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金価格が下落基調だが・・・

2013年04月30日 | 気になるネタ

このところ金価格が下落基調にあるが、その意味するところは何だろうか。

 金というのは面白い「商品」だ。通貨管理制の現在では、金は工業製品などに使われる「商品」であるが、かつての金本位制の遺伝子が人に残ってるのか、金は「通貨」類似の性格も併せ持っている。

 通貨の3機能として、モノの価値を示す価値尺度、支払い機能としての交換手段、そして価値貯蔵手段-と大学の経済学講義でも教えられている。金の場合、3番目の価値貯蔵手段として意味がある。実際、新興国の外貨準備として金が購入されるケースも増えてきている。

    

 ここ100年くらいの金相場の歴史を見ると、3回の金価格の急騰がある。

1回目は1934年に金本位制が放棄されて以降、1オンス=20ドルから35ドルまで上昇した。

2回目は71年のニクソンショックによるドル金交換停止の後だ。それまで1オンス=35ドルだったのが少しずつ上昇しはじめ、70年代後半から80年までに金価格は850ドルまで急騰した。

そして3回目目は2007年頃の600ドルあたりから最近は1900ドル近くまで上昇していた。

 いずれの場合もドルの通貨体制が大きく変化し、マネー(ドル)が大量に供給されているときだ。マネー(ドル)が増えれば、モノ(金)は相対的に希少性を帯びて価値が上がる。まして金はもともと希少資源だ。この意味で、金の動きもモノと基本的に同じで、一定の経済原理が動いているとみてよい。

 ただし、その観点に加えて、前述したように金には「通貨」類似の側面があるため、ドルの通貨体制が動揺しているときに、「ドル通貨」の代替として買われることも過去2回の金相場の歴史が示している。

 こうした見方に立てば、ドルの増加が止まり、ドルの通貨体制が安定すると、金価格は下がる。実際、過去2回の金急騰相場の結果もよく説明できる。ということは、今の金価格の急落は、ドルの通貨体制が安定化し、これ以上のドルが増えないという兆候だといえる。FRB(米連邦準備制度理事会)のQE3(量的緩和3弾)の次はないという市場の見方とも整合的だ。

 それは米国経済がリーマン・ショックから4年かけて立ち直ることを意味するので、悪い話ではない。むしろ経済が良くなるということなので株式市場にとっては朗報だ。

 こうしたことを背景として、実際に金から株へのシフトもあるので、それがまた金価格を下落させることにもなる。米国経済にとっては、金は早く表舞台から去ってもらったほうがいい。

 日本経済にとっても金価格の下落はいい兆しだ。金融緩和は通貨安を招くが、FRBが「QE4」を実施しなければ、円安ドル高傾向はそのまま維持される。しかも、米国経済に立ち直りの傾向がある。それは当分、日本の株式市場、ひいては日本経済も好況を維持できることを意味する。もちろん、アベノミクス効果も当分は健在である。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)



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