真っ赤な色をしたヒガンバナは、その毒々しいばかりの色からも想像できるように鱗茎に毒を持っている。
アルカロイドを含み誤って食べると、嘔吐、下痢の症状を引き起こし死に至ることもあるといわれている。
身近な野菜のなかにも、ジャガイモ等のように有毒のものは多々ある。
ヒガンバナは昔から田んぼの畦道にに植えられ、飢饉等の時に非常食として鱗茎のデンプンを食用としていた。
水にさらすことで毒性が抜けるので、戦後の食糧難の時にも食されたという。
ヒガンバナは曼珠沙華とも呼ばれ、天上の花とも言われる反面地獄花、死人花など不吉な呼び名が多い。
人間が何と呼ぼうが、炎暑が終わり秋を知らせてくれる花には違いなく、触れれば折れそうな立姿もどこか凛々しさを感じさせる。
彼岸花を散見するようになると、やがて博多の街に放生会のチャンポンの音が聞こえてくる。