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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ぜんぶ落語の話

2017-04-10 08:52:01 | エトセト等
矢野誠一,白水社(2016/9).

あとがきによれば,昔の落語家のことばかし自慢気に語りつづける老人のことを「しんぶん爺い」というのだそうだ.しんぶんとは志ん生と文楽のこと.ちなみに 16 とんは,しんぶんはラジオで聞いた程度で,著者 (1935-) よりちょっと下の世代である.

さてこれは,しんぶん爺さんの 2004-2016 年に読売新聞夕刊に連載をまとめたもの.この時期の前半では読売をとっていたはずだが (しきりに安倍の提灯を持つので朝日に変えた!),なぜかこの連載がほとんど記憶にない.

「志ん朝前後」「襲名」「戦争と落語」「占領下の落語」「身のまわり」「落語家の俳句」「人と落語家」「落語と芝居」「レクイエム六人」と,九つに区切られているが,掲載順である.「今年はこのテーマで行こう」と決めて書いたのだろうか.
まあ,落語のことを読んでも落語そのもののようにおもしろくないのは自明だが,なかでは「戦争と落語」「占領下の落語」あたりがおもしろい.占領下で落語の演目を自主規制するところから,このたび道徳の教科書で,出版社が文科省の鼻息をうかがい,パン屋を和菓子屋に変えたところを連想した.
「落語家の俳句」は期待はずれ.

著者の好き嫌いがはっきりしていて,「しんぶん」の「しん」は志ん朝の「しん」ではないかといいたくなる.三代目・桂三木助の評価が低いが,著者が安藤鶴夫が嫌いだからだろう.

すごく立派なハードカバー.装丁装画は唐仁原教久.装画はぜんぶ1ページ大.あまりうまく行かなかった感じの絵もある.

図書館本.

☆☆☆★

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