未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




前期、「永野芽郁」目当てで久々に朝ドラを見ていたのだが、いかんせん、ストーリーが雑なので、盛り上がりに欠けた。

終いには「演技が単調」とまで言われてしまったが、あの脚本(原作?)では、そもそもが主人公が一面的に描かれているので、演技云々以前の話だ。今後の「永野芽郁」に期待したい。

「半分青い」に懲りたので、次の朝ドラは見るのやめようと思っていたのだが、「安藤サクラ」が主人公と聞いて、ザワ着いた。

「愛のむきだし」を初めとする、初期のサイコな安藤のイメージが強いので、朝ドラなんか出来るの(やっていいの?)と言うのが、最初の感想であった。

怖い物見たさで「ちょっと観てみよう」と観始めたのだが、完全に予想を裏切られた。

「ふくちゃん、可愛い。」

さすがの貫禄によるプラスアルファがあるのだろう。普通に観ていたら新人の娘が演っていると思うだろうし、逆にあまりにも可愛らしい(緊張とか、演じているとかが全く感じられない)辺りに、今までにない新鮮さを感じる。

オープニングがまた良い。録画して観ているので、普通はオープニングって、最初の一度だけ観て後は飛ばしてしまうのだが、これ、今のところ毎回欠かさず観ている。何度見ても見飽きない。

先入観がなければ、普通に「愛らしい娘」だな、で済んでしまうのかもしれない。私のように先入観があると、「これ、本当に『安藤サクラ』なのか?」と、驚愕に脚をガタガタ震わせて(震えません)、アラ探しをするが如く目を見開いて観ているのだが、結局は途中から「ふくちゃん」に魅入られて、最後の「パン!」をワクワクしながら待ってる。

「本当にこれ、安藤サクラなのか?」

「ふくちゃん」を見れば見るほど、全くの別人だ。いや、別人どころの騒ぎではない。

「ふくちゃん」可愛い。

これが演技だとは、とても感じられない。自然過ぎる。(自然過ぎることすら感じられない)

今週一週間、安藤サクラが気になって仕方がない。

「そもそもの自分の先入観が間違っていたのか?安藤サクラの他の作品も観てみたい。」と、今週はずっとそんな気持ちに占められていた。


この3連休、映画でも観に行きたいと思っていたのだが、観たい映画を全くやっていない。

あれこれ探しているうちに、まだ『万引き家族』をやっているのを見つけた。

一週間のもやもやとマッチして、「これだよ、これ」と、観に行くことにした。

そもそも『万引き家族』が話題になっていたころは、観に行く気がしなかった。

根がヒネクレ者なので『カンヌでパルムドール』との文脈から映画を観に行くというのを小バカにしていた(ノーベル文学賞の文脈から『カズオ・イシグロ』を読むというのと、同じ違和感)のと、『万引き家族』というタイトルが、『いかにも』過ぎて敬遠していた。

是枝監督も『誰も知らない』は観ていた(これは、素敵な映画だった)が、何となく一般受けする監督との印象があったので、二の足を踏ませていた。


だが、審査委員長の「安藤サクラの真似をしたと思ってください」との逸話は見知っていたし、実は凄く気になっていた。

最高の褒め言葉だ。普通ならこの言葉を胸に抱いて、もう一生生きて行けるぐらいの貴重な言葉だ。


以前から泣く演技に拘りというか、気になっていることがある。

涙を流しても、それを拭わない演技を良く見かける。これ、もの凄い違和感があるので、観ているドラマでこれをやられると、途端に見る気が失せる。

興覚めだ。

涙が流れて拭わない人はいない。

涙が流れて拭わないのは、主人公が泣いている姿を見せて、「ここは主人公が涙を流しているシーン、主人公が泣いているシーンなんですよ。皆さんも泣いて下さいね。」と、言われているような圧力を感じる。

ちゃんとしたドラマだと控えているのだが、そうでもないと必ずそうしなければいけない決まりでもあるがごとく、しょっちゅう見かける。

海外ドラマだと、ちょっとした端役の女優さんであっても、必ず涙は拭いている。

視聴者を馬鹿にしている、教えてあげないと解らない、泣いてくれない、感動してくれない。

涙を流しているのを見せれば、泣くところであるが解るので、感動してくれるので、視聴率が上がる。

そう、誰かが杓子定規に決めているとしか思えない。


安藤サクラのそのシーンは、先入観があって敷居が上がっていたにも関わらず、なるほど、とても素敵なシーンであった。

涙が流れる前から瞼を拭い初め、いつのまにか涙まみれになっている。

確かに、初めて見る泣き方だ。(一応断っておくと、理屈で泣いたわけではなく、振り返っての後付けだ。)


映画も、素敵な映画であった。樹木希林から子役の子までが万遍なく、凄く良く捉えれているし、そう言えば、『松岡茉優』も出ている。

ストーリーも、ちょっと変わった家族の日常を淡々と捉えているドキュメンタリー風の物かと思いきや、サスペンス風の展開というエンタテイメント的な要素もちゃんと含まれている。

『カンヌ映画祭』という意味を、改めて実感させられた。


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