Moments musicaux

ピアニスト・指揮者、内藤 晃の最新情報です。日々、楽興の時(Moments musicaux)を生きてます。

美音の架け橋

2011年03月26日 | お知らせ


調律の松永正行さん(松永ピアノ)が著書『美音の架け橋』を出版されました。松永さんの、音に対するこだわりと情熱のにじみ出た労作です。

松永さんは、ハッと目の覚めるような、イキの良い音を創る職人で、僕の大好きな調律師の一人です。理想の響きを追い求めて、日々、飽くなき探求を続けておられます。松永さんは、スタインウェイ社の免状をお持ちの数少ない技術者の一人ですが、この『美音の架け橋』では、スタインウェイ社の技術認定試験における、試験官ヤング氏(仮名)と松永さんとの技術者同士の矜持のぶつかり合いがスリリングに克明に綴られており、その中で、音楽の裏方である「ピアノ調律」の世界の奥深さを垣間見ることができます。杉谷昭子さんやパーヴェル・ネルセシアンさんなどの一流ピアニストとの興味深いエピソードも語られ、松永さんの音づくりの哲学が明らかにされてゆきます。ぜひ、お手にとってみてください。実は、仕上げ段階の原稿を見せていただき意見を言わせていただいたので、巻末に小さく内藤の名前も掲載してくださいました(ありがとうございます)。

この杉谷昭子さんのベートーヴェンは、松永さんの調律です。ファイルが圧縮されているためか音の状態がいまひとつですが、音色の良さは伝わると思いますので、良かったらご試聴ください。



ちなみに、5月25日のコンサート(こちら)では、松永さんに調律していただく予定です。

震災

2011年03月14日 | お知らせ
まず、震災に被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
自分は、新宿から8km歩く破目に遭いましたが無事です。

一人でも多くの方々のご無事をお祈りしております。


【お知らせ】
3月21日(月・祝)に予定されていた仙台市ハタケヤマ楽器ミニコンサートは中止になりました。被災された仙台の皆さまには心よりお見舞いを申し上げます。

3月25日(金)に予定されていた日本クラシック音楽コンクール入賞者ガラコンサート(オーケストラ指揮を担当)は、震災後の諸々の混乱のため開催を見合わせることになりました。楽しみにしてくださっていた方には申し訳ございません。

リストのピアノ曲

2011年03月02日 | コンサート
ユーロピアノさん発行の機関誌「ton art」2月号に、調律師 加藤正人さんとわたくし内藤による、リストのピアノ曲に関する対談が載っていますので、良かったらご覧ください(こちら)。

リストのピアノ曲の演奏には、どうしてもハッタリの要素が必要になってくるのが難しいところです。聴衆をとろかすように魅了したり、めくるめく技巧を披露して圧倒したり、という狙いがあちこちに仕掛けられていますから。ただ、技巧的な場面は、いかにも「簡単そうに」弾かないと意味がありません。聴衆は、鮮やかなマジックのようなピアニズムを期待しているのであって、マジシャンの所作がおぼつかないと、興が冷めてしまいます。



5月25日(水)14:00~、横浜市栄区のリリスホールのホール企画「午後の演奏会」で、オール・リスト・プログラムを演奏させていただきます(こちら)。リスト生誕200年ということで、新しいレパートリーに新鮮な気持ちで取り組んでいます。平日の午後ではありますが、お近くでお時間のある方はぜひ会場にいらしてください。

なお、僕がリスペクトしてやまない調律師さんは何人もいらっしゃいますが、この日は、山口県から松永正行さんに来ていただきます。魔法のように色彩豊かな響きを創ってくださる方で、リスト作品にはピッタリではないかと思います。楽しみです!

都城

2011年03月02日 | 演奏記録
先週末、宮崎県の都城に行ってきました。
さすが畜産の地だけあって、空気が動物くさいような。
噴火騒ぎで火山灰が心配でしたが、収まっていました。
夜は人家の明かりがほとんどないので星が綺麗なこと!



招いてくださったのは、昨年お知り合いになった調律師の小林耕三さん(オフィスこばやし)です。
ドビュッシーやリストの作品を中心に、午前の部、午後の部と行ない、CDも24枚中20枚買っていただくなど、大変な好評をいただきました。
地方では素敵な生演奏を聴く機会がなかなか得られないというお話でしたが、僕の音楽が都城の皆さんに楽しんでいただけたのでしたら大変光栄に思います。

終演後、お客さまでいらしていた女の子が、CD収録曲のスカルラッティのソナタホ長調を練習中ということで、急遽ワンポイント・アドバイスをさせていただくことに…(^.^)。目を輝かせて聞いてくれて、嬉しかった!
ついでに、小林さんの娘さんのレッスンまでしてしまいました…。音楽が大好きな、熱心な子を教えるのは大好きです。



写真は、小林さんがピアノの調整をしてくださっているところ。