Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ヴォネガットの死者インタビュー集

2023-06-29 06:50:01 | 読書

カート・ヴォネガット,浅倉久志・大森望 訳「キヴォーキアン先生,あなたに神のお恵みを」早川書房 (2023/5).

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始まりは、心臓の手術中に起きた偶然の臨死体験だった。その後、ヴォネガットは、キヴォーキアン医師が監督する制御臨死体験により、天国の門のすぐ手前まで赴き、死者たちと話ができる立場となる。かくて、ラジオ局の「死後の世界レポーター」に就任したヴォネガットは、シェイクスピアやヒトラー、ニュートン、アシモフ、キルゴア・トラウトなどなど、名だたる故人たちにインタビューを敢行した - カート・ヴォネガットによる、死者20人+αへの架空インタビュー集。
ホームレス出身の作家リー・ストリンガーと、創作について率直に語り合う公開対談「神さまとの握手 - 書くことについての対話」を併録。
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Wikipedia によれば,ジャック・ケヴォーキアン(Jack Kevorkian 1928-2011) はアメリカの病理学者,元医師.末期病患者の安楽死を積極的に肯定し,自作の自殺装置を使った自殺幇助活動にちなんで「死の医師(ドクター・デス、Dr. Death)」と呼ばれた.1999 年にに殺人罪で服役したが,仮釈放後も亡くなるまで安楽死・尊厳死の啓発活動を続けた.
この事実 (大森による本書の解説には書いてある) を知らなかったので,上記 Amazon の紹介を見てもイマイチわからなかった.
ちなみに,このプログを書いている前日,市川猿之助が自殺幇助罪で逮捕された.

「キヴォーキアン先生...」はニューヨークの放送局 WNYC の放送台本.学生時代,このヒトの小説を原語で読みかけたが,さっぱりわからないと放り出した覚えがある.
当時からずっと著者の名をガヴォネットと思い込んでいたかもしれない.

本書の場合は各インタビューが A5 日本語版で 2-3 ページ.インタビューの相手がひとこと・ふたこと警句を吐く,辛口のコラムといった感じ.すらすらと読めたが,それだけのことだった.惹句ではシェークスピア以下歴史上の人物ばかりだが,解説が言うように,放送時には「死にたて」のインタビュー相手も多く,当時は活きの良い文章だったのだろう.

もともとは God Bless You, Dr. Kevorkian と Like Shaking Hands with God の2冊だったものをこちらで1冊にして出版したのだが,それでも 150 ページ強.Like Shaking ... (神さまとの握手...) のほうは添え物扱い.リー・ストリンガーはもちろん,ヴォガネットの小説もまともに読んだことがないものにとって,興味が持てる対談ではない.じっさい面白くなかった.

ハードカバーだが,このカバーデザインは好みではなく買う気にならない.税抜き定価 2200 円も高い.もっとも図書館で借りたので,関係ないけど.

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