kouzi_2007~

発火村塾 established 2007

大宇宙の大怪魔 第二話

2015-02-14 09:22:27 | 連続小説
これまでのお話
第一話


第二話
電話はエヌ氏からであった。
「今から仙人様を連れてく。お酒となにかおつまみを用意しておいてくれ。」
「仙人様?仙人様ってどなた様なの?え?なに?・・・!?」

果たしてエヌ氏は珍妙な老人を連れて帰ってきた。白髪で両眉と鼻ヒゲと顎ヒゲがつながって耳の穴からも毛が出ている。ヒゲだらけで顔がまったく見えなかったが、頭の天辺は禿げあがって見事な光沢があった。大層な厚着で、毛糸のセーターの上に厚手の生地のジャケットを着て前ボタンを全部留めている。その上に女物の着物をすそを引きずりながら羽織り、半ズボンで黒いニーソックスを履き、靴はくたびれたローファーである。そのうえパンパンに膨れた大きな紙袋を両手に抱えているのだ。
出迎えたエス子とエム子は仰天した。どう対応して良いのかわからないし、むしろ関わりたくないと思った。だが、エヌ氏がどうぞどうぞとスリッパを差し出すと、エヌ氏、エス子、エム子と順番に時代劇のような大袈裟なお辞儀をしてスリッパを使い、上がりかまちでいちど振り返り脱いだ履物をそろえ、向き直って「お頼み申す」と一礼したその堂々とした態度に気圧され、つくり笑いで迎えてしまったのである。


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