KEIKO のクモ膜下出血の手術で、うちのオフクロが同じ状態になった時を思い出した。オフクロもクモ膜下出血で二ヶ月入院した。その時、親父はまだ仕事をしていたが、家事は全くしたことがなく殿様生活で60数年。家にはオレ、姉貴と誰も居ず、自炊生活に泣く泣く突入。ケンカっぱやく、腕っぷしも強い親父だったが、ガスコンロなどつかったこともなく、初めはコンロのツマミを回して火がつくことを怖がっていたりした。昼飯も弁当からコンビニ弁当、カップラーメンに変わってしまった。今ではカップ焼きそばも作れるようになったが。因に、親父よりかなり年下のカミさんの母親は作ることができないが。自分で台所に立つうちに、かなり上手になっていった。しまいには、料理好きな息子の俺にホルモン煮込みの対決を申し込んできた。そして、親子対決は実現した。おれはオフクロの味を再現した。何と親父はさつま芋を入れるという、荒業で勝負。審査員はオフクロとカミさん。ジャッジは2-0で親父の勝ち。確かにオレも敗けを認めた。すごくおいしく楽しいバトルだった。それから三年後かな、親父が脳卒中になり、左が不自由になってしまい、男の料理バトルは出来なくなった。親爺はレシピは教えてくれない。仕事を離れても職人のままなのかなと。でも、もう一回食べてみたいと思う、ちょうど今頃の母親が手術したころになると。