安倍晋三首相が、中国からの飛来が問題となっている微小粒子状物資「PM2・5」について、日本の環境技術で協力する姿勢を明らかにした。ただ、中国側は、沖縄県・尖閣諸島をめぐる緊張関係のせいか、難色を示しているという。今週末には、中国大陸から黄砂とPM2・5が襲来しそうだが、迷惑国家は目を覚ますのか。
「公害を克服した日本の環境技術を生かし、解決に向けて積極的に取り組む」
安倍首相は6日の参院本会議で、中国からのPM2・5に関する代表質問にこう答えた。戦後の高度成長期、日本は「公害のデパート」とさえ言われたが、行政と企業、国民が一体となって改善に取り組み、いまや環境技術は世界有数となっている。
中国のPM2・5の主原因は「自動車の排ガス」「工場のばい煙」「石炭の利用」とされ、いずれも日本の技術で対応できる。現に、環境省は担当者を訪中させ、観測機器の提供や研究者の受け入れを申し入れている。
ところが、石原伸晃環境相は2日、「(中国側は)欧米には研究者を派遣して先進国の経験を聞くと言うが、日本に行くとは言ってくれなかった」「環境問題(での協力)が、ぎくしゃくしている日中関係を取り戻す『てこ』になると思ったが、良い返事がない」と講演で語った。
それどころか、日本に責任を押し付けるような言動も見受けられる。
ジャーナリストの宇田川敬介氏が先月、旧知の共産党幹部を取材したところ、「中国の環境を悪化させたのは、外国投資による工場が大半だ。結果、中国人民が損害を被っている。日本人の被害は自業自得でもある。この事態を解決するのは、外国企業が空気をきれいにする技術を自費で持ち込み、中国をきれいにすることだ。何も対処しない場合、『環境税の徴収』を考えている」と言い放ったのだ。
中国はGDP(国内総生産)世界第2位となりながら、他国への越境汚染に対する自責の念もなさそうなのだ。安倍首相の善意は通じないのか。
「月刊中国」の発行人である鳴霞(めい・か)氏は「中国では、大気汚染だけでなく、河川の汚染、土壌汚染が深刻化しているが、政府が本気で取り組む様子は見えない。がん患者も激増しており、『大気汚染で年間50万人が死ぬ』という指摘もある。共産党幹部の親族らはどんどん海外に移住している。人口が13億人もいるため『国民が多少死んでも構わない』と思っているのではないか」と語っている。
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