Moments musicaux

ピアニスト・指揮者、内藤 晃の最新情報です。日々、楽興の時(Moments musicaux)を生きてます。

遠藤雅美さん「涙」

2014年10月26日 | 演奏記録


シンガーソングライター遠藤雅美さんの新曲「涙」に、内藤がピアノ&アレンジで参加しております。PVがUPされましたのでぜひご覧ください!



海辺の素敵な映像が歌の世界とマッチしてとても素敵です。
この曲は、遠藤さんのニューアルバム「Endorphin」(12月発売予定)に収録されており、秋田テレビとのタイアップも決まったようです!
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バッハは楽器をえらばない

2014年10月24日 | オピニオン


バッハを現代楽器で演奏するという行為自体に賛否両論があります。
私は、ピアノというフィールドで、好んでバッハに取り組んできましたが、今日はバッハと楽器の関係についてお話ししてみたいと思います。

グレン・グールドは、インタビューの中でこんな発言をしています。



「作曲家には2つのタイプがある。一方は究極のソナタや交響曲を書こうとするパガニーニ、リスト、マーラー等、楽器や編成の可能性をとことん追求するタイプ。もう一方は、耳ばかりか視覚的な鑑賞に値する作品、つまり、楽譜を見ただけで色々な響きが聴こえてきて、構造そのものの意味が伝わってくる作品を書こうとするタイプ。こちらは構造が重要で、響きは二の次をいうわけだ。その最たる例がカール・ラッグルズ。(中略)バッハは傾向としてはこちらのほうだったし、年々その傾向は強まり、晩年には『フーガの技法』のように内省的な作品を生み出した。つまり作品の構造や音楽の流れの本質を追求し、外面的な響きや世評などからは遠ざかったのだ。」

ご存じの通り、バッハは「フーガの技法」で楽器指定をしませんでした。ですから、この曲は色々な楽器で演奏され、それぞれに魅力的です。





バッハは、同じ楽想をしばしば他の編成に改作しており、特定の楽器の響きへのこだわりからは解き放たれています。

例えば、ヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 と チェンバロ協奏曲第3番 ニ長調
Before

After


ブランデンブルク協奏曲第4番 ト長調 と チェンバロ協奏曲第6番 ヘ長調
Before

After


無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 ホ長調 と リュート組曲 ホ長調 / カンタータ第29番
Before

After



などなど、同一楽想の改作の例は枚挙に暇がありません。
ちなみに、当時は、鍵盤楽器の不等分律のもつ調性格(調性による響きの色合いの違い)が作品の着想と密接に関わっていた時代ですが、バッハは、同一の曲を異なる調に改作したりもしていて、当時の楽器の響き具合という呪縛からも自由な、未来的(平均律的?)で柔軟な思考の持ち主だったと言えると思います。

このような同一楽想の改作の例として、とりわけドラスティックな変化が聴ける面白い例がこちらです。

Before
バッハ:プレリュードとフーガ a-moll BWV894

After
バッハ:フルート、ヴァイオリン、チェンバロのための三重協奏曲 BWV1044 1st Mov


Before
バッハ:トリオソナタ第3番 BWV527 2nd Mov

After
バッハ:フルート、ヴァイオリン、チェンバロのための三重協奏曲 BWV1044 2nd Mov


鍵盤楽器(チェンバロ、オルガン)のための作品が、奏者たちの丁々発止の対話によって、なんと豊かでスリリングな音楽に変貌していることでしょう!

このように、バッハの音楽は構造自体が意味深く、それを奏でるツール(楽器)を選ばない普遍性があります。
チェンバロによる典雅な輝きをもつおしゃべりも魅力的ですが、時代とともに鍵盤楽器も変遷し、我々は、限りない音色の可能性をもつグランドピアノを手にしています。
バッハの鍵盤作品は、フーガひとつとっても、合唱を思わせるものから、器楽的なもの、オルガン的な荘厳なものなどさまざまですし、コンチェルト的なTuttiとSoloの交替がみられる作品、リュート的な繊細な作品、管弦楽組曲の序曲を思わせるスケールの大きな作品、など、多彩な曲想で成り立っています。チェンバロの限られた枠内にとどまらず、作曲家の脳内で鳴り響いていたであろう豊かなアンサンブルのイメージにアプローチすることで、表現力豊かな現代ピアノならではの演奏ができるのではないでしょうか。さまざまなタッチを駆使して、腹話術のように一人何役も同時に演じ分けることができれば、楽曲のポリフォニーに内在したスリリングな魅力により肉薄できるはずです。

ところで、ラヴェルのピアノ作品には、本人がオーケストレーションしているものが多くあり、ピアノで演奏するうえで、きわめて有益な示唆を与えてくれます。

ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」
ピアノ版

管弦楽版


バッハ演奏でも、たとえば管弦楽組曲を想定して書かれた「フランス風序曲 ロ短調」の元のイメージを、管弦楽組曲を手がかりに想像してみることで、演奏は変わってくるに違いありません。このようにして、最終的な出版形態における楽器の狭いイメージに留まらず、想像の翼を羽ばたかせて表現したいものです。

フランス風序曲 ロ短調 BWV831

(参考)管弦楽組曲第2番 ロ短調 BWV1067



バッハの名曲は、さまざまなアーティストが色とりどりの形態でアプローチしていますが、どれもすこぶる魅力的です。ツール(楽器)を選ばない普遍性をもった音楽であり、私たちピアニストも、ピアノならではのバッハを体現したいですね。

ボビー・マクファーリンの「G線上のアリア」


Swingle Singersのア・カペラ・コーラスによるバッハ


シトコヴェツキー(Vn)、コセ(Va)、マイスキー(Vc)によるゴルトベルク変奏曲



そして、

アルブレヒト・マイヤー(オーボエ)による、イタリア協奏曲の見事な編曲!


(そう、この曲は、愉しいコンチェルト・グロッソなのです!)




最後に僭越ながら、YouTubeに掲載されている私のバッハを。





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10月23日(木) 北海道新聞 夕刊「季評 音楽」

2014年10月23日 | お知らせ


三浦洋氏による「季評 音楽」のなかで、私が客演させていただいた7月5日(土)札幌シンフォニエッタ演奏会を取り上げていただきました(クリックで拡大)。
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10月5日(日) 工房コンサート@ユーロピアノ八王子工房

2014年10月05日 | コンサート
なぜこの調で作曲したのか?なぜこの調に転調するのか?なぜ半音階なのか?etc.

われわれは、作品にアプローチするときに、楽譜から作曲心理を辿ろうと試みるわけですが、そのヒントが、当時の「音律」にも存在します。昔の調律法では、鍵盤楽器の音階は均等ではなく、調性によって音程感が異なり、さまざまな響き具合や色合いをもたらしていました。

調律師の加藤正人さんに協力いただき、当時の音風景から表現の可能性にアプローチする共同研究をおこなっています。検証の現場は白熱した議論が飛び交い、知的な刺激に満ちています。

今年6月に始まった「工房コンサート」音律シリーズで、その研究成果の一端を発表しておりますが、「耳からウロコ」の驚きや感動の連続です。モダンピアノ弾きには馴染みのない音律の世界ですが、それを体感することによって見えてくるものが沢山あり、多くの方と共有できればと願っております。

第2回は「しっかり聴いてキルンベルガー~バッハと「平均律への憧れ」」と題し、バッハの弟子キルンベルガーによる調律法(師バッハの調律を継承していると言われる)で、バッハとその周辺の作曲家の作品を覗いてみながら、表現の可能性を考えてみます。

バッハの「平均律クラヴィーア曲集」とは当時どれだけチャレンジングで実験精神にあふれた音楽だったのか。バッハがどれだけ未来的で柔軟な思考の持ち主だったのか…。モーツァルト、ハイドン、スカルラッティなどの楽曲も取り上げながら、バッハの音楽に息づいた美意識を考えてみます。



【レクチャーについて】

第7回ピアノ工房トークコンサート
音律シリーズvol.2しっかり聴いてキルンベルガー 
~バッハと「平均律への憧れ」~


前回の調律法「ミーントーン」に続き今回は「キルンベルガー第3法」を使用します。この音律シリーズは歴史を真実を追い求めることが目標ではありません。当時の作曲家たちが生きていた時代に実際存在していた様々な音律から発せられる響きを追体験し、そこから現代の平均律に調律されたピアノでの演奏に様々な表現のヒントを見出せないか検証する場です。

とは言いましても、同時に少しでも真実に近づくための問題提起と仮説を繰り返すことにより見えてくる「作曲心理」にも迫ります。日ごろ弾きなれている作品が全く違った響き(我々はこれを"音景色、音風景、音世界"などと呼んでいます)を持って新たな一面を見せてくることは間違いありません。

たくさんの「なぜ?」を皆さんと一緒に考え、音に更なる豊かな表現、命を与えたいと思っています。

多分に古楽の方々には馴染みのある話題ではありますが、このテーマは普段モダンピアノで演奏されている(我々含め)多くの方々にも非常に有益な体験に富んでいます。学び多き時間になることを確信しています。

複数人ご希望の方には【☆お得な価格☆】もご用意しております。お席に限りがございますので、御予約の上ご来場くださいませ。

《詳細》
日程  10月5日 13:30開場 14:00開演
会場  ユーロピアノ八王子 技術・営業センター工房内
出演者 末永匡 稲岡千架 内藤晃 加藤正人
曲目  バッハ、モーツァルト、スカルラッティ、ハイドンなど
☆入場料☆ 2000円 ペア券3500円
    (3名様以上は1人1500円)

≪予約方法≫
①出演者に直接メール、電話、FBメッセージ、FBイベントページでの参加等

FBイベントページ


②またはユーロピアノ株式会社(下記参照)にご連絡ください。

≪お問い合わせ≫
ユーロピアノ八王子技術・営業センター
〒192-0063
東京都八王子市元横山町1-12-6

TEL 042-642-1040

定休日:土曜日・日曜日

主催 工房コンサート実行委員会
協賛 ユーロピアノ株式会社
後援 PTNA 一般社団法人全日本ピアノ指導者協会
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