政府・財務省は「日本の財政は破綻状態にある」と主張しているが、実際のところどうなのだろうか。経済アナリスト・森永卓郎氏が今の日本の財務状況を解析したところ、“画期的な転機”を迎えようとしているのだという。森永氏が解説する。
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私は2016年度末(2017年3月末)までに、日本経済は画期的な転機を迎えると見ています。その理由は、2017年3月末までに日本の財政が実質“無借金”になることです。財務省は常々、「日本は1000兆円以上の借金を抱えていて、財政は破綻状態にある」と主張しています。確かに負債だけを見ればそうなのですが、一方で日本は大きな資産も抱えています。
財務省は毎年、日本政府に加えて国の業務と関連する事務・事業を行なう独立行政法人などの財務状況を一体的に示す「連結財務書類」を発表しています。2016年3月に発表された2014年度のバランスシートを見ると、負債から資産を差し引いた日本の純債務は439兆円にすぎません。
しかも、この連結財務書類には、財政の一番のカギを握る日本銀行が含まれていないのです。これまで日銀は金融緩和を進めるため、年間80兆円という猛烈なスピードで国債を買い続けています。その結果、2016年10月に日銀の国債保有高は400兆円を突破しました。
実は、この日銀が保有する国債は、政府にとって事実上、返さなくてよい借金なのです。日銀は国債を市場から購入して、日本銀行券を発行する。日本銀行券は国債と異なって、利払いの必要がないし、元本返済の必要もない。つまり、国債を日銀が購入するということは、国債を返済不要の日銀券にすり替えるということなのです。
そこで、日本の連結純債務439兆円から日銀が保有する国債残高400兆円を差し引くと、2016年10月時点の日本政府の本当の借金は40兆円にすぎない。しかも、2016年度下半期で日銀は国債をさらに40兆円程度買い増すと見られることから、日本政府は2016年度末には実質無借金経営になると計算できるのです。
ところが、これまでそれを誰も指摘していない。ならばと、私はそれを具体的にグラフ化してみました(グラフ参照)。これを見れば一目瞭然のように、長かった財政再建が2016年度末にようやく完了するのです。
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