ネコのヒトビト

ネコにまつわるヒトビトについてのお話等

たろのカクゴ ワタシのカクゴ 3

2015-11-20 14:38:18 | たろ
たろは、あうとかならず会いにきて
あたまをすりつけたり体をすりつけたりして挨拶してきた
遠くから見つけて、駆け寄ってくることもあった

向こうから伸びをしながら
きたの~~?という感じで来られると、本当に困ってしまう

飼う覚悟がないのにもかかわらず、
ついついたろのところへ行ってしまう。

餌をやっている人がいるのだし、
可愛がっている人がいるのだし
そんなふうに感じる必要はなかったのかもしれないけれど

責任をかんじていた
子供を孕ませてしまった男みたいな
これだけ情がうつってしまうと
知らん顔したら信頼関係を裏切ることになるという感覚

自分の中の罪悪感

猫相手の 誠実

飼うことに対する覚悟はできていなかった。

でも、どうしても気になってしまっていた。

たろを可愛がっているもう一人の子供(ピンク色のコートを着た小学生)も
いつも気にしていて、情報共有はしていたけど
アパートだし、転勤族だから飼えないという事は変わらなかった。

ふくちゃんとお友達になれる猫がいれば

ふと思ってはいたが
現実に現れてしまうと躊躇する

白黒の猫がいいとか、どんな猫がという希望も期待もしていなかった
ましてや
たろはかなり大きくなっていて

餌やりの人に過剰に餌をもらうせいか
すこしふくよかになりはじめていた

尻尾も曲がっていたし、

特別好みだというわけではなかった

すりすりされて、でも外猫からの感染を防ぐために
手袋をしていた。

そうこうしているうちに寒くなってきた
朝の気温を見るたびに
大丈夫だろうか、
この気温は猫にとってどうなんだろうか

いつも心配していた。


あるひ、そんな私の体を、ひどいかゆみが襲った。

あの子猫から 疥癬でもうつったんだろうか?
ふくちゃんにうつったらどうしよう

家族にうつったらどうしよう

年末年始の病院が休んでいるころ私の体は発疹と痒みで赤くなっていた。

たろのカクゴ ワタシのカクゴ 2

2015-11-11 21:52:46 | たろ
たろの事を知ったのは秋の始め

路地裏に住み着いた白黒の子猫が
ひどく人懐こくて
可哀想だけどどうしようもないよなあと

聞いて
つい存在を確認しに行ってしまった

多分ふくちゃんを飼っていなかったら
それ程感じなかった

ふくちゃんを飼うようになったら
他の猫のこともふくちゃんの事に重なって
切なく感じてしまうようになった

それまで野良猫なんて他人事だったのに


外でどんなに寒いだろうとか
お腹がすいてひもじい寂しい姿を

想像してしまうようになった
それは切なく耐え難い空想だった



餌やりのヒトビトを
自己満足のめいわくな人たちと決めつけ

猫に割く時間や金が膨大な人たちを馬鹿にしていた

そんなワタシが
こんな風に
感じている自分に
一番驚いていた。

たろのカクゴ ワタシのカクゴ 1

2015-11-11 21:32:17 | たろ
たろは、駄菓子屋の裏の狭い道に住み着いていた
母猫や兄弟と餌場に現れては
様々な人たち餌を貰っては可愛がられていた

時々野良猫嫌いな地域の人に飛び蹴りをくらいそうになりながら

可愛がってくれる人には頭を擦り付けて懐いて
去ろうとするとずっとついて行って
自分の行ける限界までついて行って
その後もずっと去っていく人を見送っていた

餌を貰えればそれでいいかというとそうではなくて
餌をくれた人が見守って居てくれるのを確認して
その温かい視線に見守られていると励まされるとでも言うように餌を食べ始めた
目から涙をこぼしながら
ウニャウニャ声を漏らしながら
足踏みしながら
食べていたのである

もとより猫に餌をやる習慣が無かった私は
たろの事を気にかけている事を
餌やりの夫婦に見つかり

「年金暮らしで餌やりも限界だ。この猫はあんたが飼ってやってくれ」
などと言われ
それを本気にして
なんだか責任を感じるようになった

それでも飼うには勇気が出ず
誰か優しい人に貰って貰えないかと思っていた

時折可愛いピンク色のコートを着た少女が
たろの事を気にして祖母や姉とたろをからかっていた
転勤族らしく祖母も遠方に住んでおり
かうのは不可能だとのはなしだった