たろのカクゴ ワタシのカクゴ 6

たろは、最初　黒い兄弟がいた。

黒い兄弟は、だれかに連れて行かれたと聞く。

一度、たろと　黒い兄弟が一緒についてきてしまったことがあって


その時は
家の２０m　手前までしか来れなかった



黒猫がいなくなって

そのあと

たろは、

私の家前まできた


たろもカクゴしていたんだろうか


でも逃げたけど。


私はたろを、里親を探すつもりで
捕まえたんだけど


たろは

ふくちゃんと程なくして仲良くなった



父に
簡単でいいから名前をつけてくれと頼むと


そうだな　たろう。

と言った


簡単な名前だなあ

やる気ないなあ

なんてもおもったけど

いい名前だなあとも
思った


たろの顔が
黒と白の模様なんだけど

半分だけ黒くて
もう一方が目の周りだけ黒い
アシンメトリーな模様になっていたり


尻尾の先が曲がったりしていて不恰好で

なんとなく
岡本太郎のイメージにも一致した

なんとなく。

だから、

たろうはぴったりの名前だし

ふくちゃんと仲良くなったみたいだし


里親を探すと言ったら


さみしくなるんじゃないのか

と
言ってくれたので

たろうは

そのまま
うちの猫になった。

たろのカクゴ ワタシのカクゴ 5

痒みで身体中が発赤してしまった結果、

私は覚悟を決めた


たろを捕獲して、虫がいるなら駆除しよう

その上で、里親を探そう。

私の体のかゆいのもたぶん虫かもしれない

徹底的に、向き合って対処するしかない。


私は、反対するだろう父に、とうとう告白した

猫が原因だと思う、
捕まえてきて、病院に連れていく。

里親も探したいと。

父は、内心渋々だろうけど、承諾してくれた。


私は、キャリーバックをもって、たろを捕まえに行った。

たろは、路上でまた出てきてくれた。


晴れた日だった


餌を足踏みしながら食べているたろを
一瞬の隙をついて

キャリーバックに押し込んだ。


たろは抵抗して

へあ～ん
へあ～んと
泣いた。


たろの入ったキャリーバックを車に持ち込んだ

安堵


さあ、獣医さんに連れていくぞ。



果たして、たろは

獣医さんにいって



たまなしのタロに

なった



たま

路上で女の子にたま
と呼ばれていたのに



たろうの体には虫はいなかった


下剤で下痢をしたり
いろいろ大変だったけど


隔離している最中、たろの匂いがついたおもちゃを
ふくちゃんがくわえて興奮して走り回ったのをよく覚えている。


いつも、眺めていた外の猫

はじめて　他の猫に触れる機会。


結局私も、痒みはアトピーだと。

アトピーなんて診断をされたのは、この時が初めてだった

その痒みと発疹は、医者からもらったステロイド薬を塗ることなく

治った。

たろのカクゴ ワタシのカクゴ ４

たろは、道端であうとかならず追いかけてきた。

それでいて、捕まえようとすると逃げた。

車の下に逃げ込んだ

それでいて、
たろのよく出現する場所から５０メートル位の家まで、

道端で犬にあうかも

車にはねられるかも

と
びくびくしながら


家までとうとう付いてきたことがある


たろ


とうとう家まで来てくれたのか



私は覚悟を決めた


たろを捕まえて、

まず、ケージに入れる為、
物置小屋に閉じ込めて


ケージを持ってきた


物置小屋を
あけたら



たろは逃げた。

たろ

付いてきてくれたのに


捕まえられるのは、怖かったんだ。



たろは、怖くても家までは来てくれた。

でも、
捕まえられるのが怖かった。