「遠藤周作 初期短編集 砂の上の太陽」河出書房新社 (2023/11)
図書館で借読.
出版社の紹介*****
『沈黙』が執筆されるまでの、著者の原点となる信仰の苦悩を描く「砂の上の太陽」他、50年代60年代を中心に初期の知られざる短篇を発掘。貴重な作品の数々!*****
この本の最初の2篇は洋行の自己体験.次は旺文社の雑誌「高校時代」に掲載した小説と続き,9編の最後の「砂の上の太陽」は実質的 芥川受賞第1作.短編として完結しているものも,尻切れ蜻蛉のものもある.
次第に純文学的な小説 ? になるように配置されているのかと思った.でもこの順番は解題 (今井真理) によれば,執筆された年代順ではないのだった.同じ今井による解説もある.
最初の2篇の洋行・留学談の,自分だけ酷い目にあったような書き方に閉口した.16 トン自身も ¥360/$ 時代の留学での,思い出したくないことを思い出してしまった.
最後の3編「ピエタの像」「ナザレの海」「砂の上の太陽」がやはり「キリスト教作家」らしくて良い.後期のユーモア小説や狐狸庵随筆に (僕が) 感じる手抜き感は希薄.
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