新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

ど~でもいいはなし:僕とストレス学説と傷寒論

2011-11-19 11:19:04 | ど~でもいい話

おはようございます

今日は朝から風邪気味で…とりあえず風呂に入って葛根湯を飲んで・・・・と風邪を早く治そうという対策をしております。

 

葛根湯は僕は患者さんにも自分にも多用するアイテムの一つです。自分の専門である「血液内科」の分野ではほとんど使用しない漢方ですが、本当に様々な分野で役に立ちます。そういえば・・・血液分野でよく使用するのは「芍薬甘草湯」ですね。恐ろしいほど「グリベック」のこむら返りに効きます。ちなみに抗癌剤治療を行った際に「吃逆(しゃっくり)」が出る人がいますが、西洋医学系の各薬剤をすべて使用してもだめだった人が「芍薬甘草湯」が効いて、これが最も良いという結論に至りました。ちなみに1回2~3包使用してください。普通に1包では効果が弱く、この薬のように「頓服」の効果が高いものは多めに期間短くが良いです。

 

過去に「ど~でもよい話2:僕と漢方・・出会いと塞翁が馬」という記事を書いて、漢方との出会いを書きましたが・・・本当に東洋医学と西洋医学、非常に合わせて考えると面白いものです。

西洋医学で「ストレス学説」というとハンス・セリエが出てくると思います。彼はストレスに対する体の反応を「警告反応期」「抵抗期」「疲憊期」の3つに分けました。傷寒論では陽病期(三熱病)と陰病期(三寒病)に分けます。陽病期は抵抗期、陰病期は疲弊期ですが、陽病期の一番最初「太陽病」期が警告反応期にあたると考えられています。

傷寒論ってかなり昔に書かれた書物ですけど、現代西洋医学の考えと同じような結論を出していて素晴らしいですよね。

 

西洋医学は基本的に「原因」があって…という考え方ですが、漢方の考え方は「もっともよい状態」から体が何らかの反応をして「よい状態から外れている」という考え方です。

 

西洋医学では「原因の除去」を考えますが、漢方では「よい状態に近づける」ことを考えます。だから漢方では「証」があります。同じ病原体でも体の反応が異なれば、最も良い状態に近づける方向が違ってしまうという考え方です。

 

よって今回の風邪・・・では、特に風邪の初期の警告反応期・太陽病期の今の段階では「葛根湯」を使用します。

 

僕は患者さんや漢方をあまり知らない方には

葛根湯は抵抗力を上げて、症状は強くでるけど、期間が短くなるようにする薬

と説明しています。だから風邪の初期にのまなかったら「短くならない」でしょう・・・って。西洋医学で使用する「風邪薬」は通常なら原因の除去をしたいけど、風邪のウイルスを殺す薬はないので症状を抑えている。だから免疫力を高める葛根湯と症状に合わせた西洋医学の薬とをうまく使いわけて治療をしましょう・・・って。

(よく上に突の正規分布のようなグラフを書いてます。Y軸は症状の強さ、X軸は時間葛根湯を飲むと症状は強く出るけど、期間は短くなる(面積は同じ)。で、症状は風邪薬でうまくコントロール・・・って。みんな納得してくださいます)

多分、葛根湯の風邪に対しての本質はここにあると思うのです。

そして・・・西洋+東洋医学の両方から見ていくと、患者さんにもメリットがあると思いますが、医療従事者も「東洋目線(漢方目線)」と「西洋目線」の両方で診察できて二度おいしい(すいません)。

と、言うことで漢方の勉強と西洋医学の勉強を両方しております。

 

さて、とりあえずもう少ししたら丸善に向かいます。

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2 コメント

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Unknown (だん)
2011-11-19 18:47:29
風邪引いてしんどいの?
あたしもしんどい
病院行きたいけど
我慢してる
先生も我慢してる?

漢方くさい
とうきしゃくやくさん
って知ってる?
ずっと飲んでたよ
今はもう飲んでないけど
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風邪は何となく治りましたw (アンフェタミン)
2011-11-20 13:07:52
>だんさん
こんにちは、コメントありがとうございます。

風邪は葛根湯とゆっくり休養したおかげか、こじらす前に治ったような感じがします。
僕は今病院勤めでなくなっているので、面倒なので手持ちの薬で対応しています。まぁ、自己診断でですけどw

漢方には独特のにおいがありますよね。エキス製剤でも駄目な人はだめといいますね。
ただ、どうも証に合っている場合は飲みやすく感じるようですよ。子供でも飲んだりするみたい(患者さんから風邪ひいたとき子供に飲ませたがよく効くし、嫌がらない・・とかいう話をききます)

当帰芍薬散ですね。女性に良く使う漢方薬だと思いますが、僕はあまり使った経験はないです。産婦人科の先生はよく使うかもしれませんね。

また、コメントいただければと存じます
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