Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

古書「名演奏家たちのタックル・ランド」

2020-03-26 16:20:40 | エトセト等

砂川しげひさ,音楽之友社(1984/12).表紙のカラヤンが健在だった頃の本.

タックル・ランドの意味は知らないが,見開き2ページに好敵手と思われる演奏かが一人ずつ配されるのが基本.下の例ではフルトヴェングラーとトスカニーニ.上6割が絵,下4割が文章.これは和田誠の「雪国」と同じ.個人的には違和感を感じる文章が多い.

スタートはホロヴィッツとルービンシュタインのペアだが,ホロヴィッツに対しては悪口雑言に終始している.解説すると,1983年に来日したときのチケットがウン万円で,しかも演奏が認知症的だったのだ.ちなみにこの本は,雑誌「レコード芸術」の連載をまとめたものだそうだ.それから40年近くたった今,ホロヴィッツの歴史的評価はそんなに悪くはないと思う.

和田誠の場合は描く対象に概ね好意的だが,砂川の場合はそうでもない.マルタ・アルゲリッチ,マリア・カラス,モンセラート・カバリエ,エリーザベト・シュヴァルツコップ...女性は全てブス.ただし美空ひばりにはあまり悪意が感じられない.ちなみに彼女はディートリヒ・フィッシャーディスカウの相手役として登場する.

1980年代初頭,デビュー時の清水和音が,イーヴォ・ポゴレリッチとともに登場しているが,この絵の子どもたちは誰? という感じ.約 50 人の演奏家が登場するが,ピアノ以外の器楽奏者は手薄.

著者は漫画家だがクラシック音楽に関する著書は十数冊と,本業に匹敵している.16とんと同年齢だったが,昨年ご逝去された.


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