎觀音”、江戸時代には浪除觀音であったものが、戰後に先代住職によって現在の形に整へられたもの云々。入ってすぐ左手の脇に建つ地藏尊は、昭和十三年八月二十四日に森ケ崎上空で發生した飛行機同士の衝突事故により亡くな . . . 本文を読む
東京都墨田區のすみだ北斎美術館にて、「歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能」展を觀る。十九歳で勝川春章に入門し、“勝川春朗”と名乗って浮世繪師の道を歩み始めた後の葛飾北斎が、芝居繪を手掛けてゐた若き日の貴重な作品を並べた企画で、芝居を舞薹裏から狙った構図などは、さぞ芝居好きの心を擽ったことだらう。(※案内チラシより)“惡玉踊り”の振りを、稽古した人から聞いて解説を付きの分解図に仕立てた「踊独稽古」な . . . 本文を読む
地下鐵に乗ってゐたら、文京區根津の根津神社でつつじまつりが開催中と知り、ちょっと立ち寄ってみることにする。ほかに行く用事があったので、本當に立ち寄っただけ。本殿に参拝したあとで、件のつつじ群を遠巻きに眺めて、ヨシ見たぞ、と満足して、本来の目的地へ。──園内をゾロゾロ歩く人々を見て、なにもあのヒトたちと一緒になって歩かなくても、つつじの綺麗な場所ならば我が地元にいくらでも . . . 本文を読む
品川の運河に沿った公園に立ち寄る。散った櫻は地面に咲き、見上げればここでも藤が咲き始めてゐる。一眠りしてから通った我が生活圏内の遊歩道では、牡丹櫻が盛んに笑ふ。いつ見ても見飽きぬ。次はまた来年の春になるからの。 . . . 本文を読む