Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「林檎の熟するとき」

2021-06-20 08:49:14 | 読書
図書館は閉鎖しているわけではないが,コロナ下で借り出すのが楽ではないので,書棚の古い本を読んでいる.

 シュトルム,関泰祐訳「みずうみ」岩波文庫(1953/2)

が初めて岩波文庫として刊行されたのは 1936 年のこと.この初版本は家にあった.若い頃 母親が愛読したらしい,ということを思い出して,今世紀に入ってからこの改訳版を買った.しかしちょっと読んで,つまらないと放り出したままになっていた.

トップ画像の文庫のカバーイラストは手許にある 2003 年版と違うが,内容紹介文はおなじ.
表題作への感想は,スケッチに水彩みたい,綺麗だがそれだけのもの...

解説によれば作家シュトルムの郷里はデンマーク領になったりドイツ領になったりしたらしい.彼は政権が変わるたびに地位を追われるが,それでも弁護士になったり判事になったり知事してしぶとく生きる.しかも世間の評判は悪くなかった.彼の人生とこの本の作品にギャップを感じるが,それはひとつには,この本の作品群が初期・作者30代に書かれたものだからだろう.

なかでは「林檎の熟するとき」が毛色が違っておもしろかった.日本でも,谷崎潤一郎とか,堀辰雄とか,純文学畑のミステリタッチの作品のアンソロジーがときどき出版されるが,その傾向の作品.谷崎・堀より 上手い.

この訳者のご子息に大学の教養でドイツ語を教わった.関楠生先生の風貌や口調はなんとなく覚えているが,ドイツ語は頭から蒸発してしまった.

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