有栖川有栖,講談社文庫(1997/7).
今頃になって,この作家の「国名シリーズ」を初体験すべく 108 円で購入.
短編集の作品の一つに国名を冠しているだけで,これならいくらでもシリーズを量産できるなぁ.
しかしひとつひとつが粒が揃っていて,楽しめる.提示される数人の容疑者から,ホームズ役とワトスン役が犯人を見つけるというお約束通りのパターンも楽しい.ただし一度に数編を読むと,探偵ペアが鼻に付く.
ぼく的ベストは古典のパロディあるいは古典へのオマージュらしい「屋根裏の散歩者」.「大」「太」などというふざけた暗号は,解説の近藤史恵さんもお気にめしたようだ.最後の読者への挑戦つきの「八角形の罠」は,著者あとがきの自白にあるように,エレベータの使用が無理.