医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

PaulとMickの美意識-2

2006年06月07日 17時51分21秒 | Weblog
 英米はその当時からイメージ戦略は巧みでしたから、ビートルズの優等生に対し、それに意図的に対抗してストーンズは徹底してワルのイメージで売り込まれました。

 親が忌み嫌う行動、振る舞い、髪型、ファッション、言動を徹底して演じたのです。

 とにかく、Sticky Fingersをはじめ、曲名、アルバムタイトル、ジャケット、歌詞・・・もう隠語の雨あられ・・・ 高校生の僕は辞書を片手に、僕もだいぶそれで勉強になりました。

 そして皮肉にも親が嫌えば嫌うほど、ティーンエイジャーのハートをつかんでいきました。 

 まあ規模やレベルは異なりますが、日本のドリフターズ、八時だよ全員集合!みたいですね。

 ノリの良さやロックンロールバンドと思われがちなストーンズですが、実はそのバラードは、「Memory Motel」や「Time Waits For No Man」の2曲が特に秀逸だし、他にも「Ruby Tuesday」、「Wild Horses」、「As Tears Go By」に名曲「Angie」、ちょっと毛色は違いますが「Waiting On A Friend」・・・と、これまたポールの洗練されたバラードとは異なり、とってもメランコリックで哀愁にあふれ、本当にせつなくなり、たまりません。

 ちょっと試聴してください

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 以前も書きましたけれども、美しい曲が美しい、特にバラードでどれだけ人々の胸を打つことができるか、ってとても大切だと思います。 

 残念ですが日本のミュージシャンは、このバラードがあまり上手ではないと感じます。

 演歌っぽくなっちゃうんですよね。 仕方ないことですが。

 それか誰かさんのパクリが多い・・・ どこかで聴き覚えのあるコード進行だったり、展開だったり・・ 強烈な個性あるメロディでのバラードが少ない・・・

 また以前紹介しましたが日本の知力、ブレイン、「中沢新一」氏はかつて、メジャー新聞の社説で『20世紀最大の文化人』にストーンズを挙げ、その理由としては不良が世界を席巻した画期的な文化的事象だから・・・と記憶しております。

 つまり、それまで社会ではつまはじきものだった不良が、ストーンズによって社会の中心に躍り出たのです。

 で、それぞれが地位を固めた現在、ポールが64歳、ミックが63歳、今となっては二人とももう年ですし、それぞれの成功と今の地位を考えれば今更演技の必要もなさそうです。

 Paulは1997年に、Mickは2003年にそれぞれナイト(Knight)としてイギリスより叙勲されておりますので、それぞれSir James Paul McCartneyとSir Michael "Mick" Philip Jaggerと両者とも“Sir”がつきます。

 そして、ミックが叙勲されたときの、相棒のキースのコメントがさすがです。

 ウィキペディアからの引用ですが、

 「俺は勲章の授与なんて馬鹿げたことだと思ったよ。そんなことはストーンズらしくないぜ。だろ?俺はくそ忌々しい冠を付けてきざなアーミンの白い毛皮を羽織った誰かさんとステージに上がるなんてご免だね。俺はミックに言ってやったさ。『そいつは糞食らえの無価値な名誉だ』ってね。」

 続く・・・