Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

仁木 英之「奏弾室」

2018-07-23 06:34:52 | 読書
徳間書店 (2018/3).
図書館で借用.

Amazon の内容紹介*****
郊外の林の中にある洋館は、音楽教室になっていた。そこには、ちょっとワケありな生徒たちばかりが通っている。
ある日、そこに音の善し悪しが解らなくなってしまった学生が、音に惹かれて、迷い込んだ。
「僕僕先生」シリーズなどのファンタジーから、歴史小説など、様々なジャンルで活躍する著者が挑む意欲作!
小誌「読楽」で連載したものに短篇1本を書き下ろしで収録。*****

奏弾室は相談室.主人公も厳しかったピアノの練習がトラウマになっている.
7話の連作だが,徐々に作風が変化する.ちゃんとした設計図なしに成り行き任せで書いた感がある.
各話に「主よ,人の望みの喜びよ」「どんなときも」「ホーダウン」...と,楽曲の名前がついているが,ここに登場する音楽教室の先生はジャンルを問わずなんでも来いである.正確無比だが心がない演奏って,ハイフェッツのピアノ版?

主人公の匂いフェチの草食学生と,この神秘的な先生との関係もモヤモヤしたまま.学生は姉とふたり暮らしだが,この姉にもレズがほのめかされる.

著者の「僕僕先生」「海遊記」はよかったが,この路線はどうかな? と思いながらも,最後まで読まされてしまった.純文学風に書けば,現代の雨月物語になったかも.

☆☆☆

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