美術展も見た、新譜も買った。
なのに・・満たされないこの心はナニ?
あ、そうか。 活字が足りてないじゃん。
たまには集中的に、甘そうな切なそうな、
女っぽいものとかレンアイっぽいのを読むのも
悪くないかなぁ・・などと思いつつ、
なんかヒジョーにベタな感じの作品(作家)ばかり(笑
選んでしまったかなぁ。 まぁいいや。
最初に手をつけたのは
『モンテロッソのピンクの壁』。
江國香織さんの、児童文学や文庫絵本は
なかなか好きである。
『ぼくの小鳥ちゃん』や『ホテルカクタス』も
とても印象深い。
この『モンテロッソ・・』もまた私の期待を裏切らなかった。
夢に見た場所に行く。どうしても行かなくちゃならない。
理由などないけれど、確固たる思いに従って旅する猫、ハスカップ。
かわいらしい文体ではあるけれど、ときどきギクリとする。
ハスカップは猫だから、当然ねずみを捕まえて食べる。
「なんておいしそう!」と堂々と言う。
ヘタな動物アニメなんかだったら、肉食も草食もみんな仲良く、
「君のことを食べるなんてできないよ」とかなんとかで涙を誘おうとするだろう。
もしくは食べる行為を見せないかもしれない。
ハスカップは甘え声でエサをもらうよりは自分の力で食べ物をとり、
(その後しっかりニンゲンに調理させてしまうが)
必要な嘘はいくらでもつく。
相手がどういうタイプかよく見極め、わきまえた行動をする。
しかし援けたいと思ったなら、それがどんな悪事をやらかした相手でも
命がけで援けようとする、自立した猫なのだ。
ときおり、居心地の良かったおばあさんの家を思い出しても、
けして戻ろうとはしない。
やがて彼女は夢の場所で、彼女自身が夢の一部となっていく。。。
絵もとても良い。
未確認だけど、『ぼくの小鳥ちゃん』と同じ作家さんだと思われる。
色彩がすばらしくきれいで物語の世界にぴったりだった。
─ごく稀にですが、世の中には、どうしても
モンテロッソのピンクの壁に行かなくちゃならない猫
というのが、いるものなのです。─飼い猫が、ふいっといなくなってしまったら、
モンテロッソに向かったのかも しれないね。
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