セカンドライフ 

歳を重ねるのも悪くはない

三兄弟でお喋り

2010-09-13 | セカンドライフ
実家の兄から書類の整理が少しあるので印鑑証明を持って来るよう連絡が有った。
特に大事では無く、金額の少ない通帳や、40年前に父が母親にかけた簡易保険の
名義書き換えとの事。
僅かな物でも、「まあいっか」とは行かず、姉と2人で実家に行った。

通帳もクローズになっていては、日々の生活もし難く、少しづつ整理をして行きたい
との事。兄は老眼をかけながら、書類は慣れた様子でサッサとこなしている。
中身を全部見せて「まあ、こんなわけで分け前も勿論無く喧嘩も出来ないってわけだ。」
と妙な自信を見せている。

父の祭壇の前で大きなテーブルを囲み三兄弟で、昔懐かしい話をした。
父の直ぐ上の姉の写真が出て来た。
女学校の時の制服姿の写真だ、大正15年4月1日とあった。

セピア色の中の女性は、噂通りの整った美しい顔立ちをしている。
社会に出てからは少し細面てになったが、やはり整った面もちで、すぐ上の姉家族と、
遠慮がちに写真におさまっていた。

美しいのだが、一寸力の無い感じなので、聞いてみるとその後結婚をしたが、病いに
侵され離縁し実家に戻り亡くなったのだと・・・・。

美人薄命そのものか~残念だなー、一言でも話したかったなー。
可哀そうに、現代なら難無く命を救う事が出来たはずなのに・・・・・。
姉の分まで父は生きたのかもしれない。

こんなに兄弟で長くお喋りをする事も滅多にない、初めてだ。兄は大事が終わり、
書類も整理が付くのでホッとしたのか私達を笑わせてばかりいた。

「こうやってな、兄弟げんかしなくて済むのは、ひとえに親父が何も残さなかったお陰だ」
なんて偉そうに言いながら、皆で父の遺影を眺め大笑いをした。

四十九日になれば、お墓に納骨し又一息落着く事だろう。
本当は姉と、裏にある両親の部屋を掃除しようとエプロンと着替えを持って行ったのに
とうとう暗くなる迄お喋り座談会になってしまった。
こんな事もそうそう有る事ではないだろう、とゆっくりした気持ちになって帰京した