琵琶湖という宇宙⑤

猛烈に中心の気圧を下げた巨大な雲がやってくる。
水蒸気を喰いつくし、大陸の寒気を吸い込み
季節をも吸い込んでいく。

野生を忘れた人の感覚は置き去られ、
あとに残されるのは、
予想以上の早さで冷えた空気と水。


野生の行動は早い。
６日前までそこに居たハズの獲物はもう居ない。


迷い人は、もぬけの殻の隠れ家に弾を撃ち、
やがて疲れ果てて奥歯を噛む。
狙っていたつもりが、またもや逃げられた。
掴みかけた尻尾はまた姿を消した。



生ぬるい己の野生を追いこみ
もう一度、空気に触れ足下の水を掴む。
暗闇に目を凝らしその影をさがす。

見失うことにはもう慣れた。
人にはその想像力と頼れる武器がある。



琵琶湖という宇宙。
夜空を泳ぐ星を探す。



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琵琶湖という宇宙①
琵琶湖という宇宙②
琵琶湖という宇宙③
琵琶湖という宇宙④