Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

短歌から俳句,ではなく,川柳

2016-01-02 09:18:13 | エトセト等
正月休みの金のかからないお遊び.

かって短歌を縮めれば俳句になるのではと試みたことがあったが,うまくいかなかった.松村 由利子「物語のはじまり―短歌でつづる日常」を読んで思い至ったのは,短歌の対象は人間で,俳句の対象は自然ということだ.川柳はと言えば,その対象は人間だから,「短歌から川柳」ならうまくいくかもしれない.同じ松村 由利子著の「31 文字のなかの科学」エヌティティ出版 (2009/6) から拾った歌で実験すると

 おもいっきりの大爆発で老体が死ぬことを超新星と呼ぶ  松木 秀
    大爆発老体死んで超新星

短歌のほうは単なる超新星の定義とも受け取れるが,川柳は比喩的.

 はかなかるサラリーマンの癖として「宇宙ひも」など浮かべて眠る  渡辺 松男
    宇宙ひも浮かべて眠るサラリーマン

「はかなかる」「癖として」の説明がなくなるとブッキラボーになり,またシュールになる.今年の流行に鑑みて「ニュートリノ浮かべて眠る...」の方がいいかとも思ったが,ニュートリノに「浮かぶ」は無理か.

 彗星は精子のようにぬばたまの闇の大宇宙流れてゆけり  荒井 貞子
    彗星は精子のように宇宙を行く 

もと歌の「大宇宙」は「おほぞら」と読ませる.川柳の「宇宙」も「そら」と読んでいただきたい.「ぬばたまの」を削除せざるをえないのが残念.

目先を変えて穂村弘「短歌ください」からも試みた.こちらの本の歌の方が与し易そう.

 一度二度三度四度とエアコンの温度を下げて駄目になってく  晴家 渡
    二度三度エアコン下げて駄目になる

この季節だと「エアコン上げて」としたいところだが,選者穂村さんの言うように,上げるより下げる方が「駄目になってく」感が強い.

 シーフードカレーは海の地獄絵図えんまの母が鍋をみおろす  麻倉 遙 
    シーフードカレーは海の地獄絵図

最後の七・七を取っても立派に通用しそう.   

もと歌さんたちにおかれましては,失礼おゆるしください.

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