Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

白き嶺の男

2018-08-02 08:11:09 | 読書
暑いので冬山小説.
谷甲州「白き嶺の男」山と渓谷社 ヤマケイ文庫 (2018/6)単行本は 1995/4 集英社刊.

Amazon 内容紹介*****
山岳会の新人山行として冬の八ヶ岳縦走に参加した加藤武郎。山岳会の常識にとらわれない彼の行動に、リーダーは戸惑い、怒りを覚えるが、その夜、猛吹雪がふたりを襲う--(白き嶺の男)。
『新編 単独行』から『単独行者(ルビ・アラインゲンガー)』に連なる不世出の登山家・加藤文太郎 (1905~1936) の魂を継いで、南アルプスの渓谷や冬の北アルプス・滝谷、そしてヒマラヤの高峰を舞台に谷甲州が描く「もう一人の加藤の物語」。
1996 年度新田次郎文学賞受賞作。*****

ワンゲルなるサークルに入っていたので,加藤文太郎の名前は知っていた.ブン太郎と言っていたがフミ太郎が正しいそうだ.自分たちがやっているのは mountain walking であって climbing ではないと自覚していたので,文太郎の名著「単独行」に手を出したことがない.

この本に登場する加藤武郎は文太郎を現代に置き換えた人物で,この本には彼を中心とする5編と,「七つ針-山岳ホラー」が収められている.連作5編の最初の舞台は八ヶ岳,最後の2編はヒマラヤで,主人公は徐々に成長する.個人的には日本の山岳地帯を舞台とする最初の3作に親しみを感じた.この辺りでは主人公も若くて愛嬌を感じさせる.身辺で豪雨災害があったばかりなので,第2作「沢の音」の鉄砲水の描写をリアルに感じた.
あとがきにもあるが,最後の「七つ針」を収録したことにちょっと違和感.著者自身が「山岳ホラー」と副題? をつけることにも違和感を持った.
クランポンとかアイスアックスとか聞きなれない山道具が頻出.アイゼン,ピッケルは死語なんだろうか.
解説 加藤芳樹.

☆☆☆★

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