苦労話を聞かされながら
繰り返し繰り返し
生きてきました
それこそ、今の時代ではわからないだろうと
こきおろされながら
お前になんか絶対にわからないと
ののしられながら
ほんとうに
どうにも
表現のしようがない
おそらく匂いだとか
空気の湿り気、渇き具合、
衣服の肌に触る感触
風の顔にあたる感触とか
いろいろな要素が統合して、
言葉では表現しようのない
時代の中生きてきた
辛い苦しい ひもじい
蔑まれ
虐げられ
心の凍るような思いをしながら、
いつ終わるかわからないような
地獄のような日々がありながら、
いつか おわる 辛さ苦しさが
と
希望を捨てず
諦めず
ただただ
明日を信じて生きてきた
その気持ち
その思い
だけど忘れることができない
その辛さ
その思いを
どうにかして伝えなければならない
人生はそんなに簡単じゃない
お前が思っているほど世間は甘くない
辛いこと、本当に騙されたり、盗まれたり、
命を取られそうになって
どんなに心細い思いをしながらも
生きていかねばならなかった。
だれにも迷惑をかけず
お世話になった人たちに、迷惑をかけないように
気を遣って気を遣って、
どこにもやり場のない思いを、かかえながら
生きてきた
少しも理解していなかった
なんどもなんどもきかされて
迷惑に思っていた
でも違った
こんな時代になって、
本当に騙す人たちがいるんだ、
本当に本気でもって人を殺そうとする人たちが、それも
政府だとかお役人だとか、テレビに出ている人たちが
無意識に発する殺の気に
こんなに苛まれる日が来ることになって
初めてわかった
おとうさん、こんなとき
おとうさん、こんなに、心細くて
周りが敵だらけで
だれも信頼できない
だれにも理解してもらえないと
心のなかに苦悩をかかえて生きていくとき
おとうさん、どうやってあなたは
これを乗り越えてきましたか。
おとうさん、
おとうさんは、どうやって乗り越えてきましたか、
答えはもうない
答えを得ることができないんだけれど。
自分で出すことしかできないのだけれど。
朗らかな、お父さんの顔をみて
思う
お父さん、
お父さん、
ただ、ただ
あなたは
目の前のことに、最善をつくして
あなたは
誰かを騙したり誰かを蔑ろにすることなく
ただ ただ
誠実に毎日をいきてきましたね
それでいいんですね。
それで。
それで、乗り越えて
乗り越え られなかったとしても。
ただ ただ 大切なことに向き合って
逃げずに、
生きる
それができれば。