Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

大阪大学出版会のポピュラーサイエンス

2016-12-29 11:38:08 | 読書
「大学出版部協会」には北大から九大まで,国・公・私立大の 30 ほどのいわゆる「出版会」が名を連ねている.半世紀以上昔には大学出版会の教科書を買わされた記憶がある.このように大学出版会の主力は教科書と学術書だが,啓蒙書も出版している.

一般に啓蒙書の著者は,どんなテーマもこなすポピュラーサイエンス専門ライターの場合と,テーマに関する深く狭い専門家の場合がある.大学出版会の本では後者が当てはまる.目次を見ると,前者の場合は教科書的だが後者では個性的.記述には高校以下の理系教育に対する不満が散見されることが多いが,逆にこの不満が執筆の原動力かもしれない.

ここに紹介するのは大阪大学出版会の4冊で,「マンガ 超ひも理論をパパに習ってみた ―天才物理学者・浪速阪教授の70分講義」についてはすでにこのブログで紹介した

「コミック 証明の探究 高校編!」(2014/12) も似たようなもの,というのは逆で,こちらが「超ひも理論」に先駆けて刊行されている.

Amazon の内容紹介から抜粋すると,*****桜灘高校2年の葉子は、成績優秀な慶太が気になるが自分の気持ちにとまどう。あみだくじはどうして一人の相手にしかたどりつかないの? 落書きを詰め込み授業の数学教師トゲバタに注意され、慶太は葉子のノートの相合傘を見てしまう。美少女・沙織は、慶太に急接近。葉子と慶太を離そうとする。葉子はあみだくじを証明しようとするが…?!*****

おもしろそう! しかし白状すると,4 冊のうちこの本だけ読んでいない.
日比孝之「証明の探究 (共通教育シリーズ) 」大阪大学出版会(2011/4) が下敷きになっているそうだ.「超ヒモ...」の方は,マンガではなく字が多い同じタイトルの本が,こちらは講談社から 2015/2 に出ている.

土岐博,兼松泰男「理系の言葉 -微小量の魅力-」(2015/1) は大阪大学超域イノベーション博士課程プログラムの書籍化.バネの運動の微分方程式をタネに文系の学生に理系の言語としての数学を解説をする.このコースのエッセンスはウェブで見ることができた.しかし今日探したらみつからなかった.
数式を拾って図を見れば,たいていの物理の論文は (英語でも) 片がつくことを文系のひとに理解してもらいたい...と16トンも思っていた.「理系の言葉」とはよく言って下さった.

4冊目「視て聴くドレミ: フーリエ音楽学への招待」(2013/2) は私たちの本.

こうした本は手にとって見なければ買う気にならないもの.しかし広島あたりの書店にはない.丸善や紀伊国屋でも怪しい.
そのせいかどうか知らないが,「視て聴くドレミ...」は同系統の講談社ブルーバックス「音律と音階の科学」の 1% くらいしか売れていない.素人目には,この出版会は企業としては企画力が販売力にはるかに先行しているように見える.

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