Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

世界でいちばん透きとおった物語

2024-03-14 08:53:47 | 読書
杉井 光「世界でいちばん透きとおった物語」新潮社 (新潮文庫 nex, 2023/5)
「このミステリーがすごい!2024年版」(宝島社)国内編 第8位.ベスト 10 中唯一千円以下で買える文庫本だった.
新潮文庫 nex は初めて.この文庫名には,ライトノベルや漫画の読者が「その次に手に取る小説」という意味が込められているとのこと.

裏カバーの紹介*****
大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが - 。予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。*****

でも帯の惹句のほうがこの本の特色を的確に描いている*****
電子書籍化絶対不可能 !?
"紙の本でしか" 体験できない感動がある ! *****
ついでながら,全国書店で続々第1位 20 万部突破 !! だそうだ.

途中で,泡坂妻夫「しあわせの書 - 迷探偵ヨギガンジーの心霊術」の流れだな...と見当がついた,と書いたらネタバレになるだろうか.
眼光紙背が嫌なら,後ろから黒い紙を当てればいいんだけど.そもそもこの自分の能力を「僕」が自覚しないのは不自然と突っ込みたいが,これもネタバレか.
宮内 (「僕」の父の小説家) が原稿の書式や校正について京極夏彦に相談したがる場面がある.宮内の手助けは実は PC の得意とするところだろう.京極ではなく情報工学科の学生をバイトに雇えば...これもネタバレ.

仕掛けなしの普通のミステリとして,またライトノベルとしては,かろうじて水準には達しているかな.
コメント
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