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●ドサクサ壊憲…《殺し合いを強いられる側が狂った火事場泥棒のシナリオに乗ってしまったら、取り返しのつかないことに》(斎藤貴男さん)

2020年04月30日 00時00分32秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]



日刊ゲンダイのコラム【斎藤貴男 二極化・格差社会の真相/狂った火事場ドロボーたちのシナリオに乗ってはいけない】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/272177)。

 《憲法を改正して「緊急事態条項」を新設することに「賛成」と回答した人は65・8%で、「反対」の3倍近くに達した――。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が11、12の両日に行った合同世論調査の結果だ。恐れていた事態が招かれつつある。実施主体の特性を割り引く必要はあるにしても、「緊急事態条項」がここまでの支持を集めたのは初めてだ》。

 あのアベ様らによるドサクサ壊憲、緊急事態条項の導入に「賛成」とはねぇ…《実施主体の特性を割り引く必要はあるにしても》酷い結果だ。
 COVID19のドサクサに紛れて、壊憲を口にするアベ様。「国民主権の縮小、戦争放棄の放棄、基本的人権の制限」、さらに、「緊急事態条項」の導入をもくろむアベ様…恐怖でしかないのだけれど…。《2016年3月に麻生太郎副総理が…言い放った妄想…大恐慌後の米国経済は戦争に救われたと講釈を垂れていた。「解決したのは第2次世界大戦です」 殺し合いを強いられる側狂った火事場泥棒のシナリオに乗ってしまったら、取り返しのつかないことになる》。

 西日本新聞のコラム【〈風向計〉平和を願う監督の精神 下村佳史】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/602548/)によると、《戦争が廊下の奥に立ってゐた  82歳で亡くなった大林宣彦監督は、映画人生の集大成となった作品「花筐/HANAGATAMI」を語る時、何度この句を口にしたことだろう。日中戦争が泥沼化していく中、俳人渡辺白泉が詠んだ句だ。その2年後、日本は太平洋戦争へと突入した。…戦争はいつの間にか日常生活に入り込んでいる気が付くと、戦争がそばに待ち構えていた。白泉が敏感に感じ取った恐怖は、決して遠い時代の出来事ではない。…「古里の暮らしや文化を守る人たちの気高き精神こそが、戦争をなくす力になる」。監督の言葉を遺言と思い、かみしめる。  モガリ笛いく夜もがらせ花ニ逢(あ)はん  檀の絶筆。冬の寒風が吹き付け、笛のような音を夜のたびに鳴らすが、必ず春はやって来る。最期まで平和をたぐり寄せようとしていた監督の願いと重ねている》。
 《戦争が廊下の奥に立ってゐた》…《そんな時代にしてはならない》はずが、このドサクサに癒党お維や与党議員ときたら壊憲にまっしぐらだ。マスコミと相まって7年間も直接的、間接的にアベ様らをはやし立ててきた支持者…そのツケはあまりに大きい。

 週刊朝日のコラム【室井佑月「こっちも自粛中?」】(https://dot.asahi.com/wa/2020042200044.html)によると、《しかしですよ、国会議員、しかもこの国のトップであるなら、今現場で頑張っている医療従事者よりも、はるかに奮闘せねばいかん場面なんだと思うけど違うか? だいたい、ほんとうにそう感じているなら、やることはいっぱいあるだろ。…政治家って、しかもそのトップである首相って、国民の命と生活を守る立場だろう。…ちょっと前に、ウイルスを通しやすい布のマスクを各家庭に2枚466億円もかけて送るっていうコロナ対策もあったけど、ほんとうにこの国の指導者はなにを考えているのかまったくわからない。まさか! 安倍首相が怖くて、そのまわりにいる人たちも彼のレベルに合わせているのかしら。安倍政権のうちは、その頭脳も自粛中ってやつか?》
 文化・民度・政治…他国との彼我の差を感じる。ウチの首相ときたら…。アベノカビマスクにドブガネ466億円、しかも、回収。私権を制限し、何時まで経っても給付はなされず、休業補償は行われず、アベノケチノミクス。

   『●政治判断の《根拠》は? 《国家のリーダーとして、権力を預かる者は
        その責任と、権力行使の影響を、十分に自覚しなければならない》
    「神屋由紀子記者による、西日本新聞のコラム【シェアされる首相演説 
     神屋由紀子】…《先週末、新型コロナウイルス問題を巡り、ある首相の
     演説文がインターネット上で相次いでシェア(共有)されていた。
     首相といっても安倍さんではない。ドイツのメルケル首相である》。」

   『●ウチの首相は《対策の不備…科学的根拠の欠如…的外れ》など
     批判の山…文化・民度・首相のレベルに彼我の差を感じずには要られない

 日刊ゲンダイのコラム【高野孟 永田町の裏を読む/コロナ対策の不可解 相談4万7000件も申請受理わずか214件】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/272259)によると、《共産党の小池晃書記局長は13日の記者会見で、新型コロナウイルス対策の一環として政府が打ち出した「雇用調整助成金」の特例措置について、「4月3日の時点で、相談は4万7000件に上る一方、手続きに入ったのは2859件、申請が受理されたのは214件、支給が決定されたのは2件だった」と発表した。…最初の3日間だけで5万人近くが相談に訪れたことに、いま特に中小の経営者が陥っている苦境が表れている。…ところが実際に支給を受けられることになったのは、この中で2件だけ。…それでも政府は、制度はちゃんとつくってやっているんだから、それを利用しない国民が悪いという、完全に上から見下す態度である。麻生太郎副総理の「手を挙げた人には10万円を出してやる」という発言も同じ。この政府の下では国民は不幸になるばかりである》。
 万事がこの有様。市民の生活や命を守る気など、全く無しなアベ様。《この政府の下では国民は不幸になるばかりである》のに、内閣支持率4割だってさ。

   『●デマ・ウソ吐きはどっち? 《雇用調整助成金…構造的欠陥があり、
     誰もが受け取れる「休業補償」という仕組みにはまったくなっていない》
   『●【【私説・論説室から】難局と指導者の態度】《これまで…決して責任を
        取らなかった首相である。コロナ禍ではどんな責任を取るのだろう》
   『●ウチの首相は《対策の不備…科学的根拠の欠如…的外れ》など批判の山
           …文化・民度・首相のレベルに彼我の差を感じずには要られない
   『●大量検査・隔離・追跡、さらに、地域のサンプリング検査が必要…
     アベ様や小池「ト」知事は、この数カ月、一体何をやってきたのか?
   『●鈴木耕さん《目を覚まそうね、みんな》《さすがに、安倍終焉劇の幕は
       上がったのだ……。》…であってほしいが、内閣支持率4割の絶望
   『●「自己申告」させる気? アベ様内閣や自公お維には《小さな声に
     耳を傾け、実現に向けた実践力を適宜発揮できる政治家》が一人もいない
   『●《補償や生活支援策にはケチり続け》る一方で、《悪魔》が残して
     いったアベノマスク2枚で批判封じ…さらに、報道統制のためにドブガネ
   『●《厚労省はそういった感染者用病床に転用できないものも含めた
     空きベッドの数を無理やり足して、数合わせ》…アベ様の《やってる感》演出

 西日本新聞のコラム【〈春秋〉どんな歌の上の句に続けても、なるほどと思わせる下の句がある…】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/603201/)によると、《▼受け取るかどうかは個人に委ねられた。議員や公務員は返上せよ、寄付せよという意見も聞く。ご近所や職場で「Aさんはもらわないのに、裕福そうなBさんは…」などとなれば、嫌な空気になりかねない。何が「公平」か、判断は難しい。政府は批判を避け、責任を国民に丸投げした ▼感染におびえ、外出の自由が奪われ、経済や教育、文化などもむしばまれていく。あらゆる日常生活に当てはまる下の句がある。<それにつけてもコロナの憎さよ>》。
 <それにつけてもアベ様の無能さよ>。大量検査・隔離・追跡、さらに、地域のサンプリング検査…どれ一つ達成できず。 

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/272177

斎藤貴男 ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。

二極化・格差社会の真相
狂った火事場ドロボーたちのシナリオに乗ってはいけない
2020/04/22 06:00

     (特措法の「緊急事態条項」と憲法改正による「緊急事態条項」新設は、
      まるで違う。コロナ禍が終息しても後者の憲法は、
      残る(C)日刊ゲンダイ)

 憲法を改正して「緊急事態条項」を新設することに「賛成」と回答した人は65・8%で、「反対」の3倍近くに達した――。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が11、12の両日に行った合同世論調査の結果だ。恐れていた事態が招かれつつある。実施主体の特性を割り引く必要はあるにしても、「緊急事態条項」がここまでの支持を集めたのは初めてだ。

 新型コロナウイルス禍の前に強権を望む集団心理。特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を安倍首相が発令したのが7日だ。たちまち全国に拡大されたが、彼は当初の、7都府県だけを対象とする「宣言」に先立つ衆院議院運営委員会で、憲法に「緊急事態条項」を設ける議論を、と呼び掛けてもいた。

 日本維新の会の議員に対する答弁だった。かねて衆院憲法調査会を再開させるべく野党工作を進めていた安倍政権ゆえ、特に意外ではないが、発言のタイミングが問題だ。

 「宣言」も「条項」も途中までは同じ「緊急事態」。だから多くの人々が混同しがち。そんな折の、政権に近いメディアグループの世論調査だった。

 言うまでもなく特措法の「緊急事態宣言」と、憲法改正による「緊急事態条項」新設とでは、まるで違う。前者はあくまで新型インフルエンザと新型コロナの感染拡大に限った対応。一方、後者は政府の判断次第で広範な人権制限が可能になる権力のほとんどオールマイティーはコロナ禍が終息しても憲法に残るのだ

 なのに自民党では、たとえば1月末に伊吹文明・元衆院議長が二階派の会合で、新型コロナの感染拡大を改正憲法における緊急事態条項の実験台と見なしたい旨を語っていた。民主党政権下で制定された特措法ではあったが、なるほど水面下で動いたのは警察官僚たちだった。

 何もかも初めから仕組まれていたのではないか。中国や韓国と同様の、感染経路を特定する目的を前面に掲げた位置情報の追跡も近く本格化する。超監視社会の到来だ。

 IMF国際通貨基金)のゲオルギエワ専務理事は14日、「大恐慌以来の経済悪化」への懸念を表明した。2016年3月に麻生太郎副総理がP・クルーグマン氏に言い放った妄想を思い出す。ノーベル賞経済学者を相手に麻生氏は、大恐慌後の米国経済は戦争に救われたと講釈を垂れていた

「解決したのは第2次世界大戦です」

 殺し合いを強いられる側狂った火事場泥棒のシナリオに乗ってしまったら、取り返しのつかないことになる
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●IMFの御宣託「消費税率を最低でも15%まで段階的に引き上げ」よ、だってさ!?

2014年06月08日 00時00分52秒 | Weblog


asahi.comの記事【「消費税率、最低でも15%に」 IMF、日本に求める】(http://www.asahi.com/articles/ASG5Z5Q53G5ZULFA02S.html?iref=comtop_list_biz_n03)。

 「国際通貨基金(IMF)は30日、日本の経済政策について調べ、声明を発表した。来年10月に消費税率が10%に上がるのを前提に、財政再建のためには消費税率を最低でも15%まで段階的に引き上げるよう求めた」・・・・・・まさにワシントンコンセンサスブレトンウッズ体制。なぜIMFごときに言われないといけないのか? あるいは、自公政権が言わせているのか??

   『●『不安社会を生きる』読了(2/2)
   『●『新版 悪夢のサイクル/ネオリベラリズム循環』読了(3/4)
   『●『消費税のカラクリ』読了
   『●ブルーゴールド: 民営化される水道の水源までもが買収される・・・
   『●本当に国民は怒っているのか?
   『●消費税増税についての「国際」機関のお告げを悪用されそうだ
   『●IMFと世界銀行: ワシントンコンセンサス、
                         ブレトンウッズ体制を支えるもの達


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http://www.asahi.com/articles/ASG5Z5Q53G5ZULFA02S.html?iref=comtop_list_biz_n03

「消費税率、最低でも15%に」 IMF、日本に求める
2014年5月30日18時40分

 国際通貨基金(IMF)は30日、日本の経済政策について調べ、声明を発表した。来年10月に消費税率が10%に上がるのを前提に、財政再建のためには消費税率を最低でも15%まで段階的に引き上げるよう求めた

 声明では、女性や高齢者の雇用を増やしたり、外国人労働者を受け入れたりして労働人口の減少に歯止めをかけることに期待を示した。一方、法人税率引き下げについては、財政再建に逆行しないよう、代わりの財源を確保しながら段階的に進めていくべきだという認識を示した。

 会見したIMFのデビッド・リプトンIMF筆頭副専務理事は「成長戦略なしに金融緩和にだけ依存すると、さらなる円安を招きかねず、世界経済にとってマイナスだ」と述べた。
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●IMFと世界銀行: ワシントンコンセンサス、ブレトンウッズ体制を支えるもの達

2012年11月09日 00時00分40秒 | Weblog


IMF世界銀行についての東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012101602000116.html)。市場原理主義者 竹中平蔵氏についてのzakzakの記事(http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121015/plt1210151719003-n1.htm)。神保哲生さんのvideonews.comに出ていた、また、CMLに出ていた、これもIMFと世銀の記事(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002556.phphttp://list.jca.apc.org/public/cml/2012-October/020440.html)。

 もうすでに数週間が過ぎてしまいましたが、目についた一連のIMFや世銀に関する記事。
 ワシントンコンセンサスブレトンウッズ体制の権化、IMFや世銀に未だに期待を寄せることなんてできるのでしょうか? 近年、IMFや世銀の「マネー」で幸せになった国ってどこかにあるのか? 消費税増税を促すような口出しまでされて(口出しするよう外圧を加えさせて?)、何も感じない? 消費税増税で我が国も不幸のどん底になり、IMFや世銀のおかげで不幸になった国の一例になるのかもしれない。
 「小さな政府」という幻想を振りまく竹中平蔵氏が元・大阪〝ト〟知事のバックに、ブレインに。と~ってもお似合いだ。彼らが、大阪市民・府民や日本の国民のことなど何も考えていないことがよく分かるよ。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012101602000116.html

【社説】
IMF・世銀 役割をどう見直すか
2012年10月16日

 国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会など東京での一連の会議が閉幕した。世界経済の処方せんを探ったが、具体策を見いだすことはできなかった。国際機関としての役割に問題はないか
 一連の会議では、長引く欧州の財政・金融危機が新興国の経済にも悪影響を及ぼし、世界経済全体が減速する「負の連鎖」をどう断ち切るかが問われた。
 米国は急激な財政引き締めが起きる「財政の崖」問題、日本は中国や韓国との対立といった個別リスクも指摘したが「迅速な行動が必要」(ラガルドIMF専務理事)、「自国の利益のみを追求する時でない」(キム世界銀行総裁)と言うばかりで、具体的な進展が見られなかったのは残念である。
 その一方で先進国と新興国の対立が目立った。日米欧が九月に実施した金融緩和によりダブついた資金が新興国に流入し、物価高や資源高を招いたとの主張である。こうした新興国側の不満は、IMFの発言権が低く抑えられていることへのいらだちが背景にある。
 出資額に比例した発言権は二〇一〇年に見直しが決まったがもう二年も棚上げされたままだ。早急な出資比率の変更や先進国でほぼ独占してきた幹部人事の不透明な手順も見直しが必要ではないか。
 肝心の役割についても、IMFは「通貨の安定を守るための世界経済の監視役」という本来の使命を果たせないでいる。今回の欧州危機でも、未然に危機の芽を摘むことはできず、その存在感を示したのは危機が起きてからの救済融資の場面である。
 IMFと世銀は、設立された第二次大戦直後から四半世紀は、それぞれ為替相場の安定、途上国支援を役割に世界経済の復興発展に大きく貢献した。しかし、冷戦終結後からIMFは、米国の対外経済戦略「ワシントン・コンセンサス」を実現すべく、規制緩和市場原理など自由主義的な価値観を全世界に広める役割を担うようになった。アジア通貨危機の対応で固有の文化や慣習を壊すなど負の側面もあった。
 もはや米国主導の世界経済でないことは明らかである。先進国だけでは物事を決められず、新興国を含めたG20体制に移行した。IMFが果たすべき役割も必然的に変わる必要がある。アジアや欧州版IMFといった地域組織も視野に、多極化時代を反映した協調の枠組みを整えなければならない。早急に世界で知恵を絞るべきだ。
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http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121015/plt1210151719003-n1.htm

維新の経済政策「小さな政府」に逆風! 竹中平蔵氏は諸刃の剣
2012.10.15

 次期衆院選で、大量の議席獲得が目されている橋下徹大阪市長率いる新党「日本維新の会」。このところの世論調査では支持率が低下しているが、あまり注目されていない経済政策にも落とし穴がある。キーワードは「小さな政府」と「竹中平蔵氏」だ。

■崖っぷちにある「大きな政府」の民主政権       
 「これって、小さな政府ですよね」
 広島支局から東京政治部に異動となり、半年あまりたった平成14年の早春のころだったと思う。ある大臣秘書官にこんな質問をした。
 米国ではブッシュ大統領の政策が「小さな政府」と喧伝されていた。時の小泉純一郎首相も道路公団改革や「三方一両損」による医療制度改革など、その政策は明らかに「小さな政府」を志向しているように見えた。
 小泉政権の発足からいえば、1年近く経っていたが、日本では「小さな政府」という言葉を表だって聞くことはなかった。だから、「これって?」と、おっかなびっくりの体で問うたのだったが、答えは「そうですよ」という拍子抜けするほど簡明なものだった。
 あれから10年余り。米国では共和党から政権を奪取した民主党が、日本では自民党から政権を奪った民主党が、それぞれ政権を明け渡すかもしれない状況にある。
 そして、日本の政局の中心にいるのが、橋下徹大阪市長、松井一郎大阪府知事が代表と幹事長に座る「日本維新の会」。その政策「維新八策」には、首相公選制や国会議員の歳費3割カット、省庁の次官・局長級幹部の政治任用など、波紋を投じた政策が多い。
 このため、経済政策はあまり注目されていないが、その理念は明瞭だ。「財政・行政・政治改革~スリムで機動的な政府へ」の中では、明確に「小さな政府」を謳っている

■「援軍」竹中氏の公募委員長就任 
 そして、来る総選挙に向け、「日本維新の会」の衆院選候補者を選定する「公募委員会」委員長に就任したのが、小泉政権で構造改革を強力に推し進めた竹中平蔵元総務相だ。
 竹中氏は「日本維新の会」の公開討論会にも有識者の立場で出席するなど、その政策に陰に陽に大きな影響力を発揮し、「小さな政府」を推進していく援軍になるとみられる。しかし、この援軍は吉と出るのか、凶と出るのか。
 日米の民主党政権はともに、「大きな政府」を志向し、財政赤字はともに悪化した。財政赤字の縮小のためには、「小さな政府」を志向することは悪いことではない。国内総生産(GDP)の2倍となる1千兆円もの債務を抱える日本にとっては、民間活力を最大限活用し、財政支出を抑える「小さな政府」はむしろ、歓迎されるべきだ。
 しかし、「小さな政府」の理論的根拠にもなってきた米国の経済学者、故ミルトン・フリードマンが率いてきたシカゴ学派は旗色が悪い。97~98年に発生したアジア通貨危機は乗り越えたものの、2008年のリーマン・ショックに続き、欧州債務危機を招いたのが、シカゴ学派の流れを汲む理論と目されているからだ。
 銀行と保険、証券会社の垣根を取っ払い、国や企業の破綻に賭けることができるようなクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)などを世界中に巻き散らかして、今の危機を招いたのではないか。
 直接的な危機の原因が金融機関によるCDSの乱用といったモラルハザードなどであったとしても、そうみなされてしまいがちなのには理由がある。新自由主義と呼ばれ、時には市場原理主義の呼び名で批判されてきたシカゴ学派の流れが、規制緩和を求め、市場の自主性を最大限に尊重するよう求めてきたからだ。
 そして、小泉政権の主要閣僚を歴任してきた竹中氏は、一部から日本を代表する市場原理主義者と目されてきた。そのイメージこそが、政策能力にも発信力にも長けている竹中氏という援軍が諸刃の剣になりかねない所以だ。

■修正求められる市場原理主義 
 欧米ではこの危機を脱するため、緩和し続けてきた金融機関に対する取引規制などを強化する方向で議論がなされている。これは明らかに、市場原理主義的なものを修正する動きだ。
 東大で経済理論や経済思想を学んだ佐伯啓思・京大大学院人間・環境学研究科教授はその著書「経済学の犯罪~希少性の経済から過剰性の経済へ」のなかで一連の動きを分析。「新自由主義体制の破綻を誰の目にも示したのがリーマン・ショックであり、それに続く世界経済危機であった」と指摘している。
 もちろん、金融面における挫折が即、「小さな政府」の全面的な否定につながるわけではない。「民にできることは民に」という小泉首相のキャッチフレーズに今も魅力を感じる人は多いはずだ。
 しかし、順風のなかで「小さな政府」を掲げるのと、逆風のなかで掲げるのとでは、その効果には大きな違いが生じるはずだ。
 「維新八策」には、「無駄な公共事業の復活阻止」や「社会保障制度の世代間・世代内不公平の解消」など、多くの人の賛同を得られそうな事柄も多い。しかし、「解雇規制の緩和」や「混合診療の完全解禁」など、「小さな政府」に賛同する立場からも異論が出そうな政策が散見される。
 「日本維新の会」は近く、次期衆院選に向けたマニフェスト(政権公約)を策定するが、中身次第では国民からの支持率がさらに低下することもありそうだ。

(飯塚隆志)
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http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002556.php

ニュース・コメンタリー (2012年10月13日)
IMF・世銀総会NGOの視点
中国の台頭がブレトンウッズ体制にも波及


ゲスト:松本悟氏(法政大学国際文化学部准教授)

 第二次世界大戦の戦勝国が、戦後の世界秩序を取り決めた「ブレトンウッズ体制」の中核を成す世銀・IMFまでが、中国を始めとする新興国の台頭によって揺れている。
 今週は世界銀行(世銀)、IMF(国際通貨基金)の年次総会が東京で開かれているが、これまでこうした国際金融機関による途上国の開発援助などに批判的だったNGOなどの市民セクターが、今回ばかりは妙に静かだ。
 世銀、IMF年次総会は180を超える国・地域の財務相、中央銀行総裁などが一同に会する場で、参加者は約2万人にものぼる。元々会場に予定されていたエジプトが政情不安のために急遽東京に変更しての開催だったが、総会開催は東京オリンピックの1964年以来48年ぶりとなる。また、今年は日本の世銀、IMF加盟60周年という記念の年でもあった。
 環境NGOメコン・ウォッチの代表として長年にわたりIMF・世銀総会を見てきた松本悟法政大学准教授は、先進国のNGOの間で世銀・IMF批判が以前ほど大きくならない背景に、国際金融機関の変質と中国の台頭があると説明する。
 これまで国際金融機関の開発援助はNGOや市民セクターからの不断の監視に晒されることで、厳しいチェックを受けてきた。環境負荷が高いものや、移住など地域住民に負担が掛かるものは、地域の反対運動と同時に、先進国内でも反対運動が起こるのが常だった。
 しかし、近年、アフリカなどで国際金融機関の融資基準では融資ができない開発プロジェクトに、中国が独自に開発援助を行うケースが増えてきている。
 西側の崇高な理念を掲げるのはいいが、そのために結果的により環境破壊のひどいプロジェクトが、中国の援助で実施されてしまう。多少問題はあっても世銀が国際社会監視の下で行う開発プロジェクトと、外部の監視の目が届かない中で中国が先導する開発プロジェクトでは、どちらの方がよりましなのか。NGOはそのような難しい問題に直面し始めていると松本氏は言う。
 国の規模や拠出金に関係なく平等に一国に一票が割り当てられている国連総会とは異なり、元々世銀・IMFでは出資金に比例して投票力が割り当てられてきた。だからこそ、これまでは先進国の独壇場でもあった。NGOからは先進国側の勝手な論理で開発援助が行われているといった批判がぶつけられてきた。ところがここに来て、中国を始め、ロシア、インド、ブラジル、サウジアラビアなどの新興国の出資比率が増え始め、それに応じてそれらの国々の発言権が増してきている。
 特に、中国の出資比率の増額に対しては欧米諸国から反対の意見が強いと、松本氏はいう。しかし、EUの金融不安などに対応するために、国際金融機関といえどもある程度中国マネーに頼らざるを得ない。2015年までに予定されている世銀・IMFの出資比率の変更では、中国はアメリカ、日本に次いで世界で第三位の出資国となるほか、ブラジル、ロシア、インドなどの新興国の出資比率も、イタリアやカナダを抜き、イギリス、フランス並みになる計画だ。当然それに見合った投票権が与えられることになり、世銀、IMF自体が変質を余儀なくされている、と松本氏はいう。
 中国や新興国の台頭がもたらす開発援助への影響について、松本悟氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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http://list.jca.apc.org/public/cml/2012-October/020440.html

[CML 020631] 【論説】マネーをどれだけ注ぎ込んでも経済危機は解決できない~IMF・世銀総会を受けて

・・・・・・
2012年 10月 24日 (水) 20:26:22 JST

 昨年秋、ドイツ緑の党の国会議員で会派(議員団)副代表であるベーネル・ヘーンさんが、京都精華大学での講演会において、「ドイツで原発を推進しているのは金融資本であり、だからこそ脱原発のためには金融資本への規制が必要であり、緑の党はトービン税を提案している」とお話されているのを聞いて、緑の党は私の所属しているATTACと同じではないかと思ったのですが、実はドイツでは緑の党の青年部とATTACとはかなり重なっているとのことを、ドイツの環境首都フライブルグで開催されたATTAC欧州主催の国際会議に参加したATTAC京都のメンバーからお聞きしました。
 グローバル資本主義の破滅的な暴走を止めるためには、投機的な金融資本への規制と国際金融システムのラディカルな変革こそが求められています。
 ATTACも緑の党もジュビリーも含めて、国際金融システム(IMF・世銀)と真正面から闘う社会運動が日本でも全世界的な99%運動(オキュパイ運動)のように求められています。


【論説】マネーをどれだけ注ぎ込んでも経済危機は解決できない~IMF・世銀総会を受けて
http://greens.gr.jp/seimei/3564/
2012/10/22

マネーをどれだけ注ぎ込んでも経済危機は解決できない
  ――新自由主義経済を主導してきたIMF・世銀体制こそ貧困と環境破壊の元凶
2012年10月22日 緑の党運営委員会

 去る10月14日から19日、IMF・世銀の総会が日本で開催されました。主要国の共同声明は「世界経済は減速し、いちじるしい不確実性と下振れリスクがある」として強い危機感を表明しています。
 世界経済が抱えるリスクの一つ目は、ユーロ危機です。南欧諸国への金融支援の条件とされる緊縮財政政策は人びとの激しい抵抗に遭っているばかりか、それ自体が経済を委縮させ失業を増やし税収を減らすという悪循環を招いています。二つ目は、米国経済が来年初めに「財政の崖」(急激な財政支出削減と減税打ち切り)を転がり落ちて、失速するおそれです。三つ目は、リーマンショック後の世界経済の回復を牽引してきた中国経済が減速し、日中間の領土紛争がこれに拍車をかけていることです。
 これまでIMFと先進国は、各国政府の借金の膨張が国債価格の暴落と金融危機をもたらしたとの立場から、財政赤字の削減を最優先してきました。しかし、経済の失速の危機に直面し、これを軌道修正して経済成長促進政策との両立を打ち出しましたが、財政出動が困難な現在、成長政策は中央銀行がマネーを大量に注ぎ込む金融緩和に頼るしかありません。
 ところが、各国が争って金融緩和を進めても、高い経済成長が過去のものになった今日、中央銀行がいくらマネーを市中銀行に供給しても個人や企業は積極的に借りようとせず、効果がありません。むしろ、大量のマネーが先進国から溢れだして新興国や発展途上国に流れこみ、株や不動産のバブルを引き起こし、食料品の価格を高騰させ、人びとを苦しませています。自民党の安倍総裁や民主党の前原国家戦略相もいっそうの金融緩和による成長戦略を主張していますが、問題の解決にはならないのです。
 そもそもIMF・世銀体制は、発展途上国の債務危機につけこんで構造調整プログラムを押しつけ、公共政策を解体させて途上国の経済を新自由主義とグローバル企業の利益の下に従属させ、貧困と環境破壊を拡大し、先進国でも産業の空洞化と雇用の劣悪化を引き起こした元凶です。今回の総会でも、世界経済を危機に陥れている投機的なマネーの動きを放置し、有効な危機解決策を何も打ち出すことができていません。
 私たちは、人びとの生活と生存を優先する立場から、経済の「成長」ではなく「安定」をめざした次の政策が緊急に必要であると考えます。
 投機的なマネーに対する規制をすみやかに実行する。EUの多くの国が導入している金融取引税や通貨取引税をより実効性の高いものにしながら全世界で導入する。
 環境や再生可能エネルギー、医療やケアや教育、食や農業の分野に資金を投入し、地域から雇用と仕事を新しく創りだす。
 社会的弱者への犠牲を強いる緊縮政策をやめて、社会保障を拡充する。正規-非正規労働者の賃金格差を解消し、労働者の所得を引き上げる。
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●消費税増税についての「国際」機関のお告げを悪用されそうだ

2012年07月10日 00時00分55秒 | Weblog


東京新聞の2つの記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061201001626.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061201001553.html)。消費税では暴走する朝日新聞のこんな酷い社説(→たとえばコレ)に対して、東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012061602000108.htmlhttp://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012062202000132.html)や日刊ゲンダイの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/137081)を見よ!

 いわゆる「構造改革」の要求ですか? いや~怖いですねー。ムダ政権がこのお告げを悪用しそうで、怖いです。なぜIMFがしゃしゃり出てくるのか、理解に苦しみます。黙っていてほしい。消費税増税がなぜ財政再建につながるのか意味不明だし、ますます悪化させるかもしれないではないか。方法は消費税増税しかないのか? もっと他の無駄を止める方法もあるはずだ。消費税増税が目的化していて、何が何でも大企業に喜んでもらうために消費税増税をしたいのだ、としか思えない。
 おまけに、面倒なんで一律に課税・増税しろとのご宣託だ。ますます呆れる。IMFという「国際に従っていて、財政再建できた国ってあるのだろうか? 何のためにこんな「国際は存在するの? ブレトンウッズ体制ワシントンコンセンサス新自由主義経済を維持する以外の目的がこの「国際にはあるのか?
 第2自民党第3自民党が、好き勝手やっている。民主党のムダ首相を含む第2自民党勢力はさっさと党を割って、自らこそが民主党を出ていき、元祖自民党と合体してくれ・・・・・・、と思っていたが、小沢氏達が出て行ってしまった。

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061201001626.html

IMF、日本に消費税15%提言 軽減税率は否定的
2012年6月12日 13時10分

 国際通貨基金(IMF)は12日、日本経済に関する年1回の審査を終え、高齢化社会に対応する安定的な歳入を確保するためには、消費税率を少なくとも15%に引き上げることが望ましいとの声明を発表した。
 消費税増税に伴う低所得者の負担軽減策として、食料品などを対象に軽減税率を採用すれば「税収を効率的に増やすことは難しい」と指摘し、否定的な考えを示した。
 また、消費税率を10%まで引き上げることを含む社会保障と税の一体改革の関連法案の成立が「財政再建の意思を示し、投資家の信頼を維持するために極めて重要」とも強調した。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061201001553.html

軽減税率、結論先送りへ 低所得者対策で協議継続
2012年6月12日 12時10分

 消費税増税関連法案の修正で、民主、自民、公明3党が、焦点となっている低所得者対策として減税と現金支給を組み合わせた「給付付き税額控除」か、食料品などへの軽減税率のどちらを実施するかは今回の協議では決めず、結論を先送りする方向となった。関係者が12日明らかにした。
 すでに水面下の調整で、民主、自民両党が軽減税率は将来的に消費税率が10%を超して再増税が必要となった時点での検討課題との認識で一致。公明党は8%時点からの検討を求めているが、民自両党が合意すれば最終的に異議は唱えない見通しだ。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012061602000108.html

「一体」改革 消費増税も棚上げせよ
2012年6月16日

 民自公三党が「一体改革」法案の修正に合意した。社会保障の抜本改革を棚上げするなど一体改革には程遠いにもかかわらず、消費税は上げるというこの際、増税も棚上げすべきではないのか。
 政党政治に新たな汚点を加えることになりはしないか。
 消費税増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」関連法案の修正協議で、民主、自民、公明三党が合意に達した。今国会で成立すれば消費税は5%から二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%へと引き上げられる
 実際の増税前に次の衆院選が必ず行われ、その是非を問う機会があるとはいえ、法律が成立してしまえば阻止するのは至難の業だ。
 民主党は〇九年衆院選で消費税増税はしないと約束し、一〇年参院選は増税を掲げて惨敗した。有権者が拒否した政策をなぜ強行するのか。次の衆院選で、有権者は何を信じて投票すればいいのか。
 野田佳彦首相は、本格的な少子高齢化社会を迎え、持続可能な社会保障制度を構築するための消費税増税だ、と言う。だから、社会保障と税の改革は「一体」だと。
 ところが年金の最低保障機能や高齢者医療制度の見直しなど、消費税増税と一体であるはずの社会保障の抜本改革は棚上げされ、有識者らによる「国民会議」で一年以内に結論を出すことになった。
 与野党が協力して社会保障改革に取り組むのは是とするが、それならば改革案がまとまって必要な財源額が確定するまで、増税決定も見送るのが筋ではないか。
 社会保障の全体像が見えないまま消費税増税に踏み切るのなら、最初から増税だけが狙いだったと批判されても仕方があるまい
 財政への危機感は首相と共有する。今の社会保障が持続可能とも思わない。国民も同じだろう。社会保障も税も抜本改革が必要だ。
 それを進めるには国民の理解と同意が欠かせないが、野田内閣の努力は十分といえるだろうか。〇九年衆院選マニフェストに「書いてある」政府や国会の無駄排除に取り組まずに、「書いていない」消費税増税を強行することには、国民が納得しないだろう。
 民主党内に消費税増税に反対する動きがある。良識ある国会議員としては当然だ。首相はそうした議員を切り捨て、消費税増税のために自民党と組むというのか
 「書いてあることは命懸けで実行する、書いてないことはやらない」。こう公言していたのは首相自身である。
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http://gendai.net/articles/view/syakai/137081

IMF 「消費税15%にしろ」の妄言
2012年6月14日 掲載

これは内政干渉じゃないのか
領土では大騒ぎのメディアも沈黙

 これは立派な「内政干渉」だろう。日本が安定的な歳入を得るには、消費税率を少なくとも15%に引き上げることが望ましい――とトボケた声明を12日に出したIMF(国際通貨基金)のことだ。破綻状態のギリシャや、財政危機がささやかれるスペインじゃあるまいし、日本がIMFにガタガタ言われる筋合いはない
 だいたい日本はIMFに対する出資比率が世界2位の“大株主”だ。ヒモの分際で、パトロンに向かって上から目線で「物言い」なんて冗談じゃない。それに、日本は4月にIMFの「欧州危機」に対する拠出要請に応じて、いち早く5兆円近くも投じている。大金を巻き上げておいて、直後に「国庫を満たせ」と煽るなんて余計なお世話だ。

   「IMFは、今国会で審議中の消費税増税法案に対しても
    『成立が財政再建の意思を示し、投資家の信頼を維持するために
    極めて重要』と踏み込んでいます。紛争状態など非常時ならともかく、
    主権国家の法案可否にまで言及するのは異常。法案を
    審議するのは日本の国会であり、日本国民です。IMFの声明は、
    明らかに日本の主権を侵害しています」(経済ジャーナリスト)

 IMFが日本の内政にまでクビを突っ込むのは、副専務理事に財務省出身の篠原尚之氏が就いているからだ。TPP(環太平洋経済連携協定)や、米軍普天間基地移設問題など、国内で異論が沸き起こると、海外の機関を使って「外圧」をかけるやり方は「霞が関」の常套手段だ。
 経済評論家の上念司氏はこう言う。

   「IMFの誰が声明を出したのかを確認するべきでしょう。
    IMFのチーフエコノミスト、オリビエ・ブランシャールは
    『財政再建とはスプリント種目ではなくマラソン競技であるべき。
    債務を適切な水準に戻すまでには優に20年以上かかるだろう』と言い、
    性急な財政健全化路線に警鐘を鳴らしています。つまり、
    今回の“IMF声明”と正反対です。“大株主”として、
    ダブルスタンダードを許してはいけません。ガタガタ言うのなら、
    出資金を引き揚げて脱退する手段だってあるのです」

 尖閣諸島など領土問題では「主権が侵される」と大騒ぎのメディアも、相手がIMFだと静かだから不思議だ何か弱みでも握られているのか
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012062202000132.html

【社説】
延長国会 「決めないのも政治だ
2012年6月22日

 通常国会の会期が九月八日まで七十九日間延長された。消費税増税のための「一体」改革法案の成立が目的だが、それ以外にこそ、決めるべきことはたくさんある優先順位を間違えてはならない
 眼前の課題は放置され、二年先の消費税増税だけが先に決まる。政治生命を懸けた消費税増税をほぼ手中にした野田佳彦首相にとっては、面目躍如というところか。
 国民の多くは順序がおかしいと思うが、その声は政府や民主党執行部に届かない
 ねじれ国会でもあり、政府提出法案の成立率は35%にとどまる体たらくだ。国会議員だけが担う立法という仕事を全うするには大幅な延長が必要なことは理解する。
 ただ、限られた時間である。決めるべきことにこそ力を注ぎ、無為に時間を過ごすべきではない。
 一体改革法案は民主、自民、公明三党などの賛成で近く衆院を通過し、参院での審議を経て今国会中に成立する見通しだ。
 しかし、政権を託された二〇〇九年衆院選のマニフェストに書いていない消費税増税を、民主党が自公両党と手を結んで進めることには、やはり納得がいかない
 小沢一郎元代表ら民主党内にも法案反対を明言する議員がいるのは当然だ。小沢氏らは離党・新党結成も視野に入れる。首相は、民主党が打撃を被っても、増税さえ実現すればいいというのか
 消費税増税の決定は、一年かけて検討する社会保障抜本改革の結論が出るまで棚上げすべきだ。増税が本当に必要かどうか見極めるのは、それからでも遅くはない
 首相は、消費税増税の民自公三党合意を「決められない政治」からの脱却だと言うが、その詭弁(きべん)にはだまされたくない国民の多くが疑問に思う政策なら「決められない」方がましである参院議員の良識に望みをつなげたい
 延長国会ではまず、衆院の「一票の格差」是正と、国会の無駄排除に力を注ぐべきだ。違憲・違法状態を放置し、政党交付金や文書通信交通滞在費などの特権に手を付けない国会が信頼されるのか。
 民主党が国会に提出した衆院比例代表に一部連用制を導入する案は、消費税増税への公明党の協力を得ようとの思惑が丸見えだ。
 一票の格差是正のために「〇増五減」は最低限必要だが、選挙制度を抜本的に変えるのなら有識者に議論を委ねるのも一手だ。議員を選ぶ土俵づくりは、党利党略とは距離を置くべきである。
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●『ウォーター・マネー/「水資源大国」日本の逆襲』読了(4/5)

2010年01月17日 16時29分09秒 | Weblog

【浜田和幸著、ウォーター・マネー』】
 あのモンサントまで、あ~あ。「・・・種子の次に重要なターゲットになるのは水である。なぜなら、水がなければ生命は維持できないからだ。/確かにモンサントは、世界各地の水関連企業や水源地の利権確保に余念がない。モンサントが世界の水支配に本格的に取り組み始めたのは、1999年のことである。・・・最初のターゲットになったのは、インドとメキシコである」(p.91)。「計算高いモンサント」(p.93)。
 世銀だけでなく・・・どいつもこいつも。「2003年夏、日本の京都で「世界水フォーラム」が開催された。IMF・・・理事長・・・水道事業の民営化を積極的に支援する講演を行った際、・・・市民団体・・抗議の意思を表明した。・・・「国際機関international organizationsの動きは、世界のウォーター・マフィアを利するだけだ。地球の公共財産common propertyである水を、一部の企業が独占することに国際通貨基金(IMF)が手を貸すことは断固として許さない」というものである」(p.95)。
 アメリカはイラク一体に何をやったのか? 「・・・世界最大の建設会社ベクテル。この会社は歴代の国防長官や国務長官を役員board memberとして数多く迎えており、その政治力は他の追随を許さない。彼らも途上国を中心とした水道のインフラ整備ビジネスに早くから着目し、積極的な市場開拓・・・。/ベクテルはアメリカのブッシュ政権とは特に緊密な関係を誇っており、イラク戦争で破壊されたイラクの水道復興事業reconstructionで巨額の利権を手に入れた。アメリカ政府からの指名入札を通じ勝ち取った契約は、なんと6億8000万ドル。水の流れる先には常にビジネスの香りがするようだ」(p.98)。

 ノーベル平和賞受賞者に期待している方々へ、その本質を。似非にして、原発推進者の「・・・元副大統領アル・ゴアも・・・意外にも巨万の富を確保しているようだ。・・・『不都合な真実』“an inoconvenient truth”・・・。/・・・「科学的に誤った内容を多数含んでいるため、わが国の高校生や中学生には見せないように」と、イギリスの高等裁判所が判断したほど、環境問題を政治的に利用しているとの見方も強い。/実は、報奨金を寄付されたNGOはゴア本人が設立し自らが理事長を務める団体にすぎなかった。表向き環境問題の守護神というポーズをとりながら、これでは環境問題をネタに利益追求に邁進するクールなビジネスマンといわれても仕方ないだろう。・・・ノーベル委員会に対して積極的なロビー活動lobbyingを行った結果が受賞につながったようで、・・・。/・・・しかもCO排出権取引市場をアメリカとヨーロッパに設立された結果、8年間で100億円を超える個人資産をindividual assetを築くまでになった」(p.99)。CO排出まで金儲けに使ってやがる。
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●『新版 悪夢のサイクル/ネオリベラリズム循環』読了(3/4)

2009年12月27日 06時35分59秒 | Weblog

【内橋克人著、新版 悪夢のサイクル/ネオリベラリズム循環

 「その経済学者の名はミルトン・フリードマンと言います」(p.83)。
 ケインズ学派vsシカゴ学派。「・・・ネオリベラリズムの始祖とも言える、ミルトン・フリードマン・・・。/・・・マネタリズムの原則、「競争している市場は安定している」「競争市場は常に公平だ」という前提は、もう時代の現実に合わなくなっていると私は考えますが、いずれにしてもフリードマンは市場原理主義の一つの大きな思想的な柱であり、彼の存在を抜きにしては現在の新自由主義ネオリベラリズム)を語ることはできません」(p.86)。「・・・「市場にまかせさえすれば、すべてうまくいく」という彼の理論・・・/・・・貨幣の供給量によってのみ経済はコントロールできる、公共事業や福祉事業による需要創出効果は、無駄である、というこの考えをマネタリズムとも呼びます」(pp.90-95)。
 「レーガン、ブッシュ・シニア・・・クリントン政権も、・・・/これによってシカゴ学派の優位は決定的となり、アメリカ中の大学やビジネススクールでフリードマン流の自由経済学が教えられるようになります。IMF(国際通貨基金)」やWTO(世界貿易機関)、世界銀行といった国際機関や世界各国の官庁や中央銀行に自由主義経済学の洗礼を受けた卒業生が送り込まれ、「グローバリズム」の名の下に世界各国に市場原理主義を広めてゆくわけです(pp.98―99)。保険、公衆衛生の安全規制など、政府によるあらゆる規制に反対。

 「フリードマンの市場原理主義を極端な形で採用した国家の軌跡」(p.107)。チリでは、CIAの〝協力〟でアジェンデ政権をクーデータにより破壊し、「政権を銃口で掌握したピノチェト」は「シカゴ大学でフリードマン流経済学を学んだ若きエコノミストたちを閣僚に登用し、極端な自由化政策を進めることになるのです。/「彼らは「シカゴ・ボーイズ」と呼ばれました」。『悪夢のサイクル』の始まり。「価格規制の撤廃、関税引き下げ、貿易の自由化、税制のフラット化、財政支出の削減、公的年金や医療保険の民営化、公企業の民営化、最低賃金の撤廃や組合交渉の違法化など労働規制の緩和、外資規制の緩和、金融取引の自由化などなどの市場原理主義政策をまさにフリードマンの教科書通りに実施・・・」(p.112)。
 「ピノチェト政権に反対するチリのデモ隊からは、フリードマンは「独裁を支持した自由主義のドン・キホーテ」と呼ばれたのです」(p.114)。「ネオリべラリズムは、小さな政府を標榜しながら、実は、軍事に関しては大きな政府という形態をとります(p.170)。
 「このコンセルタシオン政権下の経済成長が世界的に注目されたわけですが、その成功は、決して新自由主義政策によるものではなく、むしろ行き過ぎた市場原理主義への反省の上に立って、貧困問題や社会格差の縮小に真剣に取り組んだ結果であることは明らかです。従って、これをもって「市場主義の勝利」といった言い方をするのは、完全な間違いです」(p.118)。日本の新政権が小泉や竹中の誤った政策を、この方向で修正してくれるとよいのですが・・・。
 アルゼンチンの新自由主義改革も失敗(pp.118-125)。

 
「ネオリベラリズムの政策によって、引き起こされるサイクルとは」(pp.126-127)。「・・・国の市場を支配し、利潤を搾取して国外に持ち去るという構造が確立・・・」(p.128)。
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●『不安社会を生きる』読了(2/2)

2009年06月29日 07時56分35秒 | Weblog
【内橋克人著、『不安社会を生きる』
 「日本には個人貯蓄が一千二百兆円もある・・・豊かな貯蓄を持っている国は日本以外にはない」という幻想、「個人の貯蓄の大きさを指摘する議論ほど、無意味なものはない」(p.107)。約半分は「個人事業者の事業用資金」、残り大半は約十数%の富裕層の貯蓄であり、「平均像としての貯蓄額は二百万円から四百万円の範囲に集中」。「リタイアした人びと・・・貯蓄総額の五〇パーセント以上を保有・・・当然ながら、その貯蓄は老後のための蓄えであり容易に消費に回されるものではない」。「消費の中核を担う二五歳から四五歳までの世帯では、貯蓄より借金の方が大きくなっている。/要するに、個人も借金漬けなのであり、高い貯蓄額の数字だけをもって日本人は豊かであるというのは幻想に近い。」
 「景気が回復するとは・・・国民一人ひとり、勤労者一人ひとりが自分の立場から見て、自分の働きにふさわしい報酬を得ることができるということではないだろうか」(p.109)。この不景気の世だからこそ、かみしめたい言葉。
 「小泉政権のすすめる不良債権処理策の実質が、企業の債務を国に移し、時を狙って、今度は、国の債務を一人ひとりの生活者の家計へと移し・・・」(p.177)。「「自己責任」は企業ではなく、もっぱら個人に押しつけられている。・・・/・・・従業員は・・・レイオフや解雇の対象となることを覚悟しなければならず・・・。/・・・しかし、「規制緩和は若干の痛みをともなう」とうたっているのだ・・・。/「若干の痛み」とは何を指しているのだろうか。/・・・九百三十四万人の失業者! 千六十四万人の新規雇用? いったいどのような根拠あっての数字だったのであろうか。そして、これが「若干の痛み」であろうか。/この驚くべき「非現実性」・・・/経団連・・・まさに生活者には自己責任を求め、自らはその埒外に立つという習性に発しているのではあるまいか」(pp.194-197)。

 再販制度(p.154)。「教育の機会均等」にならぶ「情報の機会均等」に貢献。

 「従来、国際通貨基金(IMF)、世界銀行は人道主義的支援が大きな精神的バックボーンだった。・・・アジアを救済するのあたり、支援と引き換えに市場化を要求するように変わってきた。・・・/・・・MAI(多国間投資協定)もアメリカの覇権を打ち立てようとする強い意志のシンボルだった」(p.217)。
 「・・・イスラムの金融機関は利子、利息の概念そのものを禁じている。・・・利が利を生むマネー資本主義に対するアンチテーゼがイスラムにはある。/・・・とってかわるのではなく、市場経済をより健全なものにする上で価値の高い対抗思潮だと思います。」(p.218)。自給自足圏の中でも安定した経済成長は可能かとの問いに、「ほどほどの成長は可能です。それを実践しているモデルは世界にたくさんあります。『浪費なき成長』です」(p.221)。いわゆるFEC。「BSE問題の発端、肉骨粉に関しても飼料穀物の輸入自由化にさかのぼる長い歴史検証をスキップすることはできない」(p.226)
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