医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

FIFAの美しき理念-2

2006年06月02日 07時58分45秒 | Weblog
 ロナウジーニョは、はた目にはすべての栄冠と望むものを手にしたかのように思えますが、今回は初めてブラジルの『10番』をつけて挑むため、何が何でも優勝したいそうです。

 ブラジルの10番はかつて、「王様ペレ」と「神様ジーコ」の背負った番号のため、ブラジルでは超特別な番号です。

 ブラジル中の子供たちがセレソン(代表)の10番を夢見るわけです。

 今回はマークが相当きついと思いますが、彼の技のキレはまるで全盛期のやわらちゃんのようです。

 上下左右に上半身を揺さぶる独特のリズムでの華麗で鋭すぎるドリブルや、創造性・芸術性、プレーの美しさや鮮やかさ、ノールックでのパスをはじめとする判断力は、今や誰もが認める世界最高ですから、「魔術師ロナウジーニョ」が一体何を見せてくれるのか、ワクワクですよね。

 彼の首周りの太さを見れば、いかに彼が鍛錬したかがうかがい知れます。

 かつて全盛期のかのドゥンガを魔法のように置き去りにした 伝説の彼の18番「シャベル」は見られるのでしょうか?

 そしてその影で虎視眈々とアドリアーノ、カカ、少し太めのロナウド、そしてロビーニョが・・・マークも外れ伸び伸びと爆発の予感が・・・。


 そして初出場のアンゴラのFWアクワ。

 番組を見て初めて知りましたが、彼のオーバーヘッドと身体能力は素晴らしい。

 そして子供の頃から慣れ親しんだ右からのクロスへの反応。

 期待大です。

 彼の母国アンゴラは・・・悲惨です。

 内戦がやっと終わったばかり。

 街の建物には無数の銃弾が今でも生々しく残っているのです。

 愛する国土が「社会主義」対「資本主義」、言ってみればアメリカ・ロシアの代理戦争となってしまいました。

 先進国の誰かが大もうけをするために仕組んだ戦争かもしれません。

 同じ国の人間同士がいがみ合って殺し合ったのです・・・。

 今でも祖国には無数の地雷が残っていて、足を失い、義足となる同胞が後を絶ちません。

 彼にサッカーを教えた年上の幼馴染も、兵役で負傷し、指を失い、サッカーをあきらめざるを得ませんでした。

 傷つき、疲弊し、貧困と悲しみにくれる祖国の国民の、唯一の誇りと期待が今回初出場のワールドカップ。

 憧れだった強豪ナイジェリアを倒してつかんだ栄冠。

 ぜひともメキシコ・イラン・ポルトガル(フィーゴは見たいけど)相手に勝ち抜いて、国民に誇りと勇気を、そしてアンゴラの名を世界にとどろかせて欲しいと思います。

 続きます・・