spin out

チラシの裏

神鯨

2013年01月31日 | SF
「神鯨」のことを書こうとして、翻訳した日夏響のことを調べていたら、
なんと30年ほど前から消息不明なんだそうです。
消息不明といっても業界から身をひいた、ということじゃないかと思うんですが。
ちなみに女性らしいです。

この「神鯨」は、T・J・バスという作家の書いた長編2作のうちの一つで、
アメリカで本として発行されたのが1974年、ハヤカワSF文庫として翻訳されたのが1978年、
当時としてはすごくレスポンスのいい翻訳出版だったのでは?
解説も翻訳者の日夏響が書いているところから、
おそらく日夏響が翻訳をハヤカワに持ち込んだのでは、と勘ぐれるところも。
バスの作品がその後は翻訳されていないですしね。
「神鯨」に目をつけた日夏響がどういう人物だったのか、すごく気になります!
また日夏響による解説も作品について詳細を極めていて、SFにずいぶん暁通していた人物らしいことが分かります。。

著者のT・J・バスは医学博士らしく、
「神鯨」は生物学ハードSFの様相を示していて、
医者の冷酷な視線がグロテスクなアイデアと描写につながっているように思えます。
主人公が下半身を失って、上腕(つまり頭と腹と手だけの身体)で地下道を逃げ回るなんて
(しかも切断された傷口に埃と汚物がベットリ…、書いていてカユくなります)。
反面、純朴な宇宙播種計画も書かれていて、
ラスト近くで海底から宇宙船が発見されるところは、ちょっとイイです。
オルガの公式。

日夏響はこのほか、久保書店から出ているヴァンス「終末期の赤い地球」も訳しているんですね。

どうでもいいことですが、電子書店パピレスでこの「終末期の赤い地球」が525円(税込み)で販売されています。
なぜ?
現物はたぶん入手不可能(古書でも出回っていない様子)。日夏響の消息となにか関係がある?
そして電子書店パピレスで「終末期の赤い地球」を発見したとき、
電子書籍リーダーを買おうかと一瞬思ったほどでした。
もっとびっくりしたのは、
livedoorBOOKSに久保書店の「崩壊した銀河文明」(アンドレ・ノートン 日夏響訳)
の新品在庫ありと出ていること! ホントにあるのか?
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マンガで育った60年 | トップ | 薔薇の荘園 »

コメントを投稿

SF」カテゴリの最新記事