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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「股から覗く」

2023-05-12 22:17:05 | 読書

葛山二郎「股から覗く」国書刊行会 (探偵クラブ 1992/7).

著者 葛山二郎 1902-1994 の名前は.権田 萬治「日本探偵作家論」などで知っていた.
この,だれも開いたことがないようなきれいな本が古書で 700 円だった.

昭和2年から 10 年にかけて,探偵小説誌「新青年」に発表された短編 11.解説 山前譲.戦前の探偵小説の短編を,どうせつまらないだろうと読むと,果たしてつまらなかった ということが多い.今回もその傾向はなきにしもあらず.ストーリーはかなりご都合主義的.とは言えトリックなど楽しい部分は楽しく読了することができた.

「赤いペンキを買った女」が著者の代表作であちこちのアンソロジーに載っているそうだが,赤いペンキを買った女は最後の1ページに初めて登場する.このように最後の1ページで突如解決することが多く,狐につままれた感を持つ.
この「赤いペンキ...」以下の7篇に弁護士探偵花堂が登場する.彼は作品によって名探偵だったり迷探偵だったりする.「蝕春鬼」では最後の1ページで姿を現す.
「杭を打つ音」は音速と光速の違いを扱っている.また「闇に聴く瞳」はテレビやデジタルカメラを思わせる場面がある.SF ミステリと言えそうだ.ただし,著者の関心は視覚と聴覚に集中している.
権田萬治は「氏のトリックの大半が自分の生活体験に着想を得たものである」と指摘している.たとえば表題作「股から覗く」は,股から覗くと視点が下がること,180 度回転して見えることがキーになっている.たしかに,誰もが体験したことがありそうな現象からの発想である.


チャップリンの Smile と,プッチーニの Tosca

2023-05-12 08:17:55 | 読書

初山 博(Vib) 渋谷 毅(P) 山崎弘一(B) 亀山賢一(Ds)による 1983 年の Smile,ただしこの曲は動画 (じつは静止画) の最初の 12 分くらい.アケタの店での録音と思う.お店に想いを馳せ,ネットで見るとスケジュールは相変わらず魅力的 !  オウナー明田川荘之氏もご健在らしい.

1936 年の映画,チャップリンの「モダンタイムス」につかわれた Smile  は,1954 年に歌詞がつけられ,N・K・コールでヒットした.日本では 1972 年に再公開されたときに観た.映画のラストでこの曲に合わせて,チャップリンが がに股歩きでポーレット・ゴダードと手をくんで,一本道を遠くへと歩いて行くラストシーンを覚えている.

この Smile が下の動画,プッチーニのオペラ「トスカ」中の二重唱 Ah, quegli occhi! Qual occhio al mondo (ああ,あの眼が - 君の黒く,燃える瞳に)  の一節に似ているのだそうだ.オクターブに7音,頑張っても 12 音しかないのだから,どこかで聞いたような曲になるのは,仕方がないことだと思うけれど.
Wikipedia によればチャップリンの曲はづくりは,彼が思いついたメロディをピアノで弾いたりハミングしたりして,譜面に書き取らせるという形だったそうだ.Smile は単純なトスカ・モチーフを次々にうまく展開していて,音楽教育を受けた人が関わっているように思える.

プッチーニの「蝶々夫人」の Un bei de, Vedremo (ある晴れた日に) と Love is a many- splendoed thing (Sammy Fain による映画主題歌,邦題は「慕情」) も似ている.無意識にかもしれないが,アメリカ映画はプッチーニがお好き ?

 


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