スイカ作り名人

何でも名人と言う人は居るものなんだ。
先日の精進落としで、お酒が飲めないと言うＴ君は静かに座っているので、ウーロン茶を持って
お酌に行くと、思いがけず今の仕事の事やどんな思いで生活しているのかと話してくれた。

声さえも聞き取れない位、声質も記憶にない位のおとなしいＴ君は会社勤めをしながらの
兼業農家で高齢のご両親と3人で暮らしている。

おとなしいと言われながら、スイカ作りの名人と聞いた。
売って商売としているのではなく、自分で食べる為と言うが、父の仏前に大きな立派な
スイカが上げて有った。

「Ｔ君、みんなからスイカ名人だって聞いたけど、何か奥の手があるの？」と聞くと
今迄見た事も無い笑顔で「そんな事無いよ―。ただ普通に植えてるだけだよ」と。

「普通に植えてるのは皆さん同じでしょうけど、特別味が良くて立派ってのは・・・・私だけに
そーっと教えて？」と迫ったけど、笑っているだけで「普通だよ」と言うばかり。

他の人は、ご自分の家の秘密だって、恥じ話しだってオープンに教えてくれる。
私が離れて生活しているので、安心して話してしまうのだ。

私がブログで書くなんてゆめゆめ思っていないのよね。ヒヒヒしかし
人の秘密なんて、とても一口では表現が難しいので書けないけどね。辛い話は特に。

スイカ作り名人君は、ご自分では長い事自己流でやっているらしいから特別コツがある
わけではなく、謙遜では無く本当に意識に無いらしい。

「苗は10本位植えるの？」と食い下がると「そんなに植えないよ～実が一杯なっちゃって
食べ切れないよ～」と。
私が知っているスイカは一本の苗でそんなに実がなったら一個の味が悪くて最後など
"裏なり"なんて言われて邪魔扱いされるのが落ち。

名人君は、5.6本らしいけど、立派な実が沢山なって、どれも大きく甘味が深く評判だって。
近所にも配るらしいけど、スイカ作りの専門家より、効率が良く外れが無いそうだ。

羨ましいなー。夏の時期だけでも傍に居て、その作品をかぶりついて見たいものだ。
実家で甘いスイカを一切れ食べたのが美味しかったからＴ君の作品だったかな？

　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　普通に作ると思っているのが皆の知らない特別らしい