東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012030390070301.html)。
核燃サイクルをやる意義についてこれまで、色々な批判がありました。自民党内部からでさへ批判がありました。市民はダマされ、その無意味さや危険さを指摘してきた研究者その他の批判の声に耳を貸そうとしませんでした。
『●核燃サイクルという幻想、推進ありき』
『●プルサーマルの無意味さ再び: 核燃サイクルという幻想の破綻』
『●核のゴミと云う地獄:「王様は裸」』
今回、核燃料再生率に根拠が無いことが明らかになりました。15%が10%程度だったのかというと、それどころか1%程度にしか過ぎないとの指摘です。でも、いくら批判されてもこんな無駄なことをやめようとしないのですから、原子力ムラの住人は本当にどうかしています。なし崩しに続ける方に、一票、ですね。10年かけて議論する、なんて言いだす委員会があったように思います。10年間はこのまま続けましょう、というのと同義。その後、当座検討しながら続けましょう、というお決まりのパターン。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012030390070301.html】
核燃料再利用「15%」の謎 根拠 誰も知らない
2012年3月3日 07時03分
原子力委員会事務局が昨年十一月、政府のエネルギー・環境会議のコスト等検証委員会に、使用済み核燃料はどのくらい再利用できるかを示す重要な数字を、根拠を確かめないまま提示していたことが分かった。この数字は、核燃料サイクル政策を続けるかどうか、コストや省資源の面から判断する重要な材料の一つ。エネ環会議は夏にも新たなエネルギー政策の方向を打ち出すが、重要な数字の信ぴょう性が揺らいだことで、議論の行方にも影響が出そうだ。
問題の数字は、「次世代燃料生成率(再生率)」。使用済み核燃料から取り出したプルトニウムなどが、どのくらい混合酸化物(MOX)燃料として再利用できるか、その割合を示す。数字が高いほど、ウラン資源が有効活用でき、エネルギー確保も容易になるとされてきた。
昨年十一月のコスト等検証委では、委員の大島堅一立命館大教授から二回にわたって再生率に関連する質問が出た。原子力委員会事務局が回答を示した。
この中で、同事務局は重さ千キロの使用済み核燃料からは、十キロのプルトニウムと百四十キロのウランを回収し、百五十キロのMOX燃料が再生できる。そのため、再生率は15%になると説明した。
しかし、ここで再生に回るとされたウランは、再生が難しく、現在、利用する計画はない。実際には、外から別のウラン(劣化ウラン)を調達してMOX燃料を作るため、千キロの使用済み核燃料のうち再利用されるのは、十キロのプルトニウムだけ。通常なら、再生率は1%になるはずだ。
本紙の取材に、同事務局の山口嘉温(よしはる)上席政策調査員は「15%は二〇〇四年に経済産業省コスト等検討小委員会が出した数値を踏襲した」と説明。「15%の根拠は調べたが、分からなかった」とも述べ、根拠が不明確なままだったことを認めた。
一方、経産省は「15%がどう決まったかが分かる資料は現在見当たらない」(担当者)と話している。
◆裏切られた思い
コスト等検証委の大島堅一立命館大教授(経済学)の話 原子力の専門家には敬意を払って会議に参加しており、科学的な数値は信用していた。根拠がなかったとは驚くし、裏切られた思い。数値を守ろうとした揚げ句、訳が分からなくなったのではないか。コスト等検証委は「聖域なき検証」をうたっていたが、費用計算全体が疑わしくなった。再計算が必要だろう。
(東京新聞)
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