医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

「菜の花の沖」の美学9

2006年06月21日 12時09分40秒 | Weblog
 ここで面白い実験をしましょう。

 普段われわれは日本地図を見るときに、北海道が上、沖縄が下、という当たり前の縦長の日本国の絵になじんでおります。

 ところがそれを90度半時計回りに回転させると、問題が見えてまいります。

 北にはカムチャッカ半島と、間宮海峡によって大陸から隔てられたサハリン(樺太)、そして問題の千島列島、また南には以前書いた小説「ハイドゥナン」の舞台である沖縄、宮古、そして石垣・西表・与那国をはじめとする八重山諸島・・もうすぐそこは台湾です。

 日本という国は地形上、ユーラシア大陸のまるで「柄」のように横たわり、他の国々が太平洋に出るのをあたかもふたをし、邪魔をするかのようにすっぽりと覆ってしまうのです。

 もし千島列島がすべて日本であれば、日本国内を横切らない限り大陸側からオホーツク海を通過して太平洋に出られなくなります。

 韓国や中国の黄海から見ても縦長の日本の領土が邪魔であり、大陸諸国からすればそれらは資源上、戦略上重要であり、地理・地形上まさに日本は目の上のたんこぶなのです。

 特に不凍港に飢えるロシアにとっては、ロシア国民のアレルギー的恐怖心ともいえる閉塞感が過剰に反応しております。

 ロシアはスウェーデンを叩き、バルト海の制海権を奪うことにより、ようやく海を手にしました。

 黒海はトルコに阻まれていたので、おのずとカムチャッカを意識するようになります。

 一方極東日本は海洋国であり、太平洋側が大きく開いておりますので、大陸諸国の閉塞感が理解しにくいものです。

 しかし現在のロシアが返還を拒むのは、港が理由ではなく、単に日本にあまり関心がない、外交カードに取っておこうというのが実情のようです。

 今回僕は別段、日本人がよく言われるように、WBCやトリノオリンピック、特にサッカーW杯等に触発されて、にわかナショナリズムの高揚感によって感傷的にこんなことを書いているわけではありません、ちなみに。