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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ハルさん - 創元推理文庫

2013-10-23 08:24:30 | 読書
藤野恵美著 (2013/03 発行).
「BOOK」データベースより***** (瑠璃子さん…今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて…) 結婚式の日、ハルさんは思い出す、娘の成長を柔らかく彩った五つの謎を。心底困り果てたハルさんのためにいつも謎を解き明かしてくれるのは、天国にいる奥さんの瑠璃子さんだった―児童文学の気鋭が、頼りない人形作家の父と、日々成長する娘の姿を優しく綴った快作。*****

新聞の書評で見たので購読.著者のメインフィールドは児童文学らしい.娘の成長に合わせて並べた5篇を,結婚式の日の情景で繋ぐという,しゃれた構成.いわゆる日常ミステリだが,天国の妻が,言うなれば安楽椅子探偵役を勤める.
出来が良いのは第4話と第5話だと思うが,どちらでも「謎」と娘は直接関係しない.
全編を透して悪人は登場しないから,安心して読めて,ちょっとセンチな,いい気分になれる.

しかし著者自身のあとがきによれば,父親は暴力をふるったらしい.DV に耐えかねた母親が子供たちの寝ている家に放火したことがあるとか.ハルさんという父親像は,その反動として生まれたかもしれないとの自己分析に,複雑な気分になる.

カットは文庫版ではなく,単行本 (2007 同社) のカバー.どちらのイラストも同じ大塚沙織だが,そっちのほうが自分的には好きなので.

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