はさみ屋のブログ

理・美容師の使うカットシザーのメンテナンス・アドバイザー(研ぎ・調整・販売)

はさみ研ぎ ハサミ研ぎ

2006年08月29日 | 職業

 ハサミ研ぎが難しいとされる理由は、その形状の複雑さが大きな理由のひとつ
だと思う。 ソリだのヒネリだのと、へそ曲がりな形状で出来ている為だ。
2枚の刃物で夾んで切るので無ければ、ソリだのヒネリは不要なのにねぇ。

 

ヒネリとかなんて、現場でハサミを使う人間には、全く関係ない事なんだけど・・・
いざ、研ぎ直しを自分でするとなると、それが少々分かっていても・・・
素人の手に負えるモノでは無くなる。

 

でっ 巷には、素人でもハサミが研げるとする、簡易研ぎ器が出回っている。
結構なお値段で売られているけど・・・ 使いこなす事は難しい。

 

殆どが、ハサミをアタッチメントで固定して、回転板に当てるタイプの研ぎ器で
代表は「研ぎ 楽ぁ~苦」方式があげられる。 夏でも悪寒を感じるほど・・・ 
このアタッチメントの華奢(きゃしゃ)な事。 自由度が少なく不自由極まりない。

 

やはり、アタッチメントに固定して、ハサミの研ぎ角を得て・・・
角砥石形状の上を往復させるタイプのビッグ・ベアー式のタイプなんかも有る。

 

貴方がアタッチメントを使わず、フリーハンドで研げるのなら研ぎ器の性能に
関しては否定はしないけど・・・。 最低の事ならそれでも充分通用するからね。
(フリーハンドとは自由な手の事。)

 

どちらにせよ、作業に必要な角度保持を人間がする場合「手が決まる」までの
熟練技術をアタッチメントに頼る事で、解決させようとした発想で作られている。 
だから ど 素人でも研げるんだけどね。 
そして ど 素人止まりの仕上がり。 
更には ど 素人から脱却は出来ないまま。

 

アタッチメントを否定するんじゃ無いですが・・・ アレが諸悪の根源なんですね。

 

アタッチメントにより、複雑な運動が制限され、本来必要な作業が出来ない事は
否めない。 ハサミ研ぎの職人から見たら、オモチャ以下の品物と言いたくも成る。

 

職人の持つ技術には、簡易研ぎ器のアタッチメントはオモチャ以下なんです。

 

そもそも、機械はセットされたとおりにしか動きません。
自由を束縛されて、複雑な仕事なんて出来っこ無いのです。
1メートル真四角の檻に入れられ、100メートル先の物は手に入れられません。

 

もっともっとお金を掛けて工作機械を作れば、かなり近い仕事は出来るでしょう。
ただし、全く同じモノを同じ様に処理するだけならと「制約」が出てきます。
これもまた不自由な事ですね。

 

ハサミの形状の違い毎に、別のセッティングをしていたら、当然ハサミの数だけ
数種類のアタッチメントが必要に成ってしまいます。

 

ではOAを駆逐して・・・ 全自動にすると仮定したら、ベンツが数台買えるほど
資金が必要と思われます。 ベンツが嫌いならジャガーでも構いませんけど。

 

そこまで金をかけて元が取れますか? 需要がどのくらいあるのでしょうか?
個人が自分の道具の手入れをするだけなら価値は有りません。
それを売り出すとしら・・・ 高すぎて誰も買えません。

 

想像を絶する早さで文明が進んでいます、そして機械化の波も進歩しています。
でも結局、機械でやることは、人間の持つ能力の一部を補っているのと
機械にしか出来ない事だけです。 複雑な動きを求めるとコストが掛かるのです。 

 

超熟練者の技は計り知れないものです。

 

人造人間はぎこちない歩き方のロボット程度、小走り出来るアシモ君の値段を
知っていますか? ロールス・ロイスの新車が買えますね。 おつりも来ます。

 

まして感触が直接脳に伝わり、即反応し自由自在に微妙に動く人間の手以上に
機械が動けるなど、数百年たっても到底出来無い事でしょう。

 

今までも、これからも人間の頭脳と手によって機械は作られていくのです。

 

ちょっと、実験してみましょう。 髪の毛を1本抜いて、目の前に置いてください。
えっ 薄毛だからもったいない? それなら豊かな人から頂くか・・・
床に落ちているのを探して下さい。 多分、薄毛気味なほど沢山見つかります。

 

それを、左右の親指と人差し指でつまんで、髪の毛を引っ張って見ましょう。

 

毛先の方へ、指が髪の毛の上を滑って指から抜けます。
根元の方は、指が引っかかって髪の毛を押さえている事が出来るでしょう。

 

髪の毛のキューティクルが、指に引っかかったり、引っかからなかったり
するからですが、そのキューティクルの厚さは、わずか0.5~1umです。

 

髪の毛の太さにも多少の違いがあれ、持って引っ張れば太さを感じるでしょう?
つまり人間の指先は、元々、この大きさを感知できるように作られています。

 

すなわち、人間は皆「センサー(指)」としての十分な性能を備えていますから
「情報処理(脳)」が、いかにそれを判別できるかが、熟練技能者と
そうでない者の違いなんです。 それだけなんですよ。

 

ハサミ研ぎだって、アタッチメントに頼らないなら熟練の仲間入り?が始まります。
もちろん、入り口であり出発点でしか無いのですが・・・ 先に進む事は始まります。
1メートルの檻から出ることになるんです。 先に進めるんです。

 

そうしないと、段刃も ハマグリも 剣刃も なんちゃって段刃で仕上げてません?
その先のレベルでの仕上がりの話題には、仲間はずれの未熟者ですね。

 

それは、ハサミが研げるので無く、研ぐ機械が使えるだけですから。 残念~。


職人技、それは、言うまでもなく努力や訓練や仕事への情熱からの賜物です。
ででっ アタッチメントに否定的ですが、機械そのものは使えるよ!となるんです。

 

毎度、繰り返しますが・・・ 機械は貴方のやりたい事を助けてくれます。 が。
アタッチメントに頼っている内は、貴方はやりたい事を理解出来てはいなくて
単なる機械の奴隷で、中途半端な結果に感激しているレベルなんです。

 

恥ずかしくて、「ハサミが研げる」とは言えないんです。

 

機械に頼って、機械のやる事をサポートしているんですものね。
正しくは、研ぎ器が使える。 とか、機械のお手伝いさんとか・・・ ですね。
(マシン・オペレーターなら、少しは格好良く聞こえますけどね)

 

是非、不自由なアタッチメントを取り外し、フリーハンドでチャレンジして
本当の切れ味を追求してください。 さぁ失敗を恐れずに始めましょう。

 

だって失敗して壊れるのは貴方のハサミです。

 

5~6丁壊して見れば、なにか見えて来ると思います。
そして壁に当たったり、何かにつまずいたらメールでも下さい。
その時の貴方のレベルに合わせて、無料でアドバイスして差し上げます。 
もちろん、壊す前にメールでの問い合わせでも構いません。

 

でも・・・ それだと経験不足が理解力に影響して、時間が掛かりますよ。

 

また、壊した事で新しいハサミが欲しいのなら、オイラは研ぎ師 兼 ハサミ屋です。
定価の半値位でセニングやカットシザーの販売もしています。 ご相談下さい。

 

正直に申告してくれれば、ハサミ・メーカーや問屋さん、研ぎ師さんなどの
同業者様の「冷やかし」にも真摯に応じます。

 

もちろん一般のレベルより 上位 の対応で交流させて頂きます。
ダマスカス鋼の入手先や硬度やエッチングの溶剤の情報も差し上げますよ。


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