カリフォルニアン・キッズ

4年を過ごしたカリフォルニア生活も終わり・・・
帰国子女となった子供たちとの日々をのんびり書いています

サンフランシスコ動物園の虎事件

2008年01月19日 01時25分49秒 | カリフォルニア生活
自宅に年末に帰って、新聞(サンノゼ・マーキュリー)を眺めて、まず驚愕した事件といえば、サンフランシスコ動物園の虎が、入園者を襲い、一人を殺したというもの。だって、サンフランシスコ動物園といえば、かなり何度も行っています。つい二ヵ月ぐらい前にも行ったばかり。行くところが思いつかないときは、とりあえずここに行こうかとなるくらい子供たちのお気に入りだったのに、そんな危険な場所だったとは・・・。

また、事件の経緯がものすごいんです。
12月25日クリスマス当日、ちょうど私たちがサンフランシスコ空港からサンタフェに飛び立った日ですが、その日の夕方5時過ぎもう閉園に近いころ、17歳、20歳、23歳の若い男性たち(サンノゼ在住)が、フェンスを乗り越えてきたシベリアン・タイガーに襲われ、1人が死亡、1人が怪我。でも、動物園関係者によると、虎が何もされないのに人を襲うわけがない、彼らが虎に悪戯をして挑発したに違いないというのです。生き残った二人の男性は兄弟ですが、事件について話すことを一切拒否して、マイケル・ジャクソンの弁護も担当した著名な弁護士を雇ったために、一層人々の疑念は膨らむことになりました。今も警察は捜査中ですが、兄弟がこれまでも問題を起こしたことがあったりということから、疑惑の中に立たされているようです。

ただし、動物園当局は当初はフェンスの高さは適切だったと発表したのに、その後実際には基準よりも4フィート(1m20cm)低かったことを認めています。
当初被害者の家族からの電話にもまったく出なかった兄弟ですが、被害者のお母さんが息子の葬儀に来るように頼んだところ、彼らはやって来ました。そして、お母さんに「自分たちは何もしていない。」と誓い、「虎はカルロスを一瞬で殺した。自分も死んだほうが良かった。目を閉じるたびにあの光景が浮かんでくる。」と泣きながら話したそうです。

さらに昨日この事件での911コールの録音テープが発表され、サンノゼ・マーキュリーに詳細な記録が載っていました。兄弟が何をしたにせよ、事件後の動物園当局の対応は恐ろしく酷いです。
まず、怪我をしなかったクルビルは動物園のカフェに駆け込んで助けを求めましたが、なんとカフェはちょうど閉まったところで、ドアを開けてもらえませんでした。カフェの責任者はドアを閉めたまま、動物園の警護責任者に電話。警護責任者が911に電話しましたが、「大人の男性です。ドラッグをやっているのかも。彼は動物に噛まれたと言っていますが、逃げた動物などいないので、彼は気が狂っているだけかもしれません。そう、ライオンに襲われたと言っています。でもそれはありえません。ライオンに襲われるなんてありえませんよ。」 おいおい!! まあライオンでなくて虎だったけれど。

その頃クルビルも自分で911コールを試みていました。「もう10分前から電話しているのに、誰も来ないよ。」すると担当者は「救急車は用意されていますが、そこが無事かどうかわかるまであなたのところに行けません。救急隊員が怪我をしても困るので。」 クルビルは「ありえないよ!!」 その後カフェの責任者がタオルをくれないと訴えた後で、「それで、救急車がどこにいるかチェックしてくれよ。」と頼んだところ、911は「現場に来ていますが、許しが出るまで園内に入れないのです。(クルビル、怒鳴る) OK、わかります。でも救急隊員が噛まれないようにしないといけないのです。救急隊員が怪我をしたら誰もあなたを助けに行けないでしょう?」 クルビルは「僕の兄弟があそこで死にかけているんだ!!!」 911はまた「OK、わかります。今すぐにあなたの兄弟はベストなヘルプを受けられます。だから私たちが到着するまで落ち着いて待っていてください。」 クルビルは、「ヘリコプターは飛ばせないの? 救急車ほど時間がかからないんじゃないの??!」

これを読んで、かなり兄弟に同情してしまいました。警察も、脱走した虎が二頭いると思い込み、このシベリアン・タイガーを射殺した後で、もう一頭を必死で探したり・・・まるで小説か何かのような無能さです。
でも、カフェの責任者がドアを開けてくれなかったり、動物園の警備人が虎が脱走するなんてありえないと決め付けていたり、なんだかわかるなあ。融通が利かなくて、想像力がない。個人レベルだとそんなことないのに、公式のお仕事やお店関係だとそういうアメリカ人がものすごく多いですよね。これは自分の仕事じゃないから・・・、そこで思考が止まってしまう。通常は、もっと上の立場の人を呼んで、頑張って訴えるとどうにかなることがほとんどですが、こんな非常事態の場合はどうしようもありません。
亡くなったカルロス・ソウサはほとんど即死だったそうなので、救急車の遅れは関係なかったのかもしれませんが、一応救急処置が早ければ助かったのかどうか調べるそうです。

家でこの話をしていたら、息子は「もう絶対に僕は動物園には行かない。トラに食べられたくないから。」と言いました・・・。