Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

3代目 桂三木助

2016-11-13 10:26:14 | 読書


この本は
安藤鶴夫「三木助歳時記」旺文社文庫 (1975/9)
の三井永一によるカバー.バーコードがないのですっきりしている.文庫本だが,原稿が一冊本として刊行されたのはこれが最初だった.その後河出文庫に入ったが,現在は絶版.

三木助というのは,落語家3代目桂 三木助(1902 - 1961)のこと.16 トンが自力で寄席に行くことを覚える前に亡くなったので,ラジオで聞いたことがあるだけだ.「とんち教室」のレギュラーだったが,こどもにはやはりレギュラーだった春風亭柳橋の独特の喋り方のほうがアピールした.

この小説は三木助一代記で,惹句を拾うと,博打三昧に明けくれする青春・ドサ回りの苦渋・踊りの師匠・三代目桂三木助の名を輝かしいものにし... などということになる.この本のハイライトは人情噺「芝浜」を練り上げる場面だろう.

著者 安藤鶴夫は落語・文楽・歌舞伎・新劇などのの評論家で,演芸プロデューサーでもあった.落語家に対しては好き嫌いが激しく,したがって嫌われた側は彼の評論を否定する.この本には近藤亀夫 (こんかめ) という名で登場し,三木助にいろいろ助言する.小説ではなくリアルな場で「安藤鶴夫みたいなヤツの意見を(三木助は)聞いて(落語の芝浜を)嫌らしくした」というのは立川談志.
小説では他にも,落語に限らず著者の思い入れが激しく辟易させる記述がある.

Youtube で桂歌丸の「ねずみ」を視聴した後,この元祖三木助の「ねずみ」を聞いたら,ほとんど同じだった.歌丸が自分のやりかたを「臭い」というのは,踏襲した三木助流を談志的な評価基準でみれば,ということかもしれない.
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