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アメリカ銃の秘密

2014年07月07日 | Eクイーン
ミステリの仕掛けや趣向は「ギリシャ棺」以前の作品に比べると、一段(あるいは二段も)落ちる。
ミステリとしての内容を犠牲にしても書きたかったのは、アメリカのルーツである西部ではないか。
著者のクイーンは行き詰まるとルーツ回帰を考えているのか、第二次大戦後の「リアルな時代」には、
ライツヴィルものを書くことで、都会ではないアメリカ(リアルなアメリカ)を描こうとしていたように見えます。
ライツヴィルもの1作目「厄災の町」の冒頭、「ぼくはコロンブスだ」とつぶやくエラリーが印象的でした。
そういえば「厄災の町」の原題は「Calamity Town」ですから、西部劇のイメージが濃厚です。
同じライツヴィルものの「十日間の不思議」では、ヴァン・「ホーン」一家の事件を扱うのですから、
著者クイーンにとって「ホーン」という姓は西部そのもの、なのかもしれません。

「アメリカ銃の秘密」では、ニューヨークに西部ロデオを登場させ、
また珍しく夜の少し危険な社交場の場面も描いて、
1930年代のニューヨークをちょっとだけ見せてくれます。
「キャブ・キャロウェイの新曲」(P269)ってなんだったのかな。
というか、著者のクイーンはキャブ・キャロウェイなんて聞いていたのでしょうか。

Cab Calloway Minnie The Moocher (1933)

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