みなさんは薬を飲むとき薬袋の記載を確認していますか。薬局で薬をもらうと、薬袋に「食前」「食間」「食後」など服用時間が記載されています。この「服用時間」ってとても大切なんです。
それぞれの薬に「効果を最大限に引き出せる服用のタイミング」があります。そのタイミングは、食事との関係が深いんです。薬によっては、服用時間を守らないと効果が出ないばかりか、危険な副作用を招くこともあります。今回は、「薬の服用時間」について具体的に説明します。
◎食前(食事の約30分前)空腹時なので薬が早く吸収されます。漢方薬、吐き気止め、制酸剤、消化管の運動を良くする薬などの用法です。
◎食直前(食事の5~10分前)おはしをもったときです。糖尿病治療薬の糖の吸収阻害剤がこの用法です。誤って空腹時に服用すると低血糖を招きます。
◎食直後(食事の5分後)おはしを置いたときです。食事の中の油分で吸収が促進される脂溶性の薬などの用法です。
◎食後(食事の約30分後)胃が荒れにくく、胃の血流がよくなり薬の吸収がよくなります。胃に負担をかけやすい解熱・鎮痛剤などが適します。
◎食間(食事の約2時間後)空腹時にあたり漢方は食間も適します。
◎就寝前(就寝の約30分前)睡眠薬や便秘薬。特に睡眠薬は、服用したら床に就きましょう。
◎頓服(症状に応じその都度服用)発熱時、疼痛(とうつう)時、不眠時、便秘時、発作時など。医師の指示に従いましょう。
薬によっては、さらに服用後にもさまざまな用法を守らないと効果が出ないものがあります。例えば抗菌剤のジスロマックドライシロップは、1回の服用で効果が得られますが、食後2時間以上の空腹時に服用し、服用後は次の食事を2時間以上控えることが必須です。
これを守らないと十分に効果が出ず、病気も治らないという結果を招きます。十分に薬の効果を引き出すには、必ず服用指示を守りましょう。
■吉澤恵理(よしざわ・えり) 1969年福島県生まれ。92年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手として勤務後、福島県公立岩瀬病院薬剤部勤務。その後、いくつかの病院・調剤薬局に勤務するなかで薬剤師として経験を積み、健康セミナーなども行い患者からの信頼は厚い
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