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日本の年金問題

2015年07月13日 | 気になるネタ

71歳の老人が新幹線の車内にガソリンをまいて焼身自殺し、巻き添えで27人が死傷しました。これはもう「自殺」でなくて「テロ」です。

 事件の背景に何があるのか? 高齢者を敵に回すのを承知で書きますが、日本の高齢者の多くが持つ「勘違い」が、この事件を引き起こしたような気がするんです。

 犯行理由は「35年も掛け金を払ったのに、月12万円の年金は少なすぎる」というところにあったと報じられています。高齢の方と話をしていると、「年金は要らないから、今まで払った掛け金を返してほしい」なんて声をよく聞きます。

 現役世代にとって、これは実に歓迎すべき提案です。なぜなら高齢者それぞれに、過去に払い込んだ年金掛け金(物価上昇分と金利を加えて)を返金することで年金支払いを止められるのなら、日本の年金問題は一発で解決するからです。

 現在の年金受給者が過去に払った年金掛け金は、この皆さんが平均寿命まで生きた場合に受け取れる金額を支払うのには到底足りないんです。じゃあいったいどうやって年金を支払っているのかというと、現役世代が払い込んでいる掛け金を右から左に流用してるんです。こうして日本の年金システムは維持されているんですね。新幹線放火老人が払い込んだ掛け金では、とても月額12万円の年金を払うことはできません。

 私がとても残念に思うのは、新幹線に火をつけた老人が、自分の受け取っている年金は現役世代が自分の現在と未来を「犠牲」にして払っている貴重なお金から出ていることに気が付いていなかった点です。それを知っていたら、不当な不満を抱くこともなく、今回のような凶行に及ぶこともなかったんじゃないでしょうか。

 現在、約800万人の高齢者が月額平均5万円程の国民年金しか受け取っていない厳しい現実があります。貧困高齢者に救いの手を差し伸べる必要は当然あります。でも、それと同時に高齢者に必要なのは、日本社会が維持されている仕組みをしっかりと理解することでしょう。

 若者は自分たちを生み出してくれた高齢者に感謝し、高齢者は自分たちの生活を維持してくれている若者に感謝する、これが社会の基本だと思うんですよね。((株)大阪綜合研究所代表・辛坊 治郎)



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