フランスで開催中の第66回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを競うコンペティション20作品の1本として上映された三池崇史監督の「藁の楯」(公開中)。映画の評価は軒並み手厳しいが、子持ちのシングルマザーSPを演じた松嶋菜々子(39)に各種メディアは好意的なのだ。
“レディポリス・ナナコ”の人気を象徴するのが、映画専門誌「ハリウッドレポーター」での扱い。レッドカーペットのページに、イタリアの高級ブランド「ドルチェ&ガッバーナ」の大きなリボンと青いレースのロングドレスをまとった松嶋が、全身切り抜き写真で登場している。
仏を代表する名女優で、米アカデミー賞も受賞したマリオン・コティヤール(37)を超えた扱い。「東洋の真珠のようなナナコの初カンヌを歓迎しているのさ」とは仏の映画評論家。
「GALA」誌の「藁の楯」の紹介は2ページを使い、松嶋が銃を構えた映画のシーンを大きく載せている。
「レディポリス役のナナコが画面で輝いていた。さすが三池」と感心するのはこれも仏の映画祭ディレクターだ。
三池監督に対して「カンヌに来れたのは監督のおかげ」と満ち足りた表情で語った松嶋だが、カンヌでの評判が世界的なアパレルや化粧品の大企業との契約をもたらすケースもある。06年、カンヌで監督賞に輝いた映画「バベル」で鮮烈なヌードを披露した菊地凛子(32)が、その後にシャネルのクルーズ・コレクション広告のモデルを務めたのが良い例だ。もっと前には、コン・リー(47)もカンヌで名を上げ、ロレアル パリの広告塔になった。
映画の低評価も松嶋には影響なさそうだ。もともと「賛否両論を呼び起こしたい」と語っていた三池監督の思惑通り、酷評の嵐。地元紙ニースマタンには1ページ全部を使って「6日目にして出合った最低の映画」と、“名誉ある”バツ4つを付けられた。スクリーン紙でもブラジルの評論家ホセ・カルロス氏は×を出した。
だが、公式上映後も、三池監督が会場周辺を歩けばファンの女性記者から挨拶され、三池人気は不動で、三池監督には「してやったり」の感すらある。三池監督はもちろん、松嶋や大沢たかお(45)への評価とも連動せず、逆に目立つ結果となっている。(カンヌ=小張アキコ)