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今日はデブリンといっしょに自転車をこいだ。36km。
グレート・プレーリーといわれるカナダ中央部の大平原地帯を横断している。
次の目的地はウィニペグで、アルバータ州、サスカチュワン州を
東へと突っ切るルートをとる。
大平原地帯というだけあって、見渡すかぎり草の大地が広がっている。
背の高い建物など皆無だから、果てしなく青空がつづき、
雲の王国に迷い込んでしまったかのような錯覚をおぼえる。
海の向こうになにがあるのか見きわめるために、
命がけで帆をあげた航海者の気持ちを思う。
ぼくらの自転車の旅は大航海のように命がけのものではないが、
この空の向こうになにがあるのかこの目で実際見てみたいという
気持ちの強さは同じなのだ。
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この日記を丘の上で書いているといって、
だれが信じるだろうか。だが、
実際ぼくは小高い丘の上にひとり座って、
キーボードをたたいている。
『この地球(ほし)を受け継ぐ者へ』(講談社)/石川直樹
2000/6/11の日記より
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