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●軍事費倍増・消費税増税(法人税減税)…《政策をカネで買う》財界総理《自民党への政治献金について「企業がそれを負担するのは社会貢献だ」》

2024年01月26日 00時00分31秒 | Weblog

[↑ ※「サルまで怒る 自民の腐敗」(週刊金曜日 1454号、2023年12月22日・2024年01月05月合併号)]


(2023年12月25日[月])
「労」も〝労〟なら、「使」も〝使〟だね。労使共々腐っている。
 豊田章一郎氏(トヨタ自動車会長)あたりからだろうか、いや、それ以前からか、会長が酷くなったのは? 遠の昔に〝財界総理〟なんて期待してはいないが、3.11東京電力核発電人災以降、米倉弘昌氏(住友化学会長)、榊原定征氏(東レ会長)、中西宏明 (日立製作所会長)、十倉雅和 (住友化学会長)…とにかくロクデモナイのだ。
 デタラメの限りを尽くすキシダメ政権の評価が…「ひとつひとつの施策はいいことをやっている防衛GX脱炭素化)、原子力デフレからの完全脱却など、きちっとした政策だと私たちは思っている」。正気なのかね。消費税増税をせがむ…(法人税減税してね! 「輸出戻し税」分の還付・丸儲けもお願い!)。

   『●「死の商人」経団連会長人事…《安倍首相は「儲からない」
          原発輸出に国民の血税を投入してバックアップ》

 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/国民とのずれっぷりがすさまじい、経団連十倉の上級国民ぶり】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202312010000047.html)。《岸田政権に対して「ひとつひとつの施策はいいことをやっている防衛GX脱炭素化)、原子力デフレからの完全脱却など、きちっとした政策だと私たちは思っている」「外交でも成果があるのに、それが数字に表れないのはどういうことなのか。むしろ皆さんにお聞きしたいぐらいだ」と発言した。この上級国民ぶりにはあきれるが、9月の会見では「若い世代が将来不安なく、安心して子どもを持つには全世代型の社会保障改革しかない。それには消費税などの増税から逃げてはいけない」と消費税増税を訴えた》。

 これまた、呆れたね。《裏金》《ヤミ金》やりたい放題の「利権」「裏金」党から《政策をカネで買う財界総理。そりゃぁ、政治献金という名の賄賂でしょ。どこが《社会貢献》か? 民主党政権時には無かったのに、アベ様が復権したとたんに政治献金を再開する財界。あからさま。
 岸本拓也木原育子両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/自民党への政治献金は本当に「社会貢献」で「問題ない」のか 経団連会長発言、実は全然唐突じゃなかった】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/294451?rct=tokuhou)。《経団連の十倉雅和会長は、自民党への政治献金について「企業がそれを負担するのは社会貢献だ」「何が問題なのか」と語った。社会貢献という言葉の使い方が根本的に間違っている上、そもそも企業団体献金を禁止する代わりに、毎年300億円以上の政党交付金が配られているはずでは。政策をカネで買うかのような財界・企業と政治献金の関係を見直すべき時が来ている。(岸本拓也木原育子)》


   『●耳を塞がれた「聞く力」なきキシダメ首相には届かない…軍事費倍増取止
     め、消費税減税・廃止、ガソリンの二重課税の廃止、インボイスの廃止…

 一方、キシダメ総理も酷過ぎる…耳を塞がれた「聞く力」なきキシダメ首相、答弁もソレか…。
 曽田晋太郎安藤恭子両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「対策を考えたい」「コメントは控える」を乱発…岸田首相のグダグダ答弁にただよう「人ごと感」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/292979?rct=tokuhou)。《開会中の臨時国会で、岸田文雄首相の答弁が気になる。与党・自民党の政治資金や所属議員らの発言を巡る問題を野党に追及されているが、説明が十分と言い難く、人ごとのようだという指摘も出ている。支持率低下の要因の一端を見るかのようだ。何より、取り沙汰されているのは法や人権に関わる重要な問題。審議を一時的に乗り切ればいい類いの話だろうか。(曽田晋太郎安藤恭子)》。

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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202312010000047.html

コラム
政界地獄耳
2023年12月1日8時0分
国民とのずれっぷりがすさまじい、経団連十倉の上級国民ぶり

★経団連会長といえば政財界をリードする知見と行動力が備わっていると期待するものだが、国民には土光敏夫(東芝会長)、稲山嘉寛(新日本製鉄会長)、平岩外四(東京電力会長)、豊田章一郎(トヨタ自動車会長)らの重鎮がイメージとして残る。つまり日本の大企業である東芝、新日鉄、トヨタが財界をリードしていた時代の話だ。加盟社は1512社。関連団体も含めれば少しは数も増えようが、たったこれだけが日本の経済界全体を表す。

★そのトップに今いるのは十倉雅和(住友化学会長)だが、最近の一連の発言を見ると、国民とのずれっぷりはすさまじい。十倉は日本国際博覧会協会会長も兼務。11月20日の定例会見では、万博会場を取り囲む木造の巨大屋根「リング」が無駄といわれていることに「立派に仕上げ、われわれが提示する命の大切さや多様性の尊重という価値観を共有してもらいたい」と発言。28日には志賀原発を視察し「核エネルギーは人類の英知なので安全安心科学の力で活用することは非常に大事なこと。社会に対する訴えかけもやっていきたい。安全安心と地元住民のご了解が前提ではあるが、一刻も早く再稼働できるよう心から願っている」と発言。

★岸田政権に対して「ひとつひとつの施策はいいことをやっている防衛GX脱炭素化)、原子力デフレからの完全脱却など、きちっとした政策だと私たちは思っている」「外交でも成果があるのに、それが数字に表れないのはどういうことなのか。むしろ皆さんにお聞きしたいぐらいだ」と発言した。この上級国民ぶりにはあきれるが、9月の会見では「若い世代が将来不安なく、安心して子どもを持つには全世代型の社会保障改革しかない。それには消費税などの増税から逃げてはいけない」と消費税増税を訴えた。聞けば住友化学は、来年3月期決算で960億円の赤字になる見込み。22年には1億1800万円の役員報酬を受けているが役員報酬の10%を5カ月間返上するという。(K)※敬称略
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/294451?rct=tokuhou

こちら特報部
自民党への政治献金は本当に「社会貢献」で「問題ない」のか 経団連会長発言、実は全然唐突じゃなかった
2023年12月7日 12時00分

 経団連の十倉雅和会長は、自民党への政治献金について「企業がそれを負担するのは社会貢献だ」「何が問題なのか」と語った。社会貢献という言葉の使い方が根本的に間違っている上、そもそも企業団体献金を禁止する代わりに、毎年300億円以上の政党交付金が配られているはずでは。政策をカネで買うかのような財界・企業と政治献金の関係を見直すべき時が来ている。(岸本拓也木原育子


     (経団連の十倉雅和会長=11月20日撮影)


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自民に毎年24億円献金「何が問題なのか」と経団連・十倉雅和会長 「社会貢献の1つ」


◆「政策提言とか言っちゃいけないんですか?」

 十倉会長の発言が出たのは4日の記者会見。企業による政治献金の目的を問われた際に「民主主義の維持にはコストがかかる。政党に企業の寄付(献金)をすることは一種の社会貢献だ」と言ってのけた。

 企業献金には、政策的な減税額が大きい業界ほど自民党への献金額が多い傾向があるなど、「政策を金で買う」との批判が付きまとう。しかし、十倉氏は「政策提言とか言っちゃいけないんですか? 希望とか要望とかどこの国でもやってる」と批判を一蹴した。

     (経団連の十倉雅和会長=11月20日撮影)

 政策誘導の危険をはらむ献金が十倉雅和という考え方は、およそ一般の市民感覚からは違和感しかないが、経団連にはそうではないらしい。20年も前から主張しているからだ。

 その考えが初めて示されたのが、奥田碩(ひろし)会長時代の2003年5月。「政党活動に要するコストの負担を社会貢献の柱の一つと位置付け、応分の支援を行うべき」との見解を出し、10年前に廃止されていた企業献金を04年から再開する足掛かりとした。


◆献金廃止で「自民党から相手にされず、相当焦っていた」

 なぜ社会貢献と言い出したのか。「政治献金」(岩波新書)を著した茨城大の古賀純一郎名誉教授(メディア論)は「当時、企業不祥事が頻発し、企業の社会的責任が問われていた。『政策をカネで買う』という評判を打ち消すために『社会貢献活動の一環』という意味合いを押し出した」と振り返り、こう続ける。

 「本音としては早急に復活したかったのだろう。廃止直後は、自民党から全く相手にされず、経団連は相当焦っていた。自民党はカネでないとなかなか動かないから。別の経済団体幹部が当時、自民党の有力政治家から『カネを出してくれる方の言うことを聞く』と言われ、悔しがっていた」

 以来、経団連は「社会貢献論」を繰り返す。09年の民主党政権の発足で一時中断した期間を経て、安倍政権下の14年に復活させた際も「企業の政治寄付は、社会貢献の一環」とした。その後も会員企業に献金を呼びかける文書には毎年「社会貢献」という主張が展開されている。

 しかし、この主張はかねて批判されてきた。政治資金オンブズマンなどは04年1月、経団連が各政党の政策を評価して各社に献金を促す形で関与を再開した際に「対価を公然と要求する寄付は、『企業の社会的貢献』ではない」と指摘。「カネも口も出す」(当時の奥田会長)という姿勢に、「対価を求めないからこそ評価されてきた社会貢献の概念をはき違えたもので、その概念をおとしめる」と批判した。

 経団連は長年、資金面で自民党を支えてきた。1950年代から、各社に献金額を割り当ててあっせん。自民党にはピーク時、年間約100億円もの金が集まった。これが金権政治の温床となり、国民の批判も受けて経団連は平岩外四会長時代の93年、あっせんを廃止した。企業・団体献金の廃止を前提に、国民負担による「政党交付金」が導入された。だが、前出のように2004年に献金は再開。廃止の約束は果たされないまま、今も交付金との「二重取り」が続いている。


◆政党交付金があるのに献金とパーティー券収入も

 政党交付金は過去10年、年間約315億〜320億円交付され、うち自民党は約150億〜175億円を得てきた。これで企業・団体献金、パーティー券収入も受けているのだから、二重取りとの批判は当然だ。

 もっとも企業献金の禁止を強硬に言い続けてきたのは政党交付金を受け取っていない共産党。5日には、企業・団体の寄付と政治資金パーティー券の購入を全面的に禁止する政治資金規正法改正案を参院に提出した。共産ほどではないが、立民、維新、れいわも、企業・団体献金を禁止する方針を打ち出している。

 ただ、政治ジャーナリストの泉宏氏は「政界はいまだカネが全てにおいて潤滑油だ。今回は自民党の派閥のパーティー券に照準が当たったが、政治資金を巡る問題のごくごく一部に過ぎない」と指摘、自民党が二重取り批判など気にもとめていない実態を明かす。

 11月下旬に公表された2022年分の政治資金収支報告書でも、企業・団体献金の総額は24億4970万円で、このうち自民が9割超の22億7309万円を政治資金団体「国民政治協会」などで集めた。


◆ようやく開いた「パンドラの箱」

 「自民と財界はずっと表裏一体の関係。自民党の経理局長が大企業でつくる経団連を回るのが慣例。経理局長は1年で交代せず5年も6年も担う。長年培ったリストを手に必死に献金を集めていた」と泉氏。「ようやく検察のメスが入った。これまでは安倍・菅タッグの強権政治で抑え付けてきたが、岸田首相では抑えきれず、ある種のパンドラの箱が開けられた状態と言える」と話す。

 一方、中央大の中北浩爾教授(政治学)は「実際、有権者への国会報告の送付など政治にはお金がかかる。政治資金を汚いと決め付ける議論は、民主主義を危うくする」と話す。自民党5派閥によるパーティー券問題は「これは完全なアウトパーティー券のキックバック分の不記載は明確な法律違反で、何のための裏金か疑問でならない」とするも、「法律違反の部分と、企業・団体献金の是非などの議論は切り分けるべきだ」と語る。

 とはいえ、やはり企業・団体献金に対する国民の目線は厳しい。駒沢大の山崎望教授(政治理論)は「企業献金はカネというツールを政治に持ち込み、自身の利益につなげる単なるビジネスの手法だ。大企業が政治をカネで買うことと同義で、大企業に有利な政策ばかり居並ぶことになりかねない」と指摘する。


◆このまま「市民の声」は反映されないのか

 例えば、今夏のマイナンバーカード問題を巡る騒動もそうだ。岸田政権が来秋の保険証廃止を掲げていることに対し、経済同友会の新浪剛史代表幹事が廃止時期を「納期」とし、「納期を守るのは日本の大変重要な文化だ」と語り、波紋を広げた。同友会は献金廃止の立場だが、新浪氏率いるサントリーは自民に献金をしている。山崎氏は「多額の献金をしているために、政策を買って発注したという目線とも取れる」とし、「極論ではあるが、寄付や献金などの政治資金はこの際、全てなくすべきだ。本当に応援したい政党があれば政治資金ではなく、声を上げて正々堂々と選挙活動をすればいい」と続ける。

 自民党と財界が一体化し、市民の声が反映されない構造は変わらないのか。

 思想家で神戸女学院大の内田樹名誉教授は「対米自立という国家戦略を放棄した自民党は、今や対米従属による権力維持以外に目的を持たないただの利権集団になった」と指摘。一連の派閥のパーティー券の問題も「利権を求めて議員になった者にとっては当たり前の収益事業だ」と一蹴する。「長年続いた財界との癒着を断ち切るだけの自浄力が自民にない以上、制度の根本的改革には政権交代しかない。このまま米の属国でいるのか、再び対米自立をめざすのか、有権者も問われている


◆デスクメモ

 政治献金は一応、見返りを求めない建前だ。見返りありなら賄賂との線引きが問われる。そういうあやうい関係を、あたかもクリーンなように言い換えてもう20年。「何が問題か」と気色ばむ表情からは、言い換えではなく本気で社会貢献と信じる様子がうかがえ、かえって怖い。(歩)


【関連記事】「なぜ岸田内閣の支持率が上向かないのか不思議」 経団連・十倉雅和会長は政策を評価
【関連記事】経団連、自民に消費税増税求める 少子化対策で「国民全体が負担する財源検討を」
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/292979?rct=tokuhou

こちら特報部
「対策を考えたい」「コメントは控える」を乱発…岸田首相のグダグダ答弁にただよう「人ごと感」
2023年11月30日 12時00分

 開会中の臨時国会で、岸田文雄首相の答弁が気になる。与党・自民党の政治資金や所属議員らの発言を巡る問題を野党に追及されているが、説明が十分と言い難く、人ごとのようだという指摘も出ている。支持率低下の要因の一端を見るかのようだ。何より、取り沙汰されているのは法や人権に関わる重要な問題。審議を一時的に乗り切ればいい類いの話だろうか。(曽田晋太郎安藤恭子


◆自民5派閥の不記載「経理状況は承知していない」

 「質疑者の質問にストレートに答えていただけていないのではないか。これでは国民は首相の言葉は分からないと思わざるを得ない」

     (参院予算委で答弁する岸田首相=国会で)

 27日の参院予算委員会で、会派のしんがりで質問に立った立憲民主党の石橋通宏氏は冒頭こう切り出した。

 続けて、自民党5派閥のパーティー収入過少記載問題を追及。自民の主要派閥が不記載を繰り返し、刑事告発されたことへの見解をただした。

 首相は党総裁かつ派閥の長だが「基本的に各派閥の政治団体はそれぞれ独立しており、(自分の派閥以外の)各派閥の経理状況について承知していない」と、他人の財布だから分からぬ、というような説明。とはいえ、告発されたことも意識してか「国民の厳しい目を考え、党として各政策集団に対して修正の内容を的確に説明することを幹事長に指示した」と述べた。

 だが、その他の団体にまで議論を広げるのは、避けたいようだ。


◆調査を指示するのか、しないのか

 石橋氏は派閥だけでなく、都議会自民党や党東京都連でもパーティー収入の不記載があったと指摘。首相は「都議会自民党は政党や政党支部と異なる政治団体。党都連も党本部とは別の政治団体で、会計責任者も別に置かれている」とし、それぞれの団体で説明すべき事柄だと答えた。

 また、全国の自民党組織に対して調査を指示しないのかと問われた際も「それぞれ別の政治団体」と表現。「党全体の信頼回復に向けて具体的にどう対応すべきか考える」と述べるにとどめ、指示するのかどうかも判然としなかった。

 煮え切らない答えを繰り返す首相に、石橋氏は「他人ごとのような答弁で、国民は極めて遺憾に聞いているのではないか」と不満を表した。ただ、歯切れの悪い答弁はこれにとどまらなかった。


◆馳浩知事の発言をめぐって「ゼロ回答」

     (東京五輪招致に関する発言について、一貫して回答を
      控えた馳浩石川県知事=石川県庁で)

 東京五輪招致を巡り、内閣官房報償費機密費)を使って国際オリンピック委員会(IOC)の委員に贈答品を渡したと述べた馳浩・石川県知事の発言について、首相の責任による調査を求められたが「基本的に個々の政治家の発言、なおかつ撤回した発言について、政府としてコメントすることは控える」と距離を置いた。

 「自民党としてこの問題をどう考えるか、発言撤回の経緯も踏まえて具体的対応を考えたい」と述べたものの、対応の内容については踏み込まなかった。

  IOCのルール違反の可能性を指摘されたが、答弁に立った松野博一官房長官が「(機密費は)国の機密保持上、使途を明らかにすることが適当でない経費だ」として説明を拒んだ


◆杉田水脈氏の問題発言についても一般論に終始

 また、同日の参院予算委で立民の岸真紀子氏から、自民の杉田水脈衆院議員のアイヌ民族などに対する差別的言動についても問われた。

 首相は「アイヌであることを理由にした差別はあってはならない」と一般論に言及しつつも「政府として議員の発言一つ一つにコメントすることは控える」と個別の言動への評価を避けた。

 当事者意識がないと評された岸田首相の答弁ぶりだが、事は重大だ。自民党5派閥の過少記載は、政治資金規正法違反の疑いで東京地検特捜部が捜査中。組織的な裏金づくり」が疑われている。


◆「その場しのぎの答弁ですね」

 「政治とカネ」の問題を20年以上調査し、今回の過少記載で告発者となった上脇博之・神戸学院大教授に、岸田首相の姿はどう見えるのか。「こちら特報部」が問うと「寄付してくれる人の声は聞いても、それ以外の国民はまるで眼中にないその場しのぎの答弁ですね」とため息をついた。

 上脇さんが考える説明責任とはこうだ。岸田首相は派閥の長として、会計帳簿、パーティー券の領収書の写し、金融機関の口座で受け取った記録をそれぞれ報道機関に提供する。個人情報に配慮しつつ、記載が義務付けられるパーティー1回につき20万円を超える購入団体について、なぜ不記載が起きたのか具体的に説明する。その上で他の4派閥には同様の対応をお願いする。「こうすれば、他の派閥の独立性は担保しつつ、岸田首相は説明責任を果たせる」と明快だ。

 上脇さんは、機密費に関連する行政文書の開示を国に求めた裁判も起こし、最高裁は2018年、部分開示を認める初判断を示した。「東京五輪招致の際に贈答品のアルバムを作った事実は間違いないと考えられる。もし、財源が機密費じゃないのなら、岸田首相がそう説明すれば済む話だが、それも言えない。逃げの姿勢が透ける」とみる。


◆「身内の議員に注意もできないとは…」

 アイヌ民族の多原良子さん=札幌市=は、杉田氏のブログやSNSの差別投稿について法務局に救済を申し立て、今年9月に投稿は人権侵犯と認められた

 だが、杉田氏はメディアが求める記者会見には応じず、ユーチューブ番組でアイヌ文化振興事業の関係者を「公金チューチュー」とやゆ。参院予算委のあった27日の夜にもX(旧ツイッター)で、人権侵犯と認定された投稿はアイヌ民族差別ではないと主張するなど、発信をエスカレートさせている。

     (27日、参院予算委員会のあった夜、アイヌ民族差別ではない
      と主張する杉田氏のXへの投稿)

 「国連の人種差別撤廃条約に加入する日本の首相が、身内の議員を注意もできないというのは残念ですよね…」と多原さんは嘆く。

 マイノリティー女性の当事者として「複合差別」の問題を提起してきた。「差別の放置を許している社会は誰にとっても危うい。首相こそ、今起きているジェンダー差別やヘイトスピーチをなくすための議論を呼びかけ、法制度や人権教育が必要だと発信してほしい」と話す。


◆「初めに結論、理由は三つまで」

 政治アナリストの伊藤惇夫さんは、自民党の世耕弘成参院幹事長が10月の参院本会議の代表質問で、首相の所得税減税の説明について「物価高に対応して何をやろうとしているのか、世の中に全く伝わらなかった」と、苦言を呈した場面が象徴的だったとする。「岸田首相には、説明力と発信力が欠けている。防衛費増大や所得税減税を打ち出してきたが、いずれも財源が明らかにされず、政策の必要性も見えてこない」

 総理(首相)の種類を、総理になったら何をしたいかが明確な「なったら総理」と、総理になることが目的の「なりたい総理」に分けると、岸田首相は後者に見えるという。「多くの国民が所得税減税を『選挙目当て』と受け止め、杉田氏に対応しないのは『政権を延命したいための党内右派への配慮だ』と見透かしている状況」と低支持率の理由を分析する。

 岸田首相には、日中国交正常化を果たし「なったら総理」の代表格とする故・田中角栄氏が言ったとされる、次の言葉を贈りたいという。「初めに結論を言え。理由は三つまで。この世に三つでまとめきれない大事はない」


◆デスクメモ

 今月、報道各社の世論調査で内閣支持率は軒並み20%台を記録した。下落の大きな要因は減税を巡る首相の不明確な説明だ。今、誠実な態度が求められている。核心を避ける姿勢で支持は取り戻せない。そして差別やルール違反を放置するとしたら、将来に残す傷は計り知れない。(北)


【関連記事】「ごまかす意図はない」大阪・関西万博の国民負担が大膨張 岸田首相に集まる批判と「あいまい答弁」
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●「政策をカネで買う」経団連の企業行動憲章には「従業員のゆとりと豊かさを実現する」と謳っている

2014年09月18日 00時00分13秒 | Weblog


東京新聞の社説【政治献金 経団連の再開に反対だ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014090102000173.html)と、
コラム【【私説・論説室から】儲かる秘訣を尋ねたら…】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2014090102000175.html)。

 「過去二十年、経団連自身が悩み考え、二転三転しながらも中止している政治献金を、榊原経団連が再開するという。「政策をカネで買う」という根本的な批判に応えられるのか」・・・・・・経団連の企業行動憲章は「従業員のゆとりと豊かさを実現する」「企業は雇用の維持・拡大を実現し、国民生活を豊かにする役割を果たしている」と謳っている。

   ●企業の貯金250兆と「働くとは何か?」

 「人材確保、人材雇用という時の、人材の『材』の字が気に入らない。人間は材料じゃない。財産の『』、人財と書くべきだ」・・・・・・未来工業城南信金に対して、経団連という組織は本当に「従業員のゆとりと豊かさを実現する」「企業は雇用の維持・拡大を実現し、国民生活を豊かにする役割を果たしている」と言えるでしょうか? 随分と酷かった前経団連会長の米倉弘昌氏の流れをくむ現会長榊原定征氏は、自民党と癒着し、「政策をカネで買う」そうです。そして、ノコノコとアベ様に御伴する経営者たちのなんという浅ましさよ。「死の商人」と呼ばずして、なんと呼べばいいのか?

   『●「優しくすれば、社員もここを守りたいと働いてくれる」:
                未来工業の創業者のお一人が亡くなる
   『●アベ様が「原発再稼働、進める方針を明言」
                    ・・・・・・世界に向けて「恥」を発信


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014090102000173.html

【社説】
政治献金 経団連の再開に反対だ
2014年9月1日

 過去二十年、経団連自身が悩み考え、二転三転しながらも中止している政治献金を、榊原経団連が再開するという。「政策をカネで買う」という根本的な批判に応えられるのか。再開には反対だ。

 今年六月に就任した榊原定征経団連会長は「政治と経済は車の両輪」と語り、ぎくしゃくしていた安倍政権との関係修復を加速している。二〇〇九年十月以降、中止している政治献金の再開はその象徴といえる。

 民主主義の下で企業と政治、カネはどうあるべきか-。考え抜いたあげく、企業の政治献金は廃止すべきだとの結論を出したのは一九九三年、当時の平岩外四会長だった。

 保守合同の五五年以来、経団連は、会員企業に割り当てる「あっせん方式」で年間百億円程度を自民党に献金していた。これが金権腐敗の温床になり、リクルート事件、佐川急便事件、金丸信自民党副総裁をめぐる巨額脱税事件などを引き起こす。

 世論の批判で自民党一党支配が終わり、細川連立政権誕生後の九三年九月、平岩経団連が公表したのが「企業献金に関する考え方」だった。冒頭を引用する。

 「民主政治は、国民全ての参加によって成り立つものである。それにかかる必要最小限の費用は、民主主義維持のコストとして、広く国民が負担すべきである。従って、政治資金は、公的助成と個人献金で賄うことが最も望ましい」

 平岩会長は企業献金の廃止を考えていたとされるものの、慎重論もあり、まずはあっせんを廃止。企業献金については「一定期間後、廃止も含めて見直すべきだ」とした。

 〇四年になると奥田碩会長が、各政党の政策を評価して金額を決定する方式で、献金への関与を復活させた。小選挙区制が導入されたのを受け、「二大政党制」定着を目指して民主党への献金も表明したが、この方式は民主党政権発足後、民主党が献金を断り、〇九年十月から中止されている。

 企業と政治、カネの問題は「政策を買う」との批判と政治改革の中で揺れ動き、経団連の献金は中止に至っている。にもかかわらず再開するのは何のためか。

 見えてくるのは政権との関係修復とアベノミクス推進の算術だけで、民主主義や政党政治への見識はうかがえない。再開の決定は九月以降となる。その前に榊原会長には「企業献金に関する考え方」をもう一度読んでほしい。選ぶべきは再開ではなく廃止ではないか
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2014090102000175.html

【私説・論説室から】
儲かる秘訣を尋ねたら…
2014年9月1日

 「人材確保、人材雇用という時の、人材の『の字が気に入らない。人間は材料じゃない。財産の『』、人財と書くべきだ」

 型破りな経営で半世紀近く、目を見張る好業績を続けてきた名物経営者が七月末に逝った。岐阜県に本社がある電気設備資材メーカー「未来工業」の創業者、山田昭男さん。

 社員をとことん大事にした残業なしパートや派遣社員なし八百人の社員は全員正社員だ年間休日はおそらく日本一の百四十日有給休暇四十日を合わせれば一年の半分は休日になる。六十代社員の平均年収は約七百万円、それが定年の七十歳まで続く。「豊かな人生が、やる気を生む」という信念からだ。唯一社員に求めたのは常に考えること。アイデア、提案、何でも一件五百円で買い取り、それが国内有数のシェアにつながった。

 儲(もう)かる秘訣(ひけつ)を聞かれ、「儲からない会社の反対のことをやる」。時流に流されずに年功序列を貫き、成果主義に背を向け続けた

 では、「あの人」に儲かる秘訣を尋ねたら…。「労働時間でなく成果で評価する残業代ゼロで働かせる」「派遣や解雇しやすい限定正社員を増やして労働コストを抑える」とでも答えるか。それこそ、働く人を「儲けるための材料」としかみていないのである

 あるいは「僕についてくれば原発や武器でがっぽりだ」か。ノコノコとお供する経営者たちも「同じ穴の狢(むじな)」である。 (久原穏
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●『消費税のカラクリ』読了

2010年11月06日 01時00分56秒 | Weblog

『消費税のカラクリ』、10月に読了。斎藤貴男著、講談社現代新書。2010年7月第1刷。

 新書の質についての批判を見聞きするが、本書は是非多くの人に読んでもらいたい消費税の本質に迫る良書である。

 出だし「はじめに」(pp.3-6)から、著者の怒り爆発。
 「徴税当局とマスコミがタッグを組んだ、長年にわたるミスリードのせいばかりだとは言わない。そんなものに易々と騙されてきた、知っておかなければならない側、納税者国民自身の責任も重大だ。/・・・消費税増税のハードルは、大きく・・・。①逆進性、②益税、③消費ないし景気を冷え込ませてしまう可能性。・・・。/・・・本書が追求しようとしているのは、・・・これらとは異なる位相のカラクリだ。/・・・。/その代わり、この国の社会は大変な混乱に陥るはずである。中小・零細の事業者、とりわけ自営業者がことごとく倒れて行く。正規雇用から非正規雇用への切り替えがいっそう加速して、巷にはワーキング・プア失業者が群れを成す光景が見られることになるだろう。自殺に追い込まれる人々がこれまで以上に増加するのも必定だ」。多国籍企業や大企業だけが栄える仕組み。

  「第一章 消費税増税不可避論をめぐって」
  「第二章 消費税は中小・零細企業や独立自営業者を壊滅させる」
  「第三章 消費者が知らない消費税の仕組み」
  「第四章 消費税とワーキング・プア」
  「第五章 消費税の歴史」
  「第六章 消費税を上げるとどうなるのか」

 「政府税調答申と同発想」の劣化著しい朝日新聞社説、「・・・もはや消費税増税は既定路線、歯向かう者は非国民だとでも言わんばかりの筆致が強烈だ」(p.14)。
 麻生太郎政権の「定額給付金」や鳩山由紀夫政権の「子供手当」は、「バラマキの人気取りプラス「消費税率を引き上げて・・・、引き上げなければ危険度を高めた財政事情が後の世代にツケ回しされていくのだぞ」との脅しを兼ねた一石二鳥、予定調和、詰将棋」(p.16)。そして、「・・・北欧のような福祉国家に生まれ変わろうとしているわけではないのは明白である」(p.17)。
 「・・・日本経団連が幾度となく、消費税率の引き上げと法人税減税をセットで求める提言を繰り返してきた。・・・当時の奥田碩(ひろし)日本経団連会長(トヨタ自動車会長=・・・)の名を採って〝奥田ビジョン〟・・・」(p.18)。ふざけた大企業の論理と論法。「あらゆる存在は経済成長のために捧げられるのが当然で、その牽引車たる多国籍企業、巨大資本こそがこの世の主人公なのだという自意識に溢れた提言だった。税制にも成長を促すか補完する道具としての役割ばかりを求めている。公正さとか法の下の平等とか、憲法で定められた生存権や財産権に照らしてどうかといった理念への配慮は皆無に等しい。・・・それで割を食う連中を生かしておいてやる費用ぐらいは、食わせれもらっているお前たち下々が出してやりなさい、という論法であるようだ」(p.24)。
 「・・・所得税が基幹税としての機能を失ってしまった・・・。あからさまな金持ち優遇税制。/・・・この間には住民税の累進課税も大幅に緩和された。・・・完全フラット化」(p.25)。自民党の金持ち・大企業優遇の系譜。もちろん、トドメはこの二人。「財界の主導で進められた規制緩和、構造改革の、これも一環だった。彼らの基本的な発想を、当時も現在も構造改革の理論的支柱であり続けている竹中平蔵・慶応義塾大学教授(経済学)・・・。同教授が小泉純一郎政権の経済財政担当相に抜擢・・・」(p.27)。

 驚きなのは、国税滞納額が最悪であるという点。ただし、わざと滞納しているということではなく、払えない状況に追い込んでいる点を誤解してはいけない。「・・・消費税には、しかし、致命的な欠点がある。・・・。/消費税は、国税のあらゆる税目の中で、もっとも滞納額が多い税金なのである。/・・・滞納額全体のなんと45.8%を占めている。/・・・消費税込みで提示された金額を支払えなければ何も買えない。ということは、一円だって滞納されることなどありえないはずなのに」(p.29-30)。
 つまり、上位の会社に「・・・請求書の上では消費税を転嫁できたことになってはいても、その分も含めて単価を引き下げられているわけです」(p.42)、中小・零細の事業者、自営業者は。「価格に転嫁できない中小・零細業者」(p.44)。
 我々の大きな誤解。「そうなるように徴税当局は世論操作してきた」(p.66)。「そもそも消費税とは、消費者が負担する税制だと伝えられてきたのではなかったか。/問題は、その説明が意図的な嘘であったことなのである。消費者は自らが消費税を負担しているつもりでいる。ところが法律上、納税義務者は事業者すなわち個人事業者や法人であって、消費者ではない。それぞれの意識と立場とのギャップは、消費税という税制の実態をきわめて複雑にし、かつ、いわば観念の世界にさえ近づけてしまっている」(p.43)。「・・・何かを買うたびに消費税を支払っているつもりでいるのにすぎない」(p.66)。
 中吊り広告による世論操作。「自営業者のすべてが脱税の常習犯であるかのような印象を植え付け、とりわけ給与所得者の不信感を煽って敵視させる目的としか考えられない。満員電車に揺られて苛立っているサラリーマンには、実に効果的だったのではあるまいか。/・・・国税庁の悪質なプロパガンダ・・・」(p.67)。

 税務署員の〝消費税シフト〟(p.74)。「長年にわたって消費税を滞納している納税義務者を、税務署の最前線では〝優良事案〟と呼んでいます。取り立てれば上に褒めてもらえるからで、しかも手段を選ぶ必要はないとまで指示されている」。倒産しようが、廃業になろうが、さらには、自殺しようがお構いなしという税務署の発想に。消費税増税は、自殺大国ニッポン(p.79以降)を加速させることは必定。「・・・事情はどうあれ滞納イコール悪、罪、であり、それを減らす職務は絶対の正義という考え方」(p.75)。「・・・非道な差し押さえを戒めてもいるのだが、・・・ほとんど無視されているのが実情・・・」(p.77)で、それなりに存在していた取り立てのルールが形骸化し、「高利貸しの取り立て」と同化の方向へ。
 民営化の流れはこんなところにまで。「政府の構造改革の一環として地方税の徴収の民間委託を急がせて、既に大阪府など多くの自治体が実施に踏み切ってい」(p.76)て、国税もその流れにある模様。

 何もかもが馬鹿馬鹿しくなった者の叫び。「消費税なんかお客さんからもらえやしないよ。貰っていない税金をお前が払えって税務署が言ってくる。何だあ、そりゃあ!?」(p.86)。そして、自らの命を断つ。
 敗訴した者の記憶。「・・・税務署・・・「お金を借りるところがあるやないですか」/―――府や市の事業融資はもう受けていますので。/「他にあるですやん」/―――消費者ローンのことですか。/「そういうこともありますね。」/税務署員は、サラ金から借りて来いと言いたかったらしい」(p.99)。そして、帰らぬ人に。夫人は、「あの人は初めから消費税を怒っていました。いまは三%でごまかされとるけど、。じきに二〇%くらいに上げられるでと、・・・。/うちの商売は下請けのまた下請けでしたから、元請けさんに消費税分を請求し、払ってくれたとしても、必ずそれ以上の値引きを強いられる。いくら働いてももうからない・・・。/消費税に殺されたとですよ」。そういう仕掛け。

 こう云った悲劇とは裏腹に、輸出戻し税という仕掛けも。「零細事業者が直面させられている悲惨とは裏腹に、消費税は大企業、とりわけ輸出比率の高い大企業にとっては実に有利に働く。かれらは消費税という税制によって、莫大な不労所得さえ得ていると断定して差し支えない」(p.100)。かたや「貰っていない税金をお前が払え」といわれ、かたや大企業は「不労所得」を得ているわけ! 馬鹿らしい。
 「・・・消費税は国内での取引に課税されるものであり、輸出や国際輸送など輸出に類似する取引では免税される。・・・/・・・輸出取引については、国内で発生した消費税負担は完全に除去されることに」(pp.100-101)なる。消費税を納めないどころか、多額の還付金。「・・・最も多額の還付金を得たのはトヨタ自動車で、約三千二百十九億円」(p.103)!! あーっ・・・、本田技研工業までが。
 さらに、前述の下請けいじめで富を相乗的に集積。「・・・下請け単価が引き下げられて・・・。・・・税制を通じて公然と補助金を与えることに・・・。・・・いわば「かくれた補助金」であり、憲法の意図する財政議会主義(憲法八十三条、八十五条)に違反する」(p.104)。消費税増税で恰も企業にも痛みがあるような顔をし、それとセットで法人税率の引き下げまで要求する面の皮の厚さ。「じつは、彼らは消費税の税率をいくら引き上げても痛痒を感じないのである。彼ら巨大企業は経済取引上強者であり、常に価格支配力を有しており消費税を自在に転嫁できる」(p.105)。一体誰に? 自明である。「彼らは確実に顧客に前転するほか仕入先・下請け業者にも後転する」。さらに厚顔なことに、「しかも、輸出戻し税制度により消費税を全く納めないばかりか巨額の還付を受ける」。全く腹立たしいことに、「還付金額は税率が上がれば上がるほど大きくなる」。竹中平蔵子分や小泉純一郎親分が構造改革・自由主義化を進めるはずだ。「つまり、彼らは消費税の税率引き上げによりまったく被害を受けないばかりか、場合によると後転効果により利益を生むことさえ可能なのである」。

 大企業は肥え太り、失業者やワーキング・プアは巷に溢れる。「仕入れ税額控除」の悪用により脱税(p.114)。「正社員らに支払う「給与」」が仕入れ税額控除の対象(p.114)。「いわゆる格差社会、ワーキング・プア問題の重要なテーマである非正規雇用は、他ならぬ消費税が拡大させたという現実をご存じだろうか」(p.112)。マスコミはそんなことを報じることはありえないので、我々が知る由もない。簡単に言えば、「派遣に切り替えると合法的に節税できる消費税」(p.116)。竹中平蔵子分や小泉純一郎親分が褒めたたえる〝賢い経営者〟のやっていること。「不正など働かなくても、実際に正規の雇用を出来るだけ減らし、必要な労働力は派遣や請負、別の事業者に外注する形にすれば、それだけで大幅な節税ができてしまう。そのため派遣子会社を設立するやり方も、近年ではごく一般的になっている。/・・・たとえば派遣子会社の設立と閉鎖をめまぐるしく繰り返す手法が、ありがちなパターンだ。/・・・消費税とは、企業経営者をして、そのような行動に誘(いざな)う税制なのである」。「経済のグローバリゼーションは、それほどまでに人件費削減を求めてきた。」(p.117)。
 「・・・それが節税にも通じるとなれば一石二鳥。・・・消費税とはもともと、そうなるように制度設計されたシステムだったのではないかとさえ考えられる」。どこが広く公平に徴税できる税制なのか? 巨大資本は喜び勇み、一般市民というよりも、自営業者や非正規社員など弱者にさらなる痛みをもたらすという悪税である。
 正社員のリストラと派遣社員の増加を早くから指摘していた朝日新聞記者(2000年10月3日付朝刊「時時刻刻」欄、くらし編集部の西前輝夫記者)がいた(pp.121-123)。非正規雇用化の理由は「・・・納める消費税も少なくてすむからだ。/・・・。/ある税理士は、「消費税は結果的に、売上に対して正社員の給与比率が高い会社ほど、納付額が多くなる仕組み。利益を確保するために、派遣社員などを雇い納付額を減らそうとする力が働くことは避けられない」と分析している」。

 おまけに、世間や政治家の大合唱やマスメディアの誤誘導・・・、「社会保障の財源にはもっともふさわしくない消費税」(p.131、133)。
 最後は、消費税の歴史から見えてくるもの(p.139)。「・・・リクルート事件・・・竹下首相や中曾根元首相、宮沢喜一・・・、安倍晋太郎・・・、渡辺美智雄・・・らに関連会社の未公開株をばらまいていた事実が発覚・・・腐敗しきった政治のツケを増税で埋め合わせる構図がくっきりと浮き彫りにされていた」。
 新自由主義・構造改革路線。ガットGATT、ブレトン・ウッズ体制、IMF、IBRD(国際復興開発銀行=世界銀行)、WTO。前述の「還付金額の最大化」(p.158)。

  導入してしまえば、あとはどうとでも。「一連の特例措置は、単に甘いだけのアメではなかった。零細な事業者は舐めた瞬間に周囲から石つぶてを投げつけられ、糖衣が溶けてくれば爆発するように仕組まれた、いわば時限爆弾が練り込まれたアメだった」。そして「形骸化する特例措置に税率アップが追い討ち」(p.178)する仕掛け。
 安易に外国と比較し、増税を煽る愚。「税制の仕組みとしては似ていても、ヨーロッパの付加価値税と日本の消費税とを安易に比較すること自体がどうかしている」(p.159)。そのくせ、「イギリスにもあった中小・零細業者の不利益」(p.165)は無視し、いつもは〝同盟国〟アメリカばかりを持ち上げるくせに、「米国が付加価値税を導入しない理由」(p.169)にはけっして一言も触れない。

  もう充分だろう。公平どころか、「消費税の現実を見ると、実質的には中小企業負担税になっている。益税どころか価格格転嫁できずに『損税』・・・」(p.192)。
 「政治的立場を超えた本質議論を」との呼びかけ(p.196)。「もはや消費税の本質に目を向けようとする者は、それだけで思想的に偏向しているかのように受けとめられる時代が導かれてしまった。本書にもその種の安易なラベリング(レッテル貼り)の矛先が向けられる可能性が少なくない・・・」。
 段階的消費税増税の裏(p.199)。「・・・常に〝駆け込み需要〟を促すことができるはずとの算段らしい。・・・。/人々の生活の隅々に関わる税制が、これほど傲慢で、いいかげんな屁理屈に基づかれてよいものだろうか。・・・。/・・・何らの根拠も示されてはいなかった」。
 以前のブログにコピペしたように、少なく見積もった数字ではあるが、自殺者3万人時代。「交通事故死のざっと六倍だ。・・・。/・・・非正規雇用や〝名ばかり管理職〟、パワハラ、リストラの悲惨が広く知られた企業職場の実態ばかりに関心が偏りがちな傾向を否めない。/・・・ただ、統計を少し丹念に眺めていくと、自殺者に占める「自営業・家族従業者」の割合が、そもそもの分母に照らして異常に多いことに気づかされるのである」(pp.202-205)。「・・・消費税増税は無関係だなどとの言葉遊びをしている場合でもない。/・・・。/・・・九七年に三%から現行の五%へと税率が引き上げられた消費税増税が自殺禍と関係なかったなどとは到底言えない」(p.205)。「十二年連続で三万人を超えてきた年間自殺者数は、場合によっては五万人、十万人へとハネ上がっていくのではないか」(p.206)という恐ろしい予測。
 増税の前にやることがあるでしょ。思想無き「事業仕分け」などではなくて。「ジャーナリズムの最大の役割は権力のチェック機能だ。対案づくりは本義ではないが・・・。/・・・。/財政難には徹底した無駄の削減が第一だ。すると最近は、次のような指摘が現れる。・・・「事業仕分け」が、消費税増税の露払いの役割を果たすことになるという。・・・。/・・・だが事業仕分けを基準に消費税が語られるようなことがあってはならない。/なぜなら事業仕分けには思想がない。俎上に載せられた各事業の是非を判断することはなく、あくまでも現状を肯定しながら、費用対効果の成績を問うシステムでしかないからである」(p.206)。
 斎藤さんの提案はシンプル(p.209)。「不公平税制をただせば税収は増やせる」。「歳入面では不公平税制の是正である。・・・フラット化され、金持ち優遇・・・所得税の累進税率を二十年前のレベルに戻すだけで、所得税収はたちまち倍増する計算だ。・・・。/法人税が聖域のように扱われるのもおかしい。・・・日本の法人税率は高くないし、・・・外国の法人よりもずっと軽くなっている。中小零細事業者が自腹を切って支払うのを予測しながら見て見ぬふりを決め込み、赤字でも取り立てる消費税率を引き上がるよりは、利益にかかる法人税の増税の方が、はるかに公正である。/・・・法人税への依存を軽減しなければ、大企業の工場だけでなく本社機能や有能な人材まで海外に流出してしまうぞといった恫喝など受け流そう。彼らの身勝手は常軌を逸している。また企業の立地要因はその地域の市場規模や労働力の質・量とコスト、補助金をはじめとする優遇制度、インフラの程度、安全性や環境対策等々での各種規制など多様かつ複雑であり、税率だけで決定されることなどあり得ない。洋の東西を問わず、一般に多国籍企業と本国とは切っても切れない関係にあるのが常である。創業の理念もアイデンティティもかなぐり捨てて、デラシネの巨大資本としてのみ存続していく覚悟でもない限り、日本企業にとっては日本以上に有利な国はないはずだと私は考えているのだが、いかがだろうか。/不公平税制の是正とは、すなわち構造改革路線などを通して「応益負担」の発想に偏ってしまった税制を、「応能負担」の原則に立ち返らせることだ」。また、「本気で特別会計の見直しを」、本気でだ。「私見では、ここ二十年近く、毎年五兆円弱の予算が防衛関係費に注ぎ込まれ続けている状況は異様だ。日本全体をアメリカの世界戦略に捧げて行くかのような奔流は何としても改められなければならない・・・」(p.211)。大賛成。

 小泉純一郎政権以前の構造改革を牽引していた中谷巌教授の後悔、〝懺悔の書〟。「消費税増税には、彼らによって生産性が低いとみなされた事業者を掃討する目的も込められているようだ。・・・。/・・・構造改革路線の、そのまま延長線上にある発想」(p.214)。「国全体の生産性を向上させるためなのだから、それで職や生活を奪われる者が現れたとしても、そんなものは小さな〝部分利益〟が損なわれるだけのこと。さっさと諦めて、生き延びたければ自分の家族を追い詰めた大資本に尻尾を振り、彼らのために奉仕せよ、というのである」(p.216)。

 「全国どこの町も単色に染まった日本列島は美しいのだろうか。/・・・世の中の主人公は多国籍企業でも政府でも、それらと直結するエリート層だけでもないのだ。/一人ひとりの人間が、みんな、互いに迷惑をかけ合いながら、けれども共に、支え合って生きている。誰もが共感し合える税制を目指そうではないか」(p.217)。
 結論。「・・・本書では、対案にこれ以上こだわらない。消費税増税は日本社会から最低限の公正さまでを奪い、膨大な死人を出すに違いないことだけを理解してもらえればそれだけで出版の意義は果たせている」(pp.212-213)。

 どの章でもいい、是非手にとって読んでもらいたい。
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●『月刊誌3冊』読了(5/5)

2009年03月30日 07時25分00秒 | Weblog
【『紙の爆弾』(200811月号)・『紙の爆弾』(200812月号)・『創』(20091月号)

 
佐高信さんの「筆刀両断!」は、「昂まる異常識度」と題して奥田碩をやり玉に (pp.60-61)

 
斎藤貴男さんの「「非国民」のすすめ」(pp.70-73)前号の山際さんの批判について、「・・・面識のない山際さんよりも、こんな侮辱的な批判をそのまま載せた編集長の篠田さんに少なからず失望した。・・・何も知らないのに悪し様に罵るやり方はジャーナリズムではない。・・・こんな傾向に『創』までが侵されているようでは、日本のジャーナリズムは本当に滅びる」(p.73)。「今月の編集室から」(p.152) で篠田さんの歯切れの悪い釈明。

 
篠田博之編集長「テレビ朝日が掲げた「ドキュメンタリー宣言」」(pp.110-115)

 雨宮処凛さんの「ドキュメント雨宮革命」は「貧乏人、歩いただけで逮捕
!!(pp.134)
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