Moments musicaux

ピアニスト・指揮者、内藤 晃の最新情報です。日々、楽興の時(Moments musicaux)を生きてます。

6月9日(金)歌とピアノで綴るショパン/汐留ベヒシュタインサロン

2017年06月09日 | コンサート
6月に予定されている、きわめて珍しいショパン歌曲のコンサート。ショパンとサンドの友人だった歌手ヴィアルドが編曲したマズルカも取り上げます。ショパンはオペラを好み、声楽的な発想で音楽を書いた人ですが、このコンサートでは、実際に声で歌うショパン作品、そして彼の好んだロッシーニやベッリーニのアリアとの比較を通じて、彼の音楽の根底にあった「声へのあこがれ」を体感していただければと願っています。


リハーサル風景/ポーリーヌ・ヴィアルド:「ショパンのマズルカによる歌曲集」より「私を愛して」(ショパン:マズルカ Op.33-2による)
 ピアノを人の声のように自在に羽ばたかせたショパンの旋律。これを実際に声に出して歌ってみるとどうなるでしょうか。ショパン自身も、未出版の歌曲をいくつか残していますが、とりわけ面白いのが、ショパンとジョルジュ・サンドの共通の友人ポーリーヌ・ヴィアルド(1821-1910)が編曲した、ショパンのマズルカの歌曲版です。彼女はオペラ界で活躍していた声楽家で、のちにブラームスの「アルト・ラプソディ」の初演も務めました。耳馴染んだショパンのマズルカが、ルイ・ポメイによるフランス語の詩と、ヴィアルドによる編曲によって、変イ長調 Op.50-2は「16歳(Seize ans)」、ニ長調 Op.33-2は「私を愛して(Aime-moi)」など、新たな生命を獲得していますが、それぞれ何ともチャーミングで、ショパンの旋律と人の声との高い親和性に改めて驚かされます。ショパンがピアノに応用した「声の技法」や、彼の創作の根底にあった「声への憧れ」を見事に実感させてくれる編曲です。なお、ヴィアルドは、パリやロンドンでショパンと共演しており、この編曲はショパン自身もお気に入りだったようです。
 このような素材から、ショパンの表現しようとしたものに想いを馳せてみると、ショパンという存在がまた少し身近に感じられてくるのではないでしょうか。
(「音楽現代」2017年6月号への寄稿「名曲の向こう側」第6回より抜粋)
チケットは、主催の ショパンセンター info@chopin-center.org に直接お申し込みくださいませ!

6/9(金)19:00~ 汐留ベヒシュタインサロン 3,000円(当日3,500円)
共演:下崎響子さん(ソプラノ)



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